米マイアミ大学医学部の耳鼻咽喉科、神経外科、および生物医学工学の教授、アドリーン・A・エシュラギ博士らの研究チームは”The Lancet Psychiatry”で「COVID-19:自閉症の個人とその家族が直面する課題の克服」という研究について発表しました。
この研究では、発達障害である自閉症の人とその家族がパンデミックの最中に遭遇するかもしれない状況において、安全なケアを受けるためにするべきことも伝えています。
自閉症の成人や子どもが、COVID-19の患者に対処する医療機関に入院したり緊急治療室を利用しなければならないときはあるでしょう。
「自閉症スペクトラム障害の人は過去20年間で大幅に増加しています。
2004年には自閉症の人は166人に一人でした。
しかし現在では、米国疾病管理予防センター(CDC)は54人に一人の子どもが自閉症スペクトラム障害だと推定しています」
そうエシュラギ博士は言います。
「今回の研究の目的は、自閉症の人たちがパンデミックで直面する課題を定義することです。
これにより、医師、介護者、および全体的な医療システムが自閉症の人たちのニーズをよりよく予測して応えることができます。
COVID-19に対して誰もがストレスを感じているときに、自閉症の人に対応する方法についてよりよく知ることで自閉症の人とその家族を適切に助け、その人だけでなく医療従事者の安全も高めます」
CDCは自閉症の人はCOVID-19の合併症のリスクが高いと伝えています。
それは自閉症の人は免疫障害や他にも健康上の問題をかかえている傾向があるためです。
自閉症の子どもたちとその家族にとって「隔離」は特に難しくなることが考えられます。
感染拡大の状況はいつもの生活を変え、自閉症の人やその家族に大きな重荷となっています。
自閉症の人はこの状況を理解すること、自分を伝えることも困難なことがあります。
自閉症の程度、症状は人それぞれです。
コミュニケーション、多動、問題行動をかかえていることもあります。
また、音や光に敏感な人もいます。
この状況下ではすでに高いストレスを自閉症の人もその家族も経験しているかもしれません。
エシュラギ博士は、このパンデミックの最中に自閉症の人に医療が必要となった場合、さらに困難な経験をする可能性が高いと言います。
「他の人たち、音、光が原因で自閉症スペクトラム障害をかかえる人には、緊急治療室の医療環境は特に困難な環境となる可能性が高いでしょう。
そのためには、それらストレスの原因を減らすことが重要です。
たとえば現在の感染拡大の間は介助する人の多くは救急治療室や病室に立ち入ることはできません。
しかし自閉症の人の場合には、落ち着かせて医師とのコミュニケーションを行いやすくするために、親などの介助者は必要でしょう」
エシュラギ博士は救急治療に関わるスタッフに、自閉症の症状を認識し、自閉症の人にうまく対応するための方法を理解し学ぶことをすすめています。
それは、それまでの常識からは離れたことがあるからです。
たとえば、自閉症の子どもが医療機関の待合室で走り回っている場合、それは親が子どもをしつけていないのではなく、子どもがふだんとは異なる環境に圧倒されてしまっているのが理由です。
「自閉症スペクトラム障害の人がかかえるもう一つの問題は、順番を待つということができない人がいることです。そのために待っている間にパニックを起こしてしまいます」
また、マスクを着用することが求められる今でも、自閉症の子どもたちは感覚的な問題のためにマスクをつけることを拒否したり、すぐに外してしまうことがあります。
自閉症の子どもがすぐにマスクを外してしまう場合には、その子、親、医療関係者の安全を守るために、親に多くマスクを提供する必要があるでしょう。
遠隔医療は実際に行える有望な解決策となる可能性があるものの、自閉症の人にそれを利用するには研究が必要だとエシュラギ博士は言います。
新型コロナウィルス感染拡大は、自閉症の人たちとその家族に大きな負担をもたらしました。
「このような感染拡大が起きた場合の、脆弱な人たちを守るためのプランが必要です。
今回の研究が、こうした人たちの潜在的なニーズと解決策を明らかにすることにつながるかもしれません」
(出典:米マイアミ大学医学部)(画像:Pixabay)
もし感染したら、話すこともできず24時間介助も必要なうちの子はたいへんなことになるだろうと、それは心配していました。
同じように、地震などで避難所に身を寄せなければならないときも心配です。
特別支援学校に通っている間は、そこに避難させてもらえると思いますが。
自閉症の子は睡眠障害だと便秘が多いなど同時に抱える症状の研究
(チャーリー)