- 自閉症スペクトラム障害の子どもは、大人になってもIQが向上する可能性がありますか?
- 自閉症スペクトラム障害の子どもにとって、主流の教育は特別支援教育よりも良い影響を与えるのでしょうか?
- 言語能力の早期退行があった場合、その後のIQの向上にどのような影響を与えるのですか?
発達障害である自閉症スペクトラム障害(ASD)と診断された人は、コミュニケーションと社会的相互作用の両方の質的な障害によって、生涯にわたって困難に直面します。
しかし、”Journal of the American Academy of Child and Adolescent Psychiatry (JAACAP)”に掲載された新しい研究では、ASDを持つ126人について、12歳から23歳までの間にIQが平均して7.48ポイント上昇したことが報告されました。
この研究では、言語能力の早期退行を経験し12歳の時点でコミュニケーションの問題が大きくなっていた人が、IQの上昇が最も大きかったことが示されています。
早期退行を報告していない人では6.6ポイントであったのに対し、退行したASDの人では15.4ポイントのIQ上昇が見られました。
一方で、IQの向上とは対照的に、親が報告した自閉症特性については、IQの向上と同じ期間内に変化はありませんでした。
なお、特別支援教育ではなく主流の教育を受けることは、さまざまな影響について考慮した後でも、自閉症の症状の改善との関連が見られました。
自閉症である人の割合を推定するために2000年に初めて調査されたUK Special Needs and Autism Project で対象となった人たちの9歳から10歳の56000人以上の子どもたちのなかから、12歳で自閉症と診断された158人の子どもたちについて16歳になったとき、23歳になったときに追跡調査を行いました。
IQと自閉症特性は、自閉症の人の成人後の自立可能性について最も予測できる因子の一つです。
IQは年齢ごとに標準化されているため、年齢が増えるだけで変化するものではありません。
平均して7.48のポイントも向上したのは大きな向上です。
それは、保護者や教師にもわかる程度になります。
この研究を行った英キングス・カレッジ・ロンドン児童・思春期精神医学のエミリー・シモノフ教授はこう言います。
「このIQの向上は、学習能力の本質的な改善ではなく、テストの受け答えのスキルの向上やテストを受けるモチベーションがあがったことも、原因の一部であることは否定できません。
しかしもしそうであっても、それは自閉症の人にとって新たな教育や雇用の機会につながる実生活機能の向上といえるものでしょう」
今回の研究は、早期の言語退行がIQの軌跡に影響を与えることを示した初めての研究にもなります。
これまでの研究では、言語退行のある人はそうでない人たちよりも初期の認知発達が進んでいたことは示されていました。
また、自閉症や知的障害の専門家による教育と比較して、より一般的な教育が、自閉症の症状をより少なくするということが今回の研究でわかりました。
それは、自閉症の子どもたちへの教育の政策立案にも重要なことになるでしょう。
「私たちの研究で行った統計的アプローチは、他の可能性を考慮したものです。
それでも、測定されていない特性がこの結果を促進していることを完全に排除することはできませんが、私たちの研究結果では、自閉症の子どもたちにとってはインクルーシブ教育が社会的に有益なものであることを示唆しています」
しかし、すべての児童生徒が同じ主流の教育を受けられるわけではありません。
その一方で特別支援教育を受けるべき、最もな特性を特定することができれば、自閉症の子どもたちへより効果的な教育が行える可能性があります。
(出典:米NEWS MEDICAL)(画像:Pixabay)
うちの子も2歳頃までは言葉を発していたのですが、消えてしまいました。
それから話すことはありません。
なので、大きくなってからもIQが向上するという研究結果はとてもうれしくなります。
うちの子も、私の言っていることを理解することが多くなっているのでますますの成長を期待できます。
(チャーリー)