- 自閉症の子どもたちの会話スキルを向上させるためには、どのようなコミュニケーションが重要なのか?
- 自閉症の子どもたちの言語スキルを伸ばすには、どのような社会的動機付けが効果的なのか?
- 自閉症の子どもたちの社会的動機付けが、言語能力にどのような影響を与えるのか?
新しい研究によれば、自閉症の子どもたちも、幼児のときに他の人に耳を傾け、コミュニケーションをとればとるほど、その後の会話のスキルが向上します。
この研究結果は、自閉症の社会的動機付け理論を支持するものです。
自閉症の社会的動機付け理論は、自閉症の子どもたちは社会的な合図に興味をもたなかったり、社会的なやりとりを求めなかった結果として、練習や機会がなくなるために言語スキルが身につかないという考えです。
今回の研究結果は、親や医師は自閉症の子どもの社会的動機付けを高めるべきであることを示唆すると、この研究には関与してない、米ワシントン大学の精神医学・行動科学のエミリー・ノイハウス助教授は言います。
今回、研究チームは次の発見しました。
次の2つの方法による社会的動機付けが、自閉症の子どものより良い表現力のある言語、または思考やアイデアを伝える能力の発達を導きます。
子どもたちがコミュニケーションを取ろうとすることを後押しする。
他の人のコミュニケーションに耳を傾けることを奨励する。
今回の研究に参加した米デラウェア大学のパンプキ・レイ・スウ博士はこう言います。
「両方が必要です。一つだけでは言語能力の向上には十分ではありません。
そして、一方通行ではだめです。
この研究結果は、自己強化型の言語発達の理論を裏付けるものです。
子どもがコミュニケーションを取ろうとすればするほど、他の人からのコミュニケーションを引き出すことができ、他の人からのインプットが増えれば増えるほど、自分の意見に耳を傾けるようになり、表現力のある言語を磨くことができます」
スウ博士らの研究チームは、測定開始時に生後14ヶ月から31ヶ月であった87人の自閉症の子どもたちの社会性とコミュニケーション能力に関する、別の研究で利用された親のレポートのデータを分析しました。
研究チームは、初期のテストでの子どもたちの社会的動機付けスコアと、2年後に評価された表現的言語スキルとの間に強い関連性があることを発見しました。
その理由は次のように考えられます。
社会的動機づけされている自閉症の子どもは、他の子どもよりもコミュニケーションをとろうとします。
そして、他人の言葉やジェスチャーへ調整する能力が高まり、受容的言語スキルが高まっていく。
研究チームは、アーリーコミュニケーション指数と呼ばれる短い遊びをベースにしたテストで測定された、他者とのコミュニケーションをとろうとした頻度と、受容言語能力についてのデータを用いて、その考えを検証しました。
この研究は、”Autism”に掲載されました。
その後の発達を改善することが期待できる生活スキルを特定できたのは、本当に素晴らしい研究だと、米ジョン・キャロル大学の心理学のトーマス・フレイジャー教授は言います。
しかし、フレイジャー教授は測定結果についていくつかの懸念があると言います。
「私の最大の懸念は、実際には自閉症の子どもの社会的動機について、きちんと測定できていない可能性があることです。
もし親がそれを区別できていなければ、親がレポートしているのは社会的モチベーションではなく、社会的コミュニケーション能力かもしれません。
そうであれば、もともとコミュニケーション能力の高い人が、その後に評価された表現言語能力でも高いというだけかもしれません。
しかし、この研究結果が正しいとするならば、
社会的動機づけを、生物学的にも行動的にも発達をもたらすものとして、療育に活かすべきかもしれません」
そのためには、脳の報酬系に作用し社会的動機を改善することが示されているオキシトシンやバソプレシンなどの薬物を使用することも一つの方法となります。
この研究を行った、米バンダービルト大学の特別教育のポール・ヨーダー名誉教授らは親のコミュニケーションがどのように子どもの受容言語と、最終的には自分自身を表現する子供の能力に影響を与えるかを、今後研究で確認したいと考えています。
うちの子はお話をすることができません。
今はしっかりしてきた感じがしますが、幼い頃は視線も散漫な感じがしました。
視力も良くなく、当時医師からこう言われました。
「興味を持って見ようとしないので、視力もつかない」
確かに、そうだと私も思います。
視力、会話、なんでもまずは「興味を持つ」ようにサポートすることが重要なはずです。
(チャーリー)