- 自閉症の人は他人の視線に注意を向けることができるのか?
- 自閉症の人の社会的注意力はどのように発達するのか?
- 自閉症の人の視線パターンと社会的行動には何か関連があるのか?
アイトラッキングによる新しい研究によれば、発達障害である自閉症の人たちは、自閉症でない人たちが行っているように他の人の視線にあわせて注意の目を向けることはありません。
この研究は、自閉症の人たちの社会的注意力の動機についての理解を深めるものとなります。
また、自閉症の特徴を評価するための潜在的な生物学的変化の指摘につながると研究チームは述べています。
自閉症の人が画像を見ると、顔やその他の社会的刺激を見る時間は少なく、非社会的要素を見る傾向が強いことがこれまでの研究で明らかになっています。
自閉症でない人たちに比べて、自閉症の人たちは社会的な刺激から情報を収集することが難しいために、この違いが生じていると説明する研究者もいます。
今回の新しい研究結果は、その考えを支持するものです。
自閉症の人と自閉症でない人が、野菜を切るなどの基本的なタスクを実行している間にお互いを見て、協同して、会話をしている 2 人の短い動画を見ました。
視線を追跡するアイトラッキングの結果、自閉症でない人は動画の中の人がどこを見ているかによって視線を移動させていました。
しかし、自閉症の人にはそれはありませんでした。
自閉症の人は自閉症でない人よりも活動を見ている時間が長く、人の顔を見ている時間は少なくなっていました。
なお、これらの行動は年齢とともに変化していました。
自閉症の幼児の場合では、自閉症でない幼児よりも、活動を見てる時間は少なくなっていました。
研究チームは6歳から63歳の、自閉症の122人と自閉症でない40人が、4つの20秒の動画で動画に映る俳優の顔や体、活動が行われている場所や背景を見ている時間を測定しました。
自閉症ではない人は、俳優が活動に固執しているときは活動を見ている時間が多く、俳優同士が見つめ合っているときは俳優の頭を見ている時間が多くなっていました。
この研究を行った、米ニュージャージー州にあるヤンセン研究開発センターの神経科学部門のアビゲイル・バンゲルターは、これは6歳までに自閉症でない人は他人が何に注目しているのかに気づき、それにあわせて反応することを示唆しているといいます。
自閉症の人は俳優の視線に基づいて視点を変えることはありませんでした。
また、自閉症の有無にかかわらず、大人は子どもよりも俳優の頭を見る傾向が強く、共有されている活動を見る傾向が少なかったことから、社会的注意のパターンは発達に伴って変化することが示唆されました。
なお、バンゲルターらの研究チームは、視線パターンと社会的行動との間に関連性を見出すことはできませんでした。
この研究は”Molecular Autism”で発表されています。
うちの子にも、確かにこれはありません。
私が何かを見ていても、自分からそれに目を向けることは小さな頃からありません。
今でも必要なときには、やさしくくいっと顔を向けさせています。
猫は仲間になり発達障害の子の社会的スキルの向上を助けてくれる
(チャーリー)