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発達障害の子たちはVRで自分にとって意味のある世界を知った

time 2020/09/15

この記事を読むのに必要な時間は約 8 分です。

発達障害の子たちはVRで自分にとって意味のある世界を知った

スコットランドのエディンバラ、グラントン小学校の生徒たちはデバイスを使って、未来を垣間見ることができるようになりました。

ビアラマ社が企画した特別プロジェクトの一環として数百回のバーチャルリアリティ(VR)セッションが実施されました。

VRはまだゲームに使用されるのが一般的ですが、最初に参加した小学5年生以上の生徒たちは、実物大のVR技術を使用した様々な没入型学習体験に参加しました。
ヘッドセットを使って、生徒たちは歴史(エジプトのピラミッドの中)、生物学(人体を旅しながら)、美術・デザイン(絵を描いたり、絵を描いたり、3Dで彫刻を作ったり)といった学校の授業を楽しむことができました。

この技術に対する反応はとても良く、多くの生徒がこの技術を通して探求されたテーマに興味を示していました。

そして、将来的にVRを使って仕事をしたいと考えている生徒もいて、ソフトウェアの開発やコーディング、さらにはコンテンツの制作にも意欲を示していました。

VR技術がゲームや教育だけでなく、旅行などの分野にも影響を与えるという例になりますが、スコットランドに移住してきた学校の生徒たちはヘッドセットを使って故郷を再訪することができました。

しかし、VRの大きな可能性が明らかになったのは発達障害などをかかえる生徒たちです。

行動問題、社会的困難、幼少期の不利な経験、精神衛生上の問題や発達障害などをかかえる12人の生徒たちです。

この生徒たちは、テクノロジーを使って自信をつけ、困難な課題に直面したときに忍耐することの重要性を理解することを学びました。

セッション中、ある女子生徒は車や機械全般が好きだということを初めて伝えることができました。
そして、VRでバーチャルカーガレージで作業をすることができました。

取り組んでいたタスクの難易度は徐々に上がり、多くの大人が苦労する困難なレベルもこなせるようになりました。

彼女の自信は急上昇しました。
教師、ソーシャルワーカー、心理学者の報告によれば、さまざまな分野で顕著な改善が見られたとのことです。

ビアラマ社のCEO、ビリー・アグニューによれば、こうしたケースは決して例外的なものではありません。
VRは強烈な、ときには圧倒されるような体験をもたらしますが、子どもたちが最も効果的に活用できるといいます。
グラントン小学校の発達障害の生徒たちのように、困難をかかえる子どもたちにとっては、その効果は素晴らしいものになります。

「私たちは、子どもたちが安全で大好きになれる空間を提供します。

私たちの最初の仕事は、問題は解決できること、学習ができること、難しそうな課題も達成できること、不可能だと思っていたこともできること、それらを子どもたちに理解してもらうことです。

子どもたちがそれを理解したあとは、素晴らしい結果を見せてくれます」

そして、あらゆる人たちがVRの恩恵を受けることができるといいます。
ビアラマ社は社会的企業の活動の一環として、老人ホーム、ホスピス、レスパイトセンター、病院にVR技術を導入しています。

「私たちは、初めての体験を簡単でやさしくできるように、さまざまなプロセスや手順を開発してきました。

ホスピスや老人ホームにいる高齢者の場合、しばしば深い感情的なものになることがあります。
それは非常に個人的な経験にもとづくためです。

デジタル技術がこのような感情的な反応を引き起こすという考えは、大げさに見えるかもしれません。

しかし、グラントン小学校の発達障害の生徒たちについて、教師も信じられない結果になったことを認めています」

その教師たちからの報告書にはこのように書かれています。

「自殺願望を示していた生徒が、今はそうでなくなりました。
自己価値や自尊心が非常に低かった生徒たちが、自分自身を信じるようになってきました。

問題に直面したときの回復力と粘り強さは、どの生徒たちでも顕著に改善が見られました。
全員の問題解決能力が、幸福感、学習意欲とともに全般的な改善を示しました」

グラントン小学校でVRを利用したある生徒は、発達障害のために友だちを作るのに苦労していました。

それまで、さまざまなタイプのVR学習を試していました。
最終的には「マインクラフトVR」というゲームが、彼にとってはとても効果できであることがわかりました。

数週間に及ぶセッションを通しても片言しか話せなかったのが、マインクラフトVRを使ったセッションでは初回からオープンに話し始めました。
先生に自分が「落ち着いた」と伝えることができ、すぐに自分が見たもの、見たいもの、次にやりたいことを話していました。
言葉でのコミュニケーションが増えたことは、VRセッション中だけでなく、その前後にも顕著に表れていました。彼の健康状態や人生観は、12週間のVR学習で改善されたことが伝えられました。

次は誰とVRを楽しんでみたいかと尋ねられると、彼は仮想学習が「好き」だと言っていた友人を指名しました。
グループ内で知り合った仲間の生徒であり、実際に学校での初めての友人でした。
VR世界での自己表現力は、現実世界での自己表現力の向上にもつながっていきました。

このプロジェクトについてビアラマ社がまとめたレポートによれば、仮想世界での幸せと物理的な現実での幸せには明確な相関関係があります。次のように述べられています。

「生徒たちは初めて、自分にとって意味のある世界、理解できる世界、そして何よりも自分でコントロールできる世界を知りました。
このような主体性を感じることは非常に重要であり、その重要性を強調しすぎることはありません。

さらに多くの研究が必要であることは明らかですが、このような主体性の高まりを感じることは、バーチャルの世界を超えて、現実の世界にも良い影響を与えるようです」

(出典・画像:スコットランドThe Herald

安全で楽しい環境で、自分に自信がつく。

そして成長し、友だちもできる。

こうしたVRの利用はますます進んでほしいと本当に期待しています。

少し大がかりなヘッドセットが必要になるためか、なかなかまだ普及しているとはいえませんが、

多くの子どもたちがもっと利用できるようになることを願っています。

ARとおもちゃで自閉症の子が長く遊べ、ことばの学習も進む

(チャーリー)

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