- 乗馬療法は自閉症スペクトラム障害を持つ子どもたちの社会的相互作用とコミュニケーションスキルを改善するのか?
- 中国の研究チームが行った乗馬療法の効果に関する研究はどのような結果を示しているのか?
- 乗馬療法を受けた子どもたちには、どのような改善が見られたのか?
自閉症の子どもたちの社会的相互作用とコミュニケーションスキルが乗馬療法によって有意に改善された。
そう新しい研究が報告しています。
中国の深圳大学のメンシャン・ザオらのチームによるこの研究は、”International Journal of Environmental Research and Public Health”に掲載されています。
乗馬療法は、自閉症スペクトラム障害を持つ子どもたちの、とくに社会性とコミュニケーション能力に関連する特定の典型的な行動に効果的であることがわかりました。
最近、自閉症の子どものための効果的な療育方法として、動物を用いたものへの関心が高まっています。
乗馬療法は、身体的、感情的、社会的、認知的、行動的、教育的機能を含む自閉症の子どもの複数の障害にプラスの効果をもたらす可能性があります。
それだけでなく、運動機能と感覚処理を改善するという証拠についても報告されました。
「自閉症スペクトラム障害をかかえる子どもたちの問題行動の改善にも、構造化された乗馬療法は効果的だと考えられます」
これまで中国では、十分なサンプルサイズで長期的に行った、乗馬療法についての研究はほとんど行われていませんでした。
今回の研究の乗馬療法では、視覚カードなども利用することで話すことができない自閉症の子どもたちも対象としました。
「高度に構造化した乗馬療育プログラムは、子どもたちの注意を引きつけ、集中力を持続させることができると推測されました」
6歳から12歳までの自閉症と診断された84人の子どもたちが、特別支援学校などから参加しました。
半分の子どもたちが、週2回、1時間の乗馬療育を16週間に渡って受けました。
残りの子どもたちは比較対象として、16週間、定期的に乗馬療法ではない療育を受けました。
84人の子どものうち15人が様々な理由でこの研究の参加を止めています。
そのうちの8人は馬に対する恐怖が理由となっています。
乗馬療育の効果の評価は実験開始の1週間前、16週間の中間時点、終了後で実施しました。
乗馬はすべて中国山東省済南市の国際馬術訓練センターで行われました。
実験の結果、乗馬療育を受けた子どもたちは、そうでない子どもたちに比べて、総合的な社会性とコミュニケーションにプラスの影響があったことが示されました。
中間時点での評価から終了後の評価にかけて、総合的な社会的相互作用のスコアに顕著な改善が見られました。
「乗馬療育を受けた子どもたちは、コミュニケーションの評価の7つの項目のうち6つで有意な改善を見せました」
そう研究チームは報告しています。
「乗馬療育を16週間受けた子どもたちは、乗馬療育を受けなかった子どもたちに比べて、社会的相互作用、コミュニケーション、責任、セルフコントロールに関わる、社会的およびコミュニケーションスキルが強化されていました」
(出典:ニュージーランドhorsetalk)(画像:Pixabay)
お馬さんには素晴らしい力があることがこれまでの研究で伝えられています。
コロナ禍収束後、日本でもこうした機会が増えるといいですね。
(チャーリー)