- 1. エマと一緒に最後の波に乗ることはどんな気分なのだろうか?
- 2. サーフィンのセッションを通じて、どんなスキルや自信がついているのだろうか?
- 3. 発達障害の人がサーフィンを通じて学ぶことや成長について、どんな影響があるのだろうか?
「一番好きなのは、エマと一緒に最後の波に乗ること。
いつも一緒に最後の波に乗るんだ」
10歳のクインシーがエマとサーフィンの話をすると、彼女の顔には大きな笑顔があふれています。
エマはクインシーのサーフィンコーチです。
そして、作業療法士でもあり、親友です。
二人の出会いは、発達障害の子どもたちがセラピーの一環として波に挑む「サーフィン・スペクトラム」でした。
サーフィン・スペクトラムに参加する前は、クインシーはサーフィンをしたこともありませんでした。
波に乗るのは「男の子だけのもの」だと思っていたといいます。
それから、クインシーはエマと一緒に波に乗るようになりました。
エマは、発達障害の子どもたちが睡眠、遊び、人間関係の困難に対応するのを助けるために、作業療法の一形態としてサーフィンを利用しています。
「海では子どもたちはとても落ち着きます。
他の環境では難しいスキルも身につけることができます。
学校は騒音に敏感な子どもたちには本当に難しい環境だと思います。
海では波が打ち寄せる音がとてもリズミカルなので良いようです」
セラピーとしてのサーフィンは、人気が高まっています。
サーフィンは、トラウマ、PTSD、発達障害の人たちに力を与えるために使われています。
セッションはエマとクインシーがチェックしあうところから始まります。
気分はどうですか?
ビーチに置いていきたい物、海に身に着けていきたい物はどれですか?
そして、ビーチで準備運動をします。
水の中に入ると、クインシーはボードから自分を叩き落とそうとする波、大きな音など、発達障害の人の多くがかかえる困難を克服していきます。
クインシーの母親のレイチェルは、サーフィンはクインシーにとって楽しく自信をスキルをつけるのに欠かせない方法だといいます。
「エマは本当に熱心に取り組んでくれます。
セッション後のレポートを見ればわかる。
彼女は発達障害の子どもたちについてよく理解しています。
彼女は子どもたちのために全力を尽くしてくれています」
エマから何を学んだかと聞かれると、クインシーは「全て」と答えます。
「落ち着くことを学びました。波に乗って流れに身を任せ、波から落ちてもイライラしないことを学びました」
そして、教えているエマもクインシーから学んでいることがあるといいます。
「クインシーは私を輝かせてくれます。
彼女のそばにいると、私も励まされます。
彼女は自分に自信を持ち、勇気を持つことを思い出させてくれます。
お互いに高めあっているんです」
エマはサーフィンが大好きです。そして、発達障害の人たちが自立できるように支援することに自分の意義があると考えました。
そこで、サーフィンスクールを始めたのです。
「発達障害と診断されることで、支援の対象となります。
しかし、最終的には発達障害はその人の強みになるはずです。
発達障害の人たちを困難にさせているのは社会側の問題です。
世界がもっと柔軟であれば、発達障害の人たちは努力して成功します。
活躍できる機会はあります」
海に落ちても、クインシーは慌てたりしません。
エマはクインシーの成長について誇らしげに言います。
「私は彼女の勇敢さが大好きです。
自分で自分を支えられるという自信がにじみ出ています。
私が10歳のときとはまったく違います」
(出典・画像:豪abc)
うちの子も小さな頃からずっと水が大好きです。
たくさんの水に囲まれれば、いろいろなことを身に着けやすくなることは、そのとおりだと思います。
そして、学ばされたり、励まされたりするのはこちらであったりすることも、そのとおりです。
(チャーリー)