- 自閉症の子どもがてんかんになるリスクを予測する方法はありますか?
- 自閉症とてんかんの共通のメカニズムはありますか?
- 自閉症とてんかんの関連性について、どんな行動の違いが見られますか?
新しい研究によれば、幼少期の行動で自閉症の人が後に「てんかん」をかかえるかが予測できます。
これまでの研究で発達障害の自閉症の人の5パーセントから46パーセントがてんかん発作を経験していることがわかっています。
また、てんかんをかかえる自閉症の成人は平均して、そうでない自閉症の人よりも認知能力が低く日常生活スキルが低くなっています。
今回の新しい研究でてんかんを発症する自閉症の人の子どもの頃の行動と、そうでない自閉症の人の子どもの頃の行動との間に違いがあることがわかりました。
てんかんを発症する自閉症の人は子どもの頃に、コミュニケーション、日常生活、社会化、運動能力を含む日常生活スキルがそうでない自閉症の子どもに比べて低いものとなっていました。
研究を行った米ノースカロライナ大学の小児科および神経学のジェイミー・カパル教授はこう言います。
「最終的にてんかんを発症する自閉症の人から、これまでに私たちが知らなかったてんかんと自閉症との共通的なメカニズムがあることが示されました」
自閉症の人の小児期の行動とてんかんとの関係を調査するために、研究チームは米国とカナダの12の医療機関のデータである自閉症治療ネットワークから2歳から15歳の472人の自閉症の子どものデータを分析しました。
このなかの子どもの22人が後にてんかん発作を起こしています。
この22人の子どもと親への調査で、てんかん発作を起こす前の時点で、その子どもたちは他の自閉症の子どもたちよりも日常生活スキルにかかわるすべての評価でスコアが低いことが明らかになりました。
てんかん発作が始まると、運動能力以外のすべてでそのギャップは大きくなりました。
てんかん発作を起こす前の時期の日常生活スキルのスコアの低さから、てんかん発作を予測できることがわかりました。
そして、てんかん発作を起こす自閉症の人は、時間とともに日常生活スキルが悪化していく傾向がみられました。
てんかん発作のある自閉症の子どもとそうでない自閉症の子どもに、知能や遺伝子検査結果に有意な違いは認められません。身体的状態にも違いはありませんでした。
この研究は”Pediatrics”に掲載されています。
今回の研究結果は、自閉症の子どもの一部がてんかん発作を起こす前に微妙な兆候を示すことを示唆しますが、現在はまだ医師が診断に使えるほどの十分なデータはないとカパル教授は言います。
しかし、この兆候は自閉症とてんかんの間に共通のメカニズムがあることを示唆します。
これまでの研究でも、てんかん発作、自閉症の特徴、日常生活スキルの関連性が明らかになっています。
しかし、それらに関係はあるものの、どれが原因でどれが結果かは不明です。
このメカニズムを明らかにするためには、てんかんの有無にかかわらず、自閉症の子どもとそうでない子どもの両方の脳内の電気的活動を長期に渡って測定することが必要だとカパル教授は述べています。
脳活動の変化と行動の変化を直接結びつける方法はそれしかないといいます。
現在は、カパル教授の研究チームはてんかん発作のある自閉症の子どもたちに、遺伝的に共通しているものがないかの研究に取り組もうとしています。
(出典:米SPECTRUM)(画像:Pixabay)
うちの子もてんかんはないということでしたが、少し熱が出たときなど数回発作を起こしたことがあります。
本当に心配しました。
自閉症との関係やてんかん発作によるリスクを減らすことにつながるこのような研究はますます進んでほしいと願います。
発達障害の自閉症の人が「てんかん」もかかえるのは少なくない
(チャーリー)