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自閉症の人も社会的なやりとりに対して脳活動パターンは同じ

time 2020/03/19

この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

自閉症の人も社会的なやりとりに対して脳活動パターンは同じ

大規模な今回の研究では、発達障害である自閉症の人も社会的なやりとりを理解するときには、そうでない人と同様な脳活動のパターンを示す可能性があることがわかりました。
また、自閉症などでない人に利用されている精神状態を確認するテストが、自閉症の人にも同じく利用できることを伝えています。
どちらの結果についても、これまでに行われた小規模な研究結果とは矛盾するものです。
これまでの研究では、自閉症の人の脳はそうでない人の脳とは異なる反応を示し、他人の考えを推測することに苦労しているという広く思われていることを支持するものでした。
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しかし、今回の研究による新しい発見はこうした考えと矛盾するとは言えないと、この研究を行ったドイツのハイデルベルク大学、メンタルヘルス中央研究所所長のアンドレアス・マイヤー・リンデンバーグは言います。
自閉症スペクトラム障害の人は、それぞれ、他人の精神状態を読む能力が大きく異る可能性が高いため、大規模な研究ではこれらの個人差が互いに相殺されてしまう可能性があるためです。
マイヤー・リンデンバーグの研究チームは、151人の自閉症の男性と123人の自閉症でない男性、54人の自閉症の女性とそうでない66人の女性、7歳から31歳の人たちについて脳活動をスキャンしました。
スキャンしている間、参加者は小さな青い三角形と大きな赤い三角形のアニメを見ました。
図形が画面上でランダムに浮かんでいるのか、お互いを追いかけたり、お互いをだますなどの模擬的な社会的相互作用を行っているのかと思うかについて、彼らはボタンを押して伝えました。

スキャンの後、研究者は参加者にそのアニメで何が起こったかを説明を依頼しました。
研究チームは、ソーシャルコミュニケーションに関与する脳領域(総称してソーシャルブレインと呼ばれる)での参加者の活動と、彼らの他者の考えや信念を解釈する能力を評価しました。
自閉症の有無に関わらずすべての参加者について、アニメを見ていたときにはソーシャルブレインの重要な部分が活性化していました。
これらの領域には、心の理論にとって重要であると考えられる背内側前頭前野や社会的刺激と生物学的運動の処理に関与していると考えられている後部の上側頭溝が含まれます。
この研究結果は結果は” Molecular Autism”に掲載されています。
今回の研究では平均すると、自閉症の人もそうでない人も脳の活性に差がないことを発見しました。
「これらの結果は非常に驚くべきものでした」
そうマイヤー・リンデンバーグは言います。
しかし、マイヤー・リンデンバーグたちは、自閉症の人とそうでない典型的な人の間で脳の活動に違いがあるかもしれないことを否定しません。
その違いは社会的な脳の特定の領域が活性するかどうか、またはどれくらい活性するかよりも複雑なものであるかもしれないといいます。
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また、英国のユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの認知発達の名誉教授であるウタ・フリスは、単一のタスクではパフォーマンスまたは脳活動の違いを明らかにするのに十分ではないかもしれないと言います。
それは社会的認知以外の要因、たとえば研究に参加した人たちがアニメの目的をどれだけ理解しているか、気が散っていたりしないか、そうしたことが研究に参加した人たちの成績に影響を与える可能性があると指摘します。
フリスはまた、今回の研究は参加者数が多い、規模の大きなものであるため、自閉症の人の中でもそれぞれの違いのパターンが重なり合って互いにあいまいにしている可能性があると指摘しています。
「通常の研究では、より多くの人に参加してもらえば、ノイズは少なくなります。
しかし、自閉症の人たちはそれぞれ症状が異なるために、多くの人に参加してもらうほど、ノイズが大きくしてしまうと思います」
今回の、脳の特定領域の活動については自閉症の人とそうでない人に変わりはないという研究結果に対する説明の一つとして、自閉症の人では脳の他の領域とのつながりが違う可能性が考えられます。
これまでの研究で、自閉症の人については脳のつながりが過剰であったり、不足していることが発見されています。
今回の研究チームは今後、ソーシャルブレイン内および他の脳の領域のつながりについて知るために、今回得たデータのの精査を行うことを計画しています。
また、自閉症の人たちの特定の遺伝的特徴や行動の特徴が、社会的相互作用における脳の処理の違いと関係するかについても調べる予定です。
(出典:米SPECTRUM)(画像:Pixabay
自閉症は脳の特定領域に原因があるのではなく、脳内のつながり、ネットワークに注目するべきという研究結果をよく見かけますね。
学習障害、発達障害は脳の特定領域ではなくネットワークに原因

(チャーリー)


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