- 1. なぜ自分は他の人とは違うように感じるのか?
- 2. 自閉症の人はどのような困難をかかえることがあるのか?
- 3. 自閉症を隠すことについてどのような考えがあるのか?
エローズ・スタークは27歳のときに発達障害の自閉症と診断されるまで、ずっと困難をかかえ、なぜ他の人と自分が違うように感じるのか、その理由もわかりませんでした。
エローズは小学校に入ったときに、自分は他の人とは違うと思いました。
自分が興味をもっていることを話しても、他の人は興味をもたないようでした。
好きな心理学について話しても、他の女の子は男の子について話をしていました。
そのため、子どもとよりも大人と話すほうが好きでした。
友だちもできません、友だちとの遊び方もわかりませんでした。
「私は本当にとてもいじめられました」
エローズは小学生のころから自分を隠すことを始めました。自分をまわりに合うようにしたかったのです。
自閉症の人の多くは感覚に問題をかかえます。
例えば、きついしめつけが嫌いなために靴下を履けない人もいます。
明るい光や大きな音が苦手な人もいます。
髪を縛らなければなりませんでしたが、エローズはそれを嫌ったために、不良のように思われました。
いつも自分の快適さとまわりから求められることにギャップをかかえました。
まわりの人に合わせることが期待される女の子の集団のなかでは特に10代の頃はたいへんでした。
幼いころから、アイコンタクトにも苦労しました。
エローズは4語話すと2秒目をそらすようにしました。
誰かが冗談を言ったら、面白いかどうか関係なく笑うようにしていました。
家に帰ると疲れてしまって、パニックを起こしてしまうこともありました。
最近イギリスのカーディフ大学、キングス・カレッジロンドン、バス大学の研究チームによって、自閉症を隠していないかの31項目のチェックリストが作られました。
1.会話をする前に予想し、計画を立て、リハーサルをしている
2.話す言葉、ジェスチャー、表情について映画やテレビ、本のキャラクターのマネをするようにしている
3.ペットや物に安心を求める
4.話し相手に対して直角の位置になるようにし、自然にアイコンタクトを避けるようにしている
研究を主導したカーディフ大学のルーシー・リビングストン博士はこう述べています。
「現時点では、このチェックリストやその意味について専門家でもよく知らないはずです。
大きな苦労をしながら、自閉症であることを隠している人が少なくないことをまず知ってもらわなければなりません。
そして、最終的にはこうした人も正確に迅速に自閉症であることが診断できるようになることです」
エローズは自閉症と診断されるまで、他の人と自分が違うように思える理由がわかりませんでした。
エローズが他の人たちを理解できなかったように、他の人たちはエローズを理解できなかったといいます。
自閉症の人は相手への共感をもつことが苦手だと考えられることがあります。
しかし実際には、自閉症でない人たちが自閉症の人たちへの共感をもてていないのかもしれません。
エローズはこう言います。
「3年前に診断を受けました。
カチッとスイッチが押されたように思いました。
私のような人が他にもいることを知りました。
私だけではなかったのです。
私は自分自身をよりよく理解できました。
何かが欠けているのではなく、自閉症のおかげで私はポジティブに自分のアイデンティティを捉えることができました」
エローズは自閉症についてより理解し、本来のエローズになれたといいます。
しかし今でも、知らない人と一緒にいる場合には、隠す必要性を感じています。
例えば就職での面接試験などです。
一方で、友人や家族といるときには、ただ自分らしくいるようになりました。
それは素晴らしい、解放されているときです。
自閉症の人は思われている以上に、それぞれ違っています。
エローズはこう言います。
「私が自閉症であることを言っても、そう見えないと言われます。
だったら、自閉症の人ってどんな人と質問すると、みんな困ってしまいます」
エローズは10代、20代の多くの時間、本来の自分を隠そうとしました。
30代になって自閉症と診断されてからは、自分で隠す、隠さないを使い分けてうまくやっています。
(出典・画像:英BBC)
隠している方にとっては簡単なことではないと思います。
ただ、これから何十年もそうするより、勇気をもって出したり、引っ込めたりしながら、本来の自分を出して頂きたいと心より応援しています。
ご本人にも社会にもそのほうが良いと私は思います。
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(チャーリー)