- 発達障害の人が仕事の面接でうまくいかないのはなぜですか?
- 自閉症スペクトラムの人々が得意とする職種にはどのようなものがありますか?
- 神経多様性を理解し、積極的に採用している企業はありますか?
ゴードン・ダグラスは20代のほとんどを生活保護で過ごしました。
ダグラスの「違い」を乗り越えてくれる雇用主を見つけるのに苦労しました。
34歳のダグラスは、仕事の応募をし続けてきました。
しかし優秀で知的であったにもかかわらず、面接で多くは落ちました。
そうなる理由は、ダグラスは社会的な合図を読み違えてしまうこと、そして彼のクセをどのように解釈すればいいのか、面接側がわかっていなかったためだといいます。
ダグラス氏はこう言います。
「ああ、この人は目を合わせない。
それなら、私たちと仕事はできない。
面接で何度もそう言われました」
現在、ダグラスは政府機関のサービス・オーストラリアでセキュリティに関わる仕事に就いています。
サービス・オーストラリアの広報担当者ハンク・ジョンゲンは、同機関は5年間、自閉症スペクトラムの人たちを積極的に採用してきたと言います。
「彼らは、データ分析、プログラミング、細部への注意力を必要とするなど、非常に望ましいスキルを持っています。
私たちは様々な分野での多様性を奨励しています。
模範的な雇用者となる機会を常に探しており、常にオープンマインドで臨んでいます」
25歳のニック・バーレイも、現在はサービス・オーストラリアの別のセキュアな職務に就いています。
「細かいことは言えませんが、私たちがやっていることは、詐欺事件を特定するためのデータ分析手法の開発です」
そうバーレイは言います。
「自閉症の人たちは、よりルールを重視し、時間を守る傾向があります。
特にこのデータ分析のような仕事では、コーディングやロジックの理解が求められます。
それは、私たちにとって有利になることだと感じています」
しかしゴードンと同じように、ニックは従来の採用プロセスには苦労してきました。
「私は面接の会場に他の人と入ると、ちょっとパニック状態になってしまうのです」
ゴードンとニックの2人は、神経多様性のある求職者を支援し、希望する雇用主とのマッチングを行う、スペシャリスタン社のサービスを通じて、サービス・オーストラリアの仕事に就きました。
スペシャリスタン社のジェイソン・ホワイトは、「自閉症の人がもつ優位性」に注目していると言います。
「私は自閉症の人の利点は、本当に複雑な問題を解決できる、複雑な頭脳を持っていることだと思います。
私たちがしばしば目にする主な特徴の一つは、情報を解釈する、他の人とは異なる方法を持っているということです。
そして、これまで解決できなかった問題に対して、異なる解決策を見つけ出すことができるのです」
これまで、コーディングなどのIT関連の仕事に神経多様性のある人が配置されていました。
「IT の仕事は、IT で働くことに興味を持っている一部の人々にしか適さないことがわかっています。
それは、自閉症の人たち全員に適するわけではありません。
ですから、今後の最大の課題は、さまざまな人たちがキャリアを見つけられるような、他のタイプの仕事も見つけることです」
スペシャリスタンは、銀行や大企業、サービス・オーストラリアのような政府機関が、自閉症スペクトラムの人たちを雇用することのメリットを理解するようになってきたといいます。
「私たちは、このことを理解している人たちと仕事をしています。
彼らは、それが社会的に正しいことだから採用しているのではありません。
自閉症の人が優秀だから、採用しているのです。
競争上の優位性としてニューロダイバーシティに注目し始めています」
ホワイトは、雇用者は神経多様性のある人を採用したいと考えているが、従来の採用方法ではうまくいかないといいます。
「自閉症の求職者が直面する障壁のいくつかは、典型的な求人広告からもう始まっています。
見ず知らずの人との面接を通過し、時間の非常に短い空間で、自分について最高の印象を与えなければならないことは、私たちのほとんどにとってもとても困難です。
自閉症の人にとっては、それが信じられないほどのレベルの困難になります。
自閉症の求職者に対して、よりアクセスしやすくより利用しやすいように、採用プロセスを合理的に調整することが必要です。
それは、難しいことではありません」
ゴードンとニックにとって、自分たちの違いを受け入れてくれる雇用主を見つけたことは大きな幸せとなりました。
ゴードンはこう言います。
「ここで今、私はいじめとは全く正反対の経験をしています」
(出典・画像:豪abc)
海外には競争力を得るために、こうして発達障害の人を雇用する企業や組織がある。
法定雇用率を気にしているだけの企業、それに介在するサービス事業者には、まずそれを知ってほしいと思います。
そして、発達障害などをかかえる人にとって幸せに活躍できるのは、どちらの企業なのかを考えてほしいと願います。
(チャーリー)