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発達障害である自閉症への「幹細胞療法」に科学的根拠はない

time 2020/01/23

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発達障害である自閉症への「幹細胞療法」に科学的根拠はない

発達障害である自閉症について重度の人の多くは、成人後も自立した生活を送ることが困難です。
そのために、そうした子をもつ親の中に治療方法を求める人がいても不思議なことではありません。
イギリスには自閉症の人に「幹細胞療法」を提供しているところがあります。
その療法の効果について考える前に、幹細胞について少し理解しましょう。
幹細胞は肝臓細胞、血液細胞、神経細胞など、多くの種類の細胞に発達することができる特別な細胞です。
しかし、発生初期の胚であれば幹細胞はどのような細胞型にも発達する可能性がありますが、成体となった幹細胞でははるかに限られたものとなります。
成体幹細胞は、元の臓器の細胞型にしか成長できません。
たとえば、骨髄由来の幹細胞は、脂肪、軟骨、骨細胞など密接に関連した細胞タイプのみになれます。
なので脳細胞になれるのは、脳内の幹細胞です。
幹細胞療法は、障害や疾患の影響を受けた細胞を再生または置換することを目的とするものです。
患者またはドナーから幹細胞を分離し、患者に移植する前に、実験室でそれらを目的の細胞に変えることで実現します。
別のアプローチでは、すべての組織が幹細胞に何をすべきかを伝える特定のシグナル分子を含むという仮定に基づいて、まわりの組織が幹細胞の運命を決定することを期待して、患者の体外で幹細胞を分化させることなく幹細胞を移植します。
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幹細胞療法を成功させるためには、次の二つが必要です。
まず、病気や障害の影響を受ける組織と細胞の種類がわかっていなければなりません。
次に、それらの細胞に発達する幹成体細胞型か、初期のいわゆる多能性細胞を適用する必要があります。
病気が脳組織の変性によって引き起こされる場合には、失われた神経細胞を置き換えることができる細胞タイプを使用する必要があります。
ターゲットが骨組織の場合、骨細胞を置換できる幹細胞タイプを適用する必要があります。
したがって変わってしまった、失われた組織の再生や置換をしようとすれば、もう変わっている、失われているために患者の体外で幹細胞を分化させない万能型のアプローチはうまくいきそうにありません。
これまでの医療では限られていた障害に対処するための治療方法として、幹細胞への誤った期待から幹細胞療法ビジネスが広がっています。
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当初は開発途上国に限られていましたが、規制が不十分であるために幹細胞療法を提供するクリニックがアメリカ、ドイツ、スイス、イギリスなどの先進国でも増加してきました。
幹細胞を用いる医療では品質、安全、有効性について徹底的な評価が求められます。
それに対して、患者自身の体から取り出した幹細胞を移植する(いわゆる自己移植)ことは、規制の対象にならないため、この法律の抜け穴を利用してこれらのビジネスが行われています。
ほとんどの幹細胞療法クリニックでは、患者の骨髄または脂肪組織から分離した細胞を使用します。
これらの細胞は脂肪、骨細胞、軟骨以外の細胞型を生成することはできません。
しかしこれらのクリニックの多くは認知症、脳性麻痺、自閉症などの治療方法だとして提供しています。
これらの治療法は科学的根拠に裏付けらたものではありません。
そしてとても高価です。10000イギリス・ポンド(約143万円)
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幹細胞を用いる医療では、患者の骨髄または脂肪組織から細胞を分離し、移植された細胞が病気の影響を受けた臓器に移動することを期待して、血流に細胞を注入します。
そして、標的組織に入った幹細胞が障害のある細胞を交換するか、身体の内部修復能力を高めることで治癒につながることを期待します。
自閉症ではいくつかの一般的な遺伝的および環境的要因が特定されていますが、影響を受ける神経細胞の正確なタイプについてはほとんどわかっていません。
自閉症においては、それに関わる細胞の役割の複雑さから、幹細胞治療の設計はとても困難です。
幹細胞によって一体、どのタイプの細胞をを交換すればよいのでしょうか?
幹細胞によって患者自身の修復能力を高めることは自閉症に効果があることなのでしょうか?
成体幹細胞は利用できますか、多能性細胞が必要ですか?
わからないことばかりです。
つまり、少なくとも現時点では発達障害の自閉症を幹細胞で治療することはできません。
そもそも自閉症は治療する必要はなく、社会が受け入れるべきニューロダイバーシティの一つだという考えもあります。
(出典:豪THE CONVERSATION)(画像:Pixabay
エセ医療が次々出てきます。
最先端医療、科学の言葉を多用し、そしてとても高価なものほど、中身はトンデモだったりします。
冷静に判断し、確かな医療機関を頼ってください。
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(チャーリー)


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