- 自閉症スペクトラムの子どもや若者にビジネスや技術的なスキルを提供する非営利団体のCEOは誰か?
- TACTが提供する分野は何か?
- TACTの取り組みについて、何が注目されているか?
米アパラチア州立大学の卒業生であり、グラミー賞受賞者のダニー・コムズは、ソングライター、演奏家、ギター講師、作家として音楽のキャリアで成功しました。
そして現在、自閉症スペクトラムの子どもや若者にビジネスやや技術的なスキルを提供する非営利団体「ティーチング・オーティズム・コミュニティー・トレイズ」(TACT)のCEOを務めています。
2010年に、息子のディランは2歳で自閉症と診断されました。
2016年にコムズはTACTを作りました。
自閉症の人のためのTACTは、自動車整備士、大工、電気、溶接、コンピュータサイエンスの分野で、自閉症の若者たちに学びの機会を提供しています。
ここでは、自閉症スペクトラムの5歳以上の子どもたちを対象としたキャンプやワークショップも開催しています。
アート、楽器製作、写真、電子機器など、さまざまな将来の仕事につながっていく入門的な指導を行っています。
米国では自閉症の人たちの失業率は90%で、高い水準にあるといいます。
現在までに、TACTで500人以上が学び、就職を支援してきました。
コムズはこう言います。
「自閉症の人たちは細部にまで気を配り、集中力があり、仕事へ高い定着率を持っている傾向があります。
ここで学んだ自閉症の人たちは、とても求められていて、良い賃金を得られるキャリアとなる分野で雇用されています」
コムズはTACTでの仕事でもっともやりがいを感じていることについて言います。
「世の中の自閉症の人へのプログラムの多くは、苦手なことをベースにしたもので、その人に何が欠けているのか、何が間違っているのかを特定し、それらを修正しようとするものです。
TACTでは、得意とする分野を見つけて、何ができるかをアピールできるようにします。
自分の子どもが得意なことを持っていると言われたのは初めてだという、保護者もよくいます」
息子のディランが2008年に生まれたとき、コムズは作曲家やパフォーマーとしての音楽キャリアの絶頂期にいました。
テイラー・スウィフトやフェイス・ヒルを含む複数の音楽アーティストのツアーに参加してギターを弾き、自身のデビューアルバムもリリースしたばかりでした。
コムズは幼い頃から音楽への愛を育み、クラシックギターを弾き、アパラチア州立大学の音楽科でギターを教えるダグラス・ジェームス博士のもとで学ぶことを選びました。
「ジェームズ博士は私が尊敬していた人だった。私は彼の才能と教授法に感銘を受けました」
この大学の教授陣が、プロのミュージシャンとして成功するための姿勢、態度、プロ意識を彼の中に植え付けてくれたといいます。
数年間の演奏活動の後、音楽教育の修士号も取得し、高校で音楽を教え始めました。
2011年には考案した教育プログラムで、コムズはグラミー賞を受賞し、アレンジャーやソングライターとしてだけでなく、教育関連の書籍も出版しました。
しかし、一方で息子の世話をし、妻とともに自閉症について多くの時間を費やしました。
「誰も息子のディランのできることに注目しようとしませんでした。認めませんでした。
ディランは話すことができませんでした。
しかし、ダンボールでなんでも作ることができました。
それは素晴らしいことでした。
息子のDNAには、私と同じ創造性が刻まれていたのです」
そこで、コムズは自分の教育者の経験とビジネスの知識をあわせて、ディランだけでなく自閉症の人のための取り組みを始めたのです。
TACTの成功は全国的に注目を集めているといいます。
コムズは、他の都市にもこのプログラムを拡大したいと考えています。
(出典・画像:米アパラチア州立大学)
「できることに注目する」
そして、培ってきた経験や知識を活かし、自分の子だけでなく自閉症の人たちの役に立とうと取り組んで喜ばれている。
本当に素晴らしいです。尊敬します。
(チャーリー)