- 自閉症の子供の腸内細菌は他のきょうだいと異なるのか?
- 腸内マイクロバイオームを変えることで自閉症の症状が改善する可能性はあるか?
- 自閉症の子供の食生活や生活習慣が腸内マイクロバイオームに与える影響は?
自閉症をかかえる子どもは、きょうだいとは腸内細菌環境が異なっている可能性がある。
“the 2021 Society for Neuroscience Global Connectome”で、そうした研究結果が発表されました。
マイクロバイオーム(体内に住む細菌のまとまり)を変えることで、胃腸の問題や自閉症の特徴を減らすことができる可能性が、自閉症の子の家族たちに期待されています。
しかし、自閉症の人たちの腸内マイクロバイオームの研究はまだ少なく、また研究によっては矛盾する結果を示しています。
また、マウスを使った研究では正しく理解することも困難です。
今回の新しい研究では、自閉症の子どもと2歳以内の違いの2歳から7歳のきょうだいがいる、111の家族が研究に参加しました。
「私たちは『きょうだい』がいる家族に参加してもらうことで可能な限り正確なものにしようとしました。
そうすることで、家庭環境、ペットなど、マイクロバイオームに影響を与える可能性のある原因をしぼることに役立ちました」
この研究のリーダーである、米オレゴン州立大学の微生物学のモーデ ・ デイビッド助教授が言います。
研究チームは2週間間隔で3回、子どもたちから便のサンプルを採取しました。
複数回の採取によって、子どもたちの腸内マイクロバイオームの短期的な変化(日々の食生活の変化などの一過性の環境の影響によるもの)が研究結果を歪める可能性を減らしました。
研究に参加した家族はまた、子どもの自閉症の行動、食習慣、ビタミン、サプリメント、抗生物質の使用、胃腸および一般的な健康についての情報を報告しました。
これらの情報を、研究チームは、生物のグループや分類群の違いを調べる際に役立てました。
「これらすべてを見ると、自閉症の子どもたちの中でもグループが別れます」
デイビッド助教授らの研究チームは、72の家族から採取した432の便サンプルの微生物遺伝物質を分析しました。
その結果、自閉症でないきょうだいよりも、自閉症の子どもに多く存在する可能性が高い8つの最近の遺伝子配列と、存在する可能性が低い3つの遺伝子配列を発見しました。
しかし、これらの遺伝子配列は、どの種の最近を正確に表すのかは、またどう機能しているのかについてはまだ明らかにはなっていません。
研究チームはまた、子どもたちのマイクロバイオームとさまざまな生活習慣や食生活の要因との関連性を探るために統計的分析も行いました。
その結果、マイクロバイオームに影響を与え、自閉症にも関連するいくつかの変数を発見しました。
例えば、自閉症の子どもたちは乳糖不耐症である可能性が高く、乳製品を敬遠します。
また、自閉症でない子どもたちに比べて、果物を食べることが少ない傾向がありました。
どちらの食生活も、マイクロバイオームに強力な影響を与える可能性があります。
結果のもう一つの確認として、研究チームは機械学習アルゴリズムを使って、収集したメタデータのさまざまな組み合わせに基づいて、子どもが自閉症かどうかを予測できるようにしました。
腸内マイクロバイオームに関する情報を追加すると、このアルゴリズムの精度がわずかながら改善しました。
腸内細菌の状況が自閉症の子どもでは異なるため、その状況を変えることで自閉症の子の胃腸の問題や症状を緩和できるかもしれない。
そこで期待されているのが「便移植」です。
それにつながる研究です。
実際に効果が認められるのなら、痛みなどもない治療方法になるため期待するところです。
(チャーリー)