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自閉症の女の子は困難が深刻になる思春期に多く診断されている

time 2020/09/02

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自閉症の女の子は困難が深刻になる思春期に多く診断されている

思春期は重要な発達の節目となります。
ますます複雑になる大人の世界に入っていくための、すべての子どもにとって困難な時期です。

自閉症スペクトラム症の女の子にとって思春期が自閉症と自分の特性に気づき、自閉症と診断されることが多くなっています。
自閉症スペクトラム障害と診断されるのは男性が女性の4倍の数にもなります。

米バージニア大学の研究者で心理学者のエリカ・ルーシュ助教授はこの性差が自閉症の女の子の診断に問題があることを示しているといいます。

「自閉症スペクトラム障害は行動を評価することで診断されます。
自閉症スペクトラム障害は男の子に多く見られます。
男の子の場合にはどのような症状なのかが明らかにされ、適切に診断する方法も明確になっています。

しかし最近になってわかってきたのは、自閉症スペクトラム障害の女の子の症状は男の子とは違っているということです」

ルーシュ助教授はここ10年の間に、知性が高く、行動上の課題は少ないものの、自閉症の主要な症状である社会的なコミュニケーションに問題を抱えている女の子が自閉症と診断されることが増加していることを指摘します。

そして、自閉症スペクトラム障害の女の子についての最近のデータによれば、まだ多くはありませんが、診断はしばしば思春期の初期に行われていることが示唆されます。

「まだ研究は多くありませんが、自閉症の女の子は幼児期にはあまり顕著な症状を示さないこともあり、その後は隠す方法を身につけている可能性があります。

そのために女の子は思春期まで診断されていないと考えられます。

自閉症の女の子は、自閉症によるいくつかの代表的な困難、男の子に見られる社会的なコミュニケーションの困難などに対して、それを補う方法を身につける可能性が高いようです」

たとえば、自閉症の女の子は誰かの目と目の間を見てアイコンタクトを真似することを学ぶかもしれません。
これは「カモフラージュ」症状と呼ばれています。

女の子は周りを見て、仲間が何をしているかを見て、それをある程度真似することができるという理解です。
しかし、それは彼女たちにとっては、無理をして行っているのかもしれません。

「しかし最終的には、思春期になるととくにグループでの社会的な状況において、社会的な相互作用に対する要求が高くなり、それまでのカモフラージュによる方法が難しくなります。
そして、そうした女の子の課題の増加によって、自閉症の診断がしやすくなります」

ルーシュ助教授によれば、小学生の子どもたちが遊び場にいる様子を記録した最近行われた観察研究で、自閉症の男の子と女の子の行動に大きな違いがあることが明らかになっています。
それは、この年齢での女の子の自閉症の診断の難しい理由となります。

「研究者たちは、遊び場にいた自閉症の男の子は、明らかに一人で遊んでいて、他の子どもたちと物理的に距離を置いていたことを発見しました。

一方で、自閉症の女の子は、グループでの遊びに参加しているように見えました。グループに参加することに個室していました。
しかし、彼女たちは物理的にはグループの中にいましたが、遊びの中での社交的なおしゃべりは他の女の子よりもはるかに少なくなっていました。

それから、彼女たちが実際には仲間とのつながりや関係性を形成していないことが見落とされやすいことがわかります。
そして、思春期の複雑な社会的関係に備えるのに役立つ基礎的な経験を失っているのです」

ルーシュ助教授は、これらの微妙な点がしばしば自閉症の女の子の診断が思春期まで見逃してしまうことにつながっていると言います。

研究では、人間関係や集団での交流への期待が高まるにつれて、自閉症の思春期の女の子は社会的状況での困難さが増すことが示唆されています。
友だちを作り、維持することがますます難しくなっていくのです。

「自閉症の思春期の女の子や成人女性の研究はまだ多くありません。
そして、自己報告の経験に基づいたものです。

自閉症の思春期の女の子は多くの場合、一人の友だちがいると報告します。
そして、友人や仲間との衝突が起こったとき、彼女たちは完全に自分を非難したり、完全に友人を非難したりする可能性が高く、その結果、友情が終わることがよくあります」

このため、思春期が彼らの困難に最初に気づくときであるようです。
しかし、これらの問題から生じた不安や社会的課題の結果から、うつ病として診断される可能性もあります。
自閉症の女の子は、自閉症の男の子に比べて不安やうつ病を併発するリスクが高いことが知られています。

たとえ思春期の後半であったとしても、自閉症と正しく診断をされることで、支援サービスを受けることができるようになります。

ルーシュ助教授は、昨年から自閉症の女子中学生と高校生の社会的スキルを向上させることを目的とした研究を開始しました。
科学的なエビデンスに基づいたプログラム「思春期のための PEERS」の効果を検証しています。
このプログラムでは、社会的なロールプレイや宿題、親の関与などを用いて、会話の維持、対立の解決、いじめへの対処などのスキルを教えています。

「PEERS プログラムが男女混合のグループに参加している女子に効果的であることが示唆されています。
しかし、これまでに参加した女の子は、思春期の男の子のグループの中で唯一の女の子であることがよくありました。
男子を含むあらゆる種類のグループ設定に参加している思春期の女子は、その存在によって影響を受けることになるので、女子だけのグループでこの介入がどのように機能するのかも検証しなければなりません。

とくに、社会的困難とそれを克服するための戦略が、女子だけのグループでどのように異なるのかを見たいと考えています」

9人の女の子とその両親からなるグループでこのプログラムが2月から開始されています。
10代の女の子たちはロールプレイや宿題を通して社会的スキルを練習し、両親はコーチとしての役割を果たしています。
新型コロナウィルスの感染拡大のために中断されていましたが、今月から再開しています。

この取り組みの結果として女の子たちの社会的スキルが改善したかを評価することに加えて、自閉症の女の子は自閉症の男の子よりも不安をかかえる可能性が高いために、不安についても測定を行っています。

(出典:米バージニア大学)(画像:Unsplash

困難をかかえる人に適切な支援が届くように、こうした研究がますます進むことを望みます。

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(チャーリー)


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