- 自閉症の人がLGBTQ+であることを自認することで、どのようなメリットがあるのか?
- 自閉症とLGBTQ+に属することが、自分自身や周囲との関係にどのような影響を与える可能性があるのか?
- 医療提供者が自閉症とLGBTQ+の両方のニーズを適切に理解し、サポートすることの重要性はどういう点にあるのか?
性的アイデンティティ、嗜好について公然と話されることに躊躇する人がいるかもしれません。
しかし、自閉症の人にとって、この話題はより重要なことだと考えられます。
最近発表された研究、
「Straight Sex is Complicated Enough:ゲイ、レズビアン、バイセクシュアル、アセクシャル、その他多様な性の自閉症の人たちの体験」
で、ローラ・ルイス教授は自閉症でありLGBTQ+の人たちは、不安、抑うつ、性的虐待、自殺などのリスクが高い「ダブルマイノリティ」の一員であることを明らかにしています。
ルイス教授の研究では、研究に参加した人の7割がLGBTQ+であることを認めています。
そして、これらの人たちにとって、自分の性的アイデンティティを表現し、自分のニーズを伝えることを学ぶことは、自閉症に伴う不安、感覚過多、社会的孤立感を緩和する上で有益であることが確認できました。
この研究は”Journal of Autism and Developmental Disorders”に掲載されています。
自分たちのアイデンティティを理解し、人間関係のニーズを伝え、性的な親密さや生活の質に影響を与える感覚的・社会的ストレス要因を管理できるようにする。
そうできるように、LGBTQ+であることを自認する自閉症の人に対して、医療提供者が支援することが有意義であることをこの研究は示唆しています。
「自閉症は社会的関係を複雑にし、自分の感情を識別し、明確に表現することを困難にします」
そうルイス教授は述べています。
この研究の参加者の中には、自分の性的なアイデンティティが正しいものでないと、他の人から批判されていることをときどき感じていると報告する人もいました。
そして、この研究に参加した多くの人が、自閉症をかかえているためにLGBTQ+のコミュニティから疎外され、そして性的指向のために自閉症のコミュニティからも疎外され、二重に孤立した経験をしたと言います。
医療提供者は、このような状況を経験している患者に対して、重要な支援を提供することができる。
そう、ルイス教授は言います。
「自閉症の診断と性的指向の因果関係を暗示するような表現をしないことで、医療提供者は患者のアイデンティティを肯定することができます。
性的指向と自閉症診断をどのように開示するか、ホモフォビアにどう対応するか、恋愛関係の親密さと区別をどう設定するかなどのトピックに関わる性教育や議論を促すことも有益なはずです」
性の多様性と自閉症との関係についての研究はこれまでにいくつかお伝えしています。
過去に「『さらに自閉症でもある可能性が高い』なんて差別するな」
というようなクレームがありました。
もちろん、それらの研究も私もまったく差別する気なんてありません。
それを見たとき、自閉症の子をもつ私としては「それこそ、そうやって自閉症を差別するな」と思ったものです。
こうしたことが「二重の孤立」につながっていくのだと思います。
ちょっと冷静になれば、つらい経験をしているからこそ、わかること、受け入れられることも多いのはないでしょうか。
(チャーリー)