- 自閉症と視覚障害が重なる理由は何か?
- 自閉症の人が視覚問題を抱えることでどのような影響を受ける可能性があるか?
- 視覚障害を持つ自閉症の人に適した支援方法は何か?
1000万人以上の子どもの医療記録を見直した研究で、自閉症の子どもの13.5パーセントが視覚障害もかかえていることがわかりました。
発達障害などをかかえない子どもではそれは3.5 パーセントにとどまります。
米ロサンゼルス小児病院の小児眼科医メリンダ・チャンらの研究チームにより行われたこの研究では、自閉症の子どもはそうでない子どもに比べて約5倍、眼球がけいれんしたように動く眼振をもっている可能性があり、斜視は3.5倍、弱視は2.5倍、かかえる可能性があることがわかりました。
なぜ、自閉症と視覚の問題が重なることが多いのかは、わかっていません。
「自閉症の子どもたちは多くの感覚異常をかかえています。
視覚は明らかに感覚システムです。
そして、自閉症の子どもの視覚障害がどれほど発達に影響を与えるかは想像できるはずです」
このような視力の問題は、自閉症の特性にも影響を与えている可能性があります。
「例えば、視覚に問題があるために、相手の視線にあわせることができない可能性があります」
そうチャンは言います。
これに対し、米マサチューセッツ工科大学の視覚・自閉症の専門家で計算神経科学者のパワン・シンハはそれはあり得ないと考えています。
「自閉症の子どもの視覚による相互作用が、発達障害などでない子どもと違うことに議論の余地はないと思います。
しかし、その理由は視覚の問題が原因なのではなく、脳が違うことが原因だと考えます」
自閉症の人たちが、そうでない人たちとは異なる視覚の問題をかかえているとすれば、それは研究にも影響を与える可能性があるとチャンは言います。
たとえば、自閉症の人たちを対象に視線を追跡することを利用する研究では、視覚の問題を考慮したものはほとんどありません。
チャンらの研究チームでは、視覚に問題をかかえる自閉症の子ども、視覚に問題をかかえない自閉症の子ども、自閉症でない子どもについての眼球の運動パターンも比較しています。
そして今後は、自閉症の子どもの視覚の問題を治療することで、彼らの視覚的注意力が向上し、行動が変化するかどうかを研究したいと考えています。
視覚障害もかかえる自閉症の人を理解することは、一般的な自閉症についてもよりよく理解できるようになる可能性があります。
視神経低形成や先天性失明の子どもの発達を追跡することは、科学者が自閉症の初期徴候を特定するのに役立つかもしれない、と米ロサンゼルス小児病院の目の先天性欠損プログラムのディレクターであるマーク・ボルチャートは言います。
さらに、視覚障害もかかえる自閉症の人についての研究は、新しい治療法のためのアイデアを促す可能性もあります。
多くの研究では、先天性失明児の自閉症の特徴は時間の経過とともに減少することが示唆されています。
視力に問題がある自閉症の子どもについてまれにあるケースとして、子どもたちは思春期までには自閉症と診断される基準を満たさなくなりました。
この子どもたちが、視覚を介さずに共同注意やその他の社会的スキルを発達させる方法を身につけていたとすれば、そのメカニズムが明らかになれば、他の自閉症の子どもたちにも役立つ方法が考えられます。
応用行動分析や絵カードを使ったコミュニケーションなど、自閉症の子どもによく行われている方法では、視力に問題をかかえる子どもには効果はありません。
一方で、子どもの手の上に手を置いて動きを誘導するなど、目の見えない子どもに用いられる指導法の中には、自閉症の子どもには難しいものもあるからです。
うちの子はそもそも意思表示が難しいので、視力検査もどれほど正確に行えたかわかりませんが、視力が弱いと診断されています。
診断されたときには、すぐにメガネも作りました。しかし着けるのを嫌ってどこかにいってしまいました。
最近は呼びかけると私の顔を見てくれますが、小さなころは目が開いていてもいつもぽーっとした視線、焦点が定まっていない感じでまわりを見ていました。
メガネをすぐに作った理由にもなりますが、小さなころには次のことを危惧しました。
1.よく見えないので、関心がもてない。
2.関心がもてないので、目に力を入れて焦点をあてて見ようとしない。
3.視覚が発達しない。よく見えない。
1→3の悪循環です。
これを断ち切れれば、世界に関心が持てて楽しく毎日を過ごせるようになるのではないかと。
今でも、目は良くないはずですが、楽しそうには過ごせています。
(チャーリー)