新品のブランコで最初の数回の足踏みを試してみたディラン・ブッシュの顔がすべてを物語っていました。
ディランは発達障害の自閉症です。
最初に数回試しで乗ってみました。
ディランのその笑顔がこの新品のブランコについての感想を伝えています。
米コロラド州立大学工学部の学生たちは設計し製作した努力の甲斐がありました。
学生たちが一年をかけて作り上げたブランコが、ディランの家に置かれています。
それは学生たちにとってもめずらしい卒業製作の機会となりました。
学生たちは例年、キャップストーンプロジェクトの期間中にはロケットから犬の骨格標本まで、その研究開発成果を披露します。
しかし、今年は新型コロナウィルス感染拡大のために、中断されました。
しかし、機械工学を専攻している3人のメンバーは「ブランコ」のプロジェクトを最後までやり遂げました。
その思いは、学術的な目的を超えたものでした。
「ブランコの開発に夢中になった最大の理由の一つは、すぐにその効果を実感できると思ったからです。
困っている人がいました。
そして、愛情深い家族と一緒に仕事ができました。
ブランコが完成すると、実際に喜んでいる姿を見ることができました。本当にうれしくなりました」
そうメンバーの一人のペイジ・フロイトは言います。
ペイジとレニー・ファーネス、ニック・クレクレラーは友人や教員のサポートを受けて、ブランコを設計し、材料を調達し、設置まで行いました。
ディランの家族や地元の消防署のメンバーに囲まれて、ブランコが完成しました。
消防士たちは、ブランコの開発に取り組んだ学生たちの熱意や、消防車とブランコへのディランの愛情について聞きました。
ディランに喜んでもらおうと消防士たちは消防車でやってきました。
学生たちがディランとその家族に出会ったのは、地元の特別支援サービスを提供する団体のジュヌビエーヴ・マルマデュークが、大学にブランコの開発の検討ができないかを問い合わせたことがきっかけです。
学生たちは昨年の8月から、機械工学科での卒業製作としてブランコに取り組み始めました。
その時間の多くは、ディランや家族たちからブランコに対するニーズを完璧に理解することに費やされました。
初期のデザインも破棄して考え直しました。
体重が約140キロあるディランが安全に利用できるように、十分な大きさのシートを確保し、毎日利用することを前提に何年も持ちこたえられるように計算し設計をしています。
ディランの母親、ホリーはこの約1年にわたる取り組みを通じて、学生たちのプロ意識と気遣いに感謝していると言います。
新型コロナウィルス感染拡大のために、例年の大学のスケジュールが中断しても、ブランコを完成させたいと学生たちが言ってくれたときは本当にうれしく思いました。
「素晴らしい人たちでした。
クリスマスにはクッキーも持ってきてくれました。
とても礼儀正しくて、そして夢中になってブランコ開発に取り組んでくれていました。
ディランのような自閉症の子をもつと、自分と同じようにディランを他の人にも見てほしいと願うものです。
学生さんたちはそうしてくれました。
ディランに質問をしたり、ディランと一緒にいてくれました。
自分たちのプロジェクトをやり遂げるためだけではなかったと思います。
本当に仲良くしてくれました。
家に来て、ディランに会って、そして話をすることを楽しんでくれていました」
ディランと学生たちをつないだ、団体のジュヌビエーヴはこう言います。
「涙が出てきて、本当に興奮しました。
これは私にとってとても大きなことで、とても大きな事業のように思えます。
一人のために、多くの素晴らしい人たちが一年かけて関わってきたと思うと、胸が熱くなります」
(出典・画像:米コロラド州立大学)
ディランさん、学生たちどちらにも素晴らしい機会になりました。
学生さんたちには卒業後も、見た笑顔、した笑顔を胸にますますご活躍頂きたいと願います。
うちの子もブランコが大好きです。しかし大きくなって、乗れるブランコはなくなってしまいました。
(チャーリー)