- 自閉症についての報道はどのように変化してきたのか?
- 自閉症に対する社会の理解がどのように進化しているのか?
- 自閉症当事者が研究にどのように関わっているのか?
ワシントン・ポスト紙での自閉症についての記事、2007年から2017年までに発行された315件を調査した研究者はこう言います。
自閉症について「原因と治療」という考えから、「受け入れる」考えに変わりました。
この研究調査は”Disability and Society”のオンライン版で発表されました。
この研究を行った米カリフォルニア大学サンタクルーズ校の心理学のナミーラ・アクター教授と、発達障害の自閉症の当事者であるノア・ルーイン研究者は、メディアの表現が変わってきたことが示されたと言います。
ルーインの卒業論文「原因について考えることが減り、受け入れる考えが増えてきた」が、この研究調査の基礎となりました。
「自閉症の人たちの生活をどうより良くしていくか。
報道はそういう方向へ変わってきました。
自閉症の原因について考えるものは減ってきました」
今回の研究”Neurodiversity and Deficit Perspectives in the Washington Post’s Coverage of Autism “(ワシントン・ポスト紙の自閉症関連記事に表れる神経多様性と障害とする認識)では、MMRワクチンが自閉症の原因だとする考えが完全に誤りだと論破される前の2007年からの記事を分析しました。
10年分が経過すると、神経多様性の権利運動が脳の働き方の範囲についての理解と認識が深まり、「正常」と異なることが必ずしも「障害」ではないことを示していたと伝えています。
ワシントン・ポスト紙の記事が調査対象となったのは、米国の議員や政策立案者に広く読まれ、影響力があるためです。
ルーインとアクター教授は、時間の経過とともにワシントン・ポストの記事が「ニューロダイバーシティ」の観点で、自閉症者の強みを認める傾向が強くなっていることを発見しました。
記事はまた、自閉症の人がもつ強みを説明し始め、自閉症の当事者の声を特集するようになっていました。
ルーインはこう言います。
「私たちは障害を医学的な悲劇として考える傾向があり、私たちの社会が原因となっていることを考えていませんでした」
時が経つにつれ、同紙の報道は徐々に自閉症のスキルや強みに重点を置くようになりました。
しかし、自閉症の人たちの説明には否定的な用語を使い続けていました。
例えば、自閉症の擁護者では「話せる」「話せない」などより具体的な言葉を使うことが好まれますが、「高機能」や「低機能 」という言葉が使われています。
また、自閉症の強みを紹介する記事では会話ができ仕事をしている自閉症の人たちだけが取り上げられています。
しかし、アクター教授は自閉症に対するメディアの表現が変化してきたことを歓迎しています。
「ワシントン・ポスト紙の報道は、一般的な社会に馴染むことが可能であれば、障害を持っていても全く構わないという幅広い信念を反映していました」
アクター教授は自閉症の当事者であるルーインと共同で研究ができたことも喜んでいます。
「自閉症の人たちは、もっと自閉症の研究に関わるべきです。
私はルーインと一緒に仕事をして、当事者の視点を得ることができたことに大きなメリットを感じます。
私は多くのことを学べました。
さまざまな経験をもつ人たちと交流することで、自分の考えを広げることを学べます」
(出典:米カリフォルニア大学サンタクルーズ校)(画像:Pixabay)
自閉症=障害者、それは違うでしょう。そうした認識は広まってきたはずです。
むしろ、それを強みに活躍してきた、している人もいるわけですしね。
しかし一方で、ニューロダイバーシティとして考えるだけでは済まない、うちの子のような支援を受けることで大きく助けられている「障害者」とその家族がいることも忘れないでください。
発達障害当事者の私が思う「ニューロダイバーシティ」の問題点
(チャーリー)