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発達障害の子どもたちにいじめについて尋ねることを強く薦める

time 2020/10/08

この記事を読むのに必要な時間は約 8 分です。

発達障害の子どもたちにいじめについて尋ねることを強く薦める

発達障害をかかえる思春期の子どもたちは、いじめを経験する可能性が高くなっています。
そして、自殺願望をもっている可能性も高くなっています。

私たちは、発達障害などでない思春期の子どもたちでも、いじめが自殺に関係することを知っています。

いじめを経験した子どもたちは、いじめを経験していない子どもたちに比べて、1.4倍から10倍も自殺願望をもっていたり、行動を起こす可能性があります。

そして、精神疾患と診断されたすべての人が自殺願望や行動を経験するわけではありませんが、自殺願望を持つことは、ほとんどの場合、精神疾患と密接に関連しています。
この点についても、典型的な発達段階にある子どもよりも発達障害の子どものほうが多く見られます。

発達障害の青年が精神疾患もかかえることが多いのは、生物学的な脆弱性が根底にあること、あるいは典型的な発達をしている仲間よりも多くのストレス因子にさらされていることを反映しているのかもしれません。

私たちは、いじめを経験した発達障害の青年は後に自殺思考をもったり、行動を行うことが、発達障害などでない人に比べて、可能性が2倍にのぼることを発見しました。

私たちの研究結果は、発達障害の若者をいじめから守る重要性を訴えるものです。

私たちは、南ロンドン、イングランドのメンタルヘルスクリニックに通う680人の発達障害の青年の臨床記録を調べました。

初診時には、自殺願望などをもっていなかった青年に注目しました。
最初の評価では、青年の30パーセントがいじめを受けたことがあると報告しました。

その青年たちは、その後5年の間に自殺念慮や行動をとるようになりました。
それは、いじめを受けていなかった青年の約2倍の確率となります。

私たちの調査結果は、自殺の因果関係の理論のいくつかを支持するものです。
帰属意識は、自分が他者に受け入れられているという感覚のことです。
結婚していること、子供がいること、友達が多いことは、自殺率が低いことと関連しています。
仲間からいじめられることが、帰属意識に悪影響を与えることは容易に理解できます。

いじめを経験した若者はまた、つらい経験に慣れてしまい、その結果、他の若者よりも死への恐怖を感じにくくなることがあります。

私たちの経験では、発達障害の青年を診ている専門家たちは、いじめについて尋ねる必要がないほど、蔓延していると考えているようです。

しかし私たちは、専門家がこのような傾向と戦い、発達障害の子どもたちにいじめについて尋ねることを強くお勧めします。

そして、発達障害の子どもが精神保健の専門家にいじめを報告したときには、真剣に受け止める必要があります。
私たちの研究では、いじめは自殺のリスクに寄与するだけでなく、発達にも影響を与えることが示唆されています。

ほとんどの療育などのサービスでは、専門家が子どもとのセッション中に収集すべき重要な情報について定期的な評価が行われています。
私たちは、これらの評価にいじめに関する情報を追加すべきであると考えます。

会ったばかりの専門家にいじめについての情報を共有することに抵抗を感じる思春期の子どももいるはずです。

しかし例えば、「今、誰かがあなたに意地悪をしていると感じますか」とシンプルに尋ねるなど、早い段階でいじめについて尋ねることで、いじめについての情報を明らかにすることができます。
そして、子どもたちには、いじめが専門家に相談するにふさわしいことであることを明確に伝えることができます。

いじめに関する情報を本人から直接収集することが難しい場合には、専門家は家族や介護者、学校に問い合わせるべきでしょう。

学校の教師にも重要な役割があります。

学校では、教師が保護者と面談し、集中的にいじめを防止するようにすることが最も効果的であることが示されています。
学校はまた、発達障害の子どもがそうでない子どもたちと友情を形成するのを助ける「友だち作り支援」を含む、発達障害の子どもに特化した、いじめ防止戦略を行うことも効果があります。

学校は、いじめ防止方針の策定に発達障害の子どもに関わってもらい、このような支援の有効性についてもしっかりとした評価を行わなければなりません。

転校は最後の手段であるべきと考えますが、必要な場合もあるでしょう。

このような転校は、転校先の学校や専門家の意見を取り入れて十分に計画して行いましょう。
学校は通常、早期段階の支援に熱心であり、転入生の移行を成功させたいと考えています。

専門家や教師は、発達障害の子どもたちが帰属意識を育み、周囲の人々に自分がもたらす価値を認識できるような支援を行うことに焦点を当てるべきです。

実際、これらのアプローチは、いじめを防ぐための普遍的なアプローチとして、発達障害の子どもに限らずすべての生徒に適用することができます。

専門家はまた、学校の指導者がいじめ防止戦略を維持できるように支援する必要があります。
とくに、いじめが青少年の精神的健康に及ぼす深刻な影響や、発達障害の人たちを支援するための的を絞ったアプローチの必要性などについて、定期的に啓発キャンペーンを行うことを提唱する場合には、専門家が学校の指導者にアドバイスすることはとても重要になるはずです。

学校を拠点としたいじめに加えて、今ではネットいじめも新たな懸念事項となっています。

いじめ防止の取り組みの大部分は、子ども、教師、保護者がいじめを認識し、報告するように教育することに焦点を当てています。
しかし、発達障害の若者がすべての形態のいじめから同じように影響を受けるとは限らないと考えられます。
そのため、さらなる研究が必要となっています。

イギリスの国民保健サービスが発表した「長期計画」の最新版では、メンタルヘルスの専門家に対して、診察室の枠を超えて、地域社会におけるメンタルヘルスの取り組みについて考えるよう呼びかけています。

いじめ防止の取り組みは、学校やウェブサイトに委ねられていることが多くなっています。
しかし、いじめがメンタルヘルスに及ぼす深刻な影響を考えると、メンタルヘルスの専門家は、いじめ防止の取り組みの開発と評価において、もっと積極的な役割を果たすべきです。

イギリスのキングス・カレッジ・ロンドンの児童・思春期精神科の上級臨床講師 ジョニー・ダウンズ、
サウス・ロンドン・アンド・モーズリーNHS財団トラストの臨床心理学者 レイチェル・ホールデン

(出典:米SPECTRUM)(画像:Pixabay

いじめられた方はそれに一生涯、影響を与えられます。

いじめは絶対に許せません。

いじめる子をどこかにやってください。

発達障害の子をいじめから守る有効な方法は、すべての子にとっても役に立つことは間違いありません。

みんなで一緒に歌えば発達障害の子へのいじめが減るという研究

(チャーリー)


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