- 発達障害や知的障害の人たちは新型コロナウィルスに感染しやすいのか?
- 発達障害や知的障害の人たちは新型コロナウィルスによる死亡率が他の人たちより高いのか?
- 家庭や施設で生活している発達障害や知的障害の人たちに対して、どんな予防策が有効か?
新しい研究は、新型コロナウィルスに特に脆弱な人たちに光をあてました。
それは、家庭やグループホームで過ごしている発達障害や知的障害をかかえる人たちです。
彼らはそうでない人たちに比べると新型コロナウィルス感染による死亡リスクが大幅に高いことがわかりました。
今回の研究で利用されたデータをみると、発達障害や知的障害をかかえていない、18歳から74歳の新型コロナウィルス感染者の3パーセントの命を奪いました。
一方で、発達障害や知的障害をかかえている人では、それは4.5パーセントでした。
また、18歳未満の発達障害や知的障害をかかえている人については、そうでない人に比べて死亡する可能性が高いことも明らかになりました。
米ストーニーブルック大学社会福祉学部のミシェル・バラン副学長はとくに施設で過ごしている人たちについてこう言います。
「発達障害や知的障害をかかえていて施設で過ごしている人たちは、日常生活において他の人からの支援に頼るためにソーシャルディスタンスの確保がとくに困難であり、感染リスクが高まってしまいます」
今回の新しい研究は米サニーアップステート医科大学の理学療法とリハビリテーションの教授、マーガレット・ターク博士らの研究チームが行いました。
研究チームは2020年1月20日から5月14日までの間に新型コロナウィルスに感染した、500人の発達障害や知的障害の人を含む3万人以上について調査をしました。
「発達障害や知的障害の人たちは学習、コミュニケーション、言語、行動などさまざまな分野で困難をかかえます。
多くは幼児期に診断されそれは生涯続きます。
家族と一緒に自宅に住んでいる人もいえれば、介護施設に住む人もいます」
発達障害や知的障害の人たちに新型コロナウィルスがどう影響しているのかを調べるために、ターク博士たちは42の医療機関から提供されたデータを調べました。
この中の発達障害や知的障害の人たち約500人の56パーセントが発達障害、18パーセントが脳性麻痺、21パーセントがダウン症などの染色体異常、そして全体の約三分の一は知的障害もかかえていました。
新型コロナウィルスに感染した発達障害や知的障害の人たちは、そうでない感染者と比べて糖尿病などや循環器や心臓の病気もかかえている割合が高くなっていました。
年齢により大きな違いがみられました。
75歳以上であれば、発達障害や知的障害の人たちとそうでない人たちとで新型コロナウィルス感染による死亡率に違いはなく、どちらも約20パーセントの人が死亡していました。
しかし、新型コロナウィルスに感染した18歳から75歳の発達障害や知的障害の人たちは、そうでない感染者に比べて死亡率は顕著に高く、さらに18歳未満の場合にははるかに高くなっていました。
18歳未満の発達障害や知的障害でない感染者は死亡することはほとんどありませんが、発達障害や知的障害をかかえる感染者の死亡率は1.6パーセントでした。
しかし、結論づけるためにはさらに多くのデータが必要であるとターク博士は言います。
今のところ、発達障害や知的障害の人たちがそもそも感染する可能性が高いかどうかが不明です。
「そもそも、発達障害や知的障害の人たちのどれくらいが感染しているかについてのデータがありません。
なぜなら、障害を持つ人たちを特定し見守りつづけるしくみがアメリカにはないからです 」
米ストーニーブルック大学のバラン副学長は、そうした人たちを見守るためのしくみがアメリカに必要であると考えています。
「新型コロナウィルスはアメリカ全土で感染が広まっています。
社会的に不利な立場にあるか、そうでなければ疎外されている人たちにさまざまな影響を与えることがすでに指摘されています。
その中には、発達障害や知的障害をかかえる人たちも含まれます」
発達障害や知的障害の人たちの多くは、糖尿病、喘息、肥満、肺障害、心臓病などもかかえています。
それにも関わらず、質の高い医療サービスを受けることができないことがよくあります。
新型コロナウィルス感染の死亡率が高いのは、それらのためだとバラン副学長は言います。
ターク博士らによる今回の研究は”Disability and Health Journal”に掲載されました。
(出典:米WebMD)(画像:Pixabay)
これはアメリカの研究ですが、国を問わず死亡率が高いことは想像に難くありません。感染率も高いだろうと察します。
予防のためにできる限りのことをしたいですね。
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(チャーリー)