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ゲームは自閉症の人たちが自発的創造的に取り組む療育方法になる

time 2020/12/12

この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。

ゲームは自閉症の人たちが自発的創造的に取り組む療育方法になる
  • 自閉症の子供を支援するためにはどんな療育方法が有効ですか?
  • ゲームを使って自閉症の子供たちがどんな社会的スキルを学べますか?
  • 自閉症の子供とそうでない子供が一緒に楽しく活動できる方法は何ですか?

人口の約2パーセントが発達障害の自閉症をかかえています。
社会性やコミュニケーションの違いだけでなく、強いこだわりや反復的な行動ももっています。

自閉症の人を支援するために、社会的コミュニケーションや他の認知的、学習的、身体的問題の改善を目的とした多くの療育方法が開発されてきました。
それらの多くは、自閉症でない人のようになる方法を教えることに焦点を当てています。
そうしたことは自閉症を否定するもので自閉症の人の尊厳を損なう可能性がある、そう批判する自閉症の人たちもいます。

一方で、ゲームを使った療育は自閉症の人たちが自発的に、創造的に取り組める療育方法になる可能性があります。

児童心理学者の第一人者であるピアジェが詳しく述べているように、遊びは子どもが新たな認知スキルを獲得する機会となります。

例えば、まねっこ遊びをすることは、自分の誤ったに考え気づく機会ともなります。
ボードゲームで遊べば、お互いに協力することや戦略を立てることを学びます。

重要なことは、競争や協力的なゲームで他の人と遊んでいると、コミュニケーション、アイコンタクト、感情の調節、感情の認識、スポーツマンシップなど、さまざまなスキルを練習し、発達させることができるということです。

すべてのプレイヤーが同じ活動に集中しゲームの勝利に向けて相互にやりとりをすることになるので、他人と同じことに注目し、共同して行動することをそこで学んでいます。

このようにゲームは表向きは楽しい余暇活動ですが、どのようなゲームであっても集団の中で他のプレイヤーと社会的に交流する方法をプレイヤーは学びます。
そして、成長したことが明らかになる「得点」が組み込まれているため、ゲームは他の療育方法よりも何倍も大きな動機をもてる可能性もあります。

こうした理由から、自閉症の人たちの生活を改善したいと考えている研究者が療育方法を設計するときにゲームに目を向けるのは当然のことでしょう。

いくつかの療育、特に低年齢の子どもに対する療育では社会的反応性を高め、仲間との社会的行動を改善するために、ゲームで遊ぶ行動アプローチが含まれています。

例えば、片面に子どもの好きなキャラクターを、もう片面にはそのキャラクターが状況にあわせた適切な行動を描いた小さなカード「パワーカード」を使用して、仲間とのゲームプレイ中に二人の自閉症の子どもにスポーツマンシップを教えています。

忍者タートルズに興味を持っていた子どもは、ゲーム中に、適切に振る舞うタートルズの一人の視点で描かれたパワーカードを見せてくれます。(「やったね!」「勝ったね!」と言っている)
ゲームに参加する子どもたちには、ゲームプレイの始めにこれらのカードを確認してもらい、必要に応じて、適切な行動を忘れてしまったときには、カードを確認するように促します。
そうした結果、参加した子どもたちは仲間とゲームをする能力が有意に向上していることが確認されています。

社会的コミュニケーション能力をこうして明示的に教えるだけでなく、いくつかのゲームではゲームの仕組みの中で、社会的コミュニケーション能力が育まれるようになっています。

特定の感情的能力のスキルをターゲットにするために、すでに子どもたちに人気の3つの既存のボードゲームを少々変更して利用されました。

研究者たちは「コードネーム」というゲームでは、チームが正しいカードを当てるための手がかりとして任意の単語を選ぶのではなく代わりに、感情をあてるために単語を手がかりとして選ぶようにしました。

その結果、感情バージョンのゲームをプレイしても、子どもたちは、既製品そのままのゲームをプレイした子どもたちと同じくらい楽しむことができていて、人気のあるゲームの面白さを損なうことがなく、ゲームを社会性を育む療育に利用することができました。

自閉症の2人のプレイヤーと、人間と言語的・物理的に対話することができるロボットのKASPARと一緒にプレイするまねっこゲームが開発されています。
KASPARと一緒にゲームをプレイしているときの方が、自閉症の2人の子どもだけでプレイしているときよりも、子どもたちがお互いに交流する時間が長いことがわかっています。

ある研究では、自閉症の子どもたちがデジタルのテーブルに表示され、プレイヤーがパートナーと同時にデジタルパズルのピースを動かすことを要求される「コラボレーティブ・パズル・ゲーム」をプレイしているときの、お互いに交流する能力が測られました。

その結果、このような共同作業を要求されたプレイヤーはより協調性をもち、より複雑な相互作用ができるようになったことが示唆されています。

ゲームで学んだり遊ぶことは、子どもたちがお互いに自立した関係をもてるようにしてくれます。
それは、子どもの発達の礎となるものです。

自閉症の子どもたちは、しばしば仲間との関係をつくることが困難であり、孤立してしまうことがあります。
ゲームで遊ぶスキルが育つことは、仲間をつくるのに役立つ社会的資本になることにもなるでしょう。

自閉症の子どもとそうでない子どもに、ゲームのような自然な動機づけのある活動の中でつながる機会を作れば、自閉症の子どもとそうでない子どもが共通の関心でつながることもできるのです。

(出典:米Psychology Today)(画像:Unsplash

楽しく夢中になってその結果、成長にもつながる。

最高の療育方法だと思います。

どんどん、こうした夢中になれることで伸ばしてくれる療育方法が普及していくといいなと願います。

テーブルトークRPGで自閉症の人たちが楽しみ日常スキルも育む

(チャーリー)


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