裏庭の木立でレモンやオレンジを収穫して、ペイジ・クックは仕事に没頭していました。
自閉症スペクトラムをかかえるペイジは、すぐに作業用の手袋をはめて木に向かいました。
ペイジは気を抜くことなく、猛スピードで作業を進めます。
猛烈なスピードで、何十個もの柑橘類の実を切り取り、プラスチックの木箱に入れていきます。
20分もすると、木箱は満杯になりました。
ガーデニングとフルーツの収穫は、ペイジの趣味のひとつです。
そして、母親のマリンダ・ダルトン-クックが、新しい非営利団体「ペイジのパントリー」を始めるきっかけとなりました。
この非営利団体が行う事業は、この地域で食料を求める人たちに農産物を提供するのと同時に、ペイジのような発達障害の若者に生活、社会、仕事のスキルを提供することを目的としています。
19歳になるペイジは、テリ社の学校に通う12歳から22歳まで、20人の生徒の一人です。
ペイジはほとんど言葉を話すことができません。
この学校のカリキュラムは、学業よりも社会性や職業訓練に重点が置かれています。
ここで過去7年間、ペイジは農業をはじめとする学習や生活技能の目標達成に取り組んできました。
担任のメーガン・ホップスは、ペイジがTERI社のグループホームで水耕栽培をしているときは、いつも非常に集中していたと言います。
「ペイジは本当に勤勉です。
仕事が好きで、一生懸命働いて、一つの仕事を終えるとすぐに次の仕事に移るんです。
ペイジはとても責任感をもって取り組んでいます」
パンデミックが発生し、学校のキャンパスが閉鎖され、ペイジさんが好きなガーデニングの仕事や人付き合いができなくなるまではペイジはうまくいっていたと母親のマリンダは言います。
そこで、担任のメーガンはペイジと母親を自宅に招き、裏庭のオレンジ、レモン、グレープフルーツの木から好きなだけ収穫してもらいました。
「マスクをして、ガレージにあったプラスチックの桶を持って、手袋と庭ばさみを持って、ペイジの先生に会って、果物を摘み始めたんです。
娘のペイジが仕事好きなのは知っていましたが、娘の頑張りには圧倒されました」
そう母親のマリンダは言います。
柑橘類を使った料理のアイデアやレシピを、ペイジが書いた手紙をとともに、ペイジは母親のマリンだと学校の10人の生徒の玄関に、果物を届けました。
それから毎週、母娘で果物を収穫し、困っている人や高齢者に食事を提供している教会など、届け先を増やしていきました。
マリンダは、この毎週の取り組みを「ペイジズ・パントリー」という非営利団体の事業にすることにしました。
現在、30世帯の家族がこの取組に参加しています。
毎週木曜日の午後、母親のマリンダとペイジは、果物を摘みに行ったり、野菜の寄付を集めて家に持ち帰ります。
金曜日の朝には、自閉症スペクトラムをかかえる4人が家に来て、商品の仕分けや袋詰めを手伝います。
金曜日の夜には、車を運転できない人のところには持っていきます。
土曜日の朝には、マリンだとペイジは自宅の前で、他の家族のためにドライブスルーで提供しています。
「ペイジのパントリー」で17歳から24歳までの自閉症たちがボランティア活動で仕事のスキルを身に着けています。
彼らは一人ひとり異なる能力で、全員が貢献してくれているとマリンダは言います。
「彼らに仕事のスキルを身につけてもらうことも目的としています。
誰かが中に物を入れる間、袋を開けたままにする仕事ことしかできなくても、それは素晴らしいことです。
A地点からB地点に荷物を運ぶことしかできなくても、それは素晴らしいことです。
私たちは協力して仕事ができるのです」
そして、「ペイジのパントリー」の立ち上げに自己資金を投じた母親のマリンダはこの駆け出しのビジネスが娘のペイジのフルタイムの仕事になることを願っていると言います。
「この事業はとても新しく、そして急速に成長しています。
ペイジと私は毎日学んでいます。
学習しながら取り組んでいます。
他のスタートアップ企業と同じです」
(出典・画像:米The San Diego Union Tribune)
母と娘で始めた、自然と人に関わる事業。
素晴らしいと思います。
大きく成長して頂きたいと願います。
(チャーリー)