- 何が原因で子どもが放浪するのか?
- 放浪した子どもの状態が発見されるまでどれくらいの時間がかかるのか?
- どのような対策が放浪による死亡やケガを防ぐのに効果的なのか?
どこかにいなくなってしまうことは、子どもたちにあるよくあることです。
多くの親がすぐ見つけることができずに、不安になったことがあるでしょう。
しかし、発達障害である自閉症スペクトラム障害の子をもつ親にとっては、幼い頃に限らずよくある出来事です。
2020年米アカデミー小児科全国会議で、米ケネディ・クリーガー研究所と米ジョンズ ホプキンス医学部のポール・リプキン准教授が「自閉症の危険性:いなくなってしまう子どもの安全」で、この深刻な出来事について発表しました。
リプキン准教授は、徘徊、逃走、放浪など、いなくなってしまった自閉症スペクトラム障害の子どもの多くは死亡していたことを指摘しています。
2011年以降、自閉症スペクトラム障害の人が行方不明となったのは1500件以上でした。
そして、そのなかの200件以上で死亡していたことが報告されています。
自閉症スペクトラム障害の人がどこかに行ってしまった場合に、約3分の1は死亡しているか医療処置が必要な状態で発見されています。
アメリカでは毎月約20件の放浪があり、2〜3件が死亡で発見されています。
死亡に至るケースのうち、71パーセントは事故による溺死です。
そのうち76パーセントは排水溝や自然の水域で起きていました。
放浪する子どもは10〜14歳が最も多くなっています。
死亡者数は5〜9歳が最も多くなっていました。
死亡リスクは5歳未満が最も多く、放浪した子どもの約6割が死亡していました。
親は子どもの放浪を防ぐために、囲いでおおったり、警告ブレスレットなどのデバイスを使ったりしています。
ほとんどの家庭では、少なくとも6つの異なるツールを使用しており、その負担は大きいと考えられます。
これらの家族の多くは、小児科医から問題の助けを得ておらず、代わりに自閉症スペクトラム障害の人を擁護するグループや学校、自閉症スペクトラム障害の子どもを持つ他の親たちに頼ることが多くなっています。
放浪によるケガや死亡を防ぐために、医師がより重要な役割を果たすためには、診察のたびに子どもの行動について尋ね、監視し、安全性を向上させるために地域の機関と協力し、より良い安全性のために地域内外で提唱し、家族に教育やリソースを提供する必要があるとリプキン准教授は言います。
4歳以上の自閉症の子の親の約半数が、自分の子どもが逃げようとしたか実際にどこかに行ってしまったと答えています。
自閉症スペクトラム障害の子どもとそうでないきょうだい子がいる親を対象にした調査が行われました。
4〜7歳の子どもでは、自閉症の子どもの46パーセントが放浪したのに対し、そうでないきょうだい子は11パーセントでした。
8〜11歳の子どもでは、自閉症の子どもの27パーセントが放浪したのに対し、そうでないきょうだい子では1パーセントでした。
このデータから逃走や放浪は、子育てのしかたではなく、自閉症スペクトラム障害の特質に起因していることが示されます。
親は、子どもがさまよった理由をいくつか報告しています。
その中には、探検や走ることの楽しさなどのポジティブな要因も含まれていますが、不安を誘発する状況から逃れるため、大きな音がするなどのネガティブな理由も含まれています。
また重要なのは、子どもの放浪行動が親にも影響を与え、ストレスや夜の睡眠不足、外出先での満足度の低下につながっています。
放浪による溺死を防ぐためには、実際の生活状況にあわせて、完全に服を着て靴を履いたまま泳ぐことを自閉症の子どもに教えることも有効です。
(出典:米Contemporary PEDIATRICS)(画像:Unsplash)
うちの子も小さな頃に祖父母のマンションの部屋からいなくなってしまい、必死に探し回ったことがありました。
また、大きくなった最近でも、自宅から出て行ってしまったことがありました。
このままいなくなってしまったらと、本当に不安と恐怖を感じました。
目を離さないこと、出ていけないように防ぐ工夫、ずっと必要です。
(チャーリー)