- 柔道は自閉症スペクトラム障害の子どもの身体活動レベルを高めるのか?
- 柔道による座りがちな行動の減少は一時的なものなのか?
- 柔道が自閉症スペクトラム障害の子どもたちの社会的相互作用や身体的接触にどのような影響を与えるのか?
米セントラルフロリダ大学の新しい研究によれば、柔道が自閉症スペクトラム障害(ASD)の子どもの身体活動レベルを高めるのにちょうどいいスポーツで、肥満と糖尿病に関連する座りがちな行動を減らす可能性があります。
このパイロット研究では、研究期間中および研究期間を超えて、統計的に有意とはいえないものの、参加者の間で中程度から激しい、身体活動が増加し、座りがちな時間が短縮されました。
しかし、研究に参加した子どもたちは、研究の範囲を超えて柔道のレッスンを続けることに熱心です。
座りがちな時間の短縮が続くかどうかを確認するには、さらなる研究が必要とされます。
親たちによれば、子どもたちが社会的相互作用と身体的接触により対応できるようになったと報告しています。
それらは、自閉症と診断された子どもの多くが苦労していることです。
この研究結果は”Journal of Autism and Developmental Disorders”に掲載されました。
今回の研究を行ったジャネット・ガルシア助教授は、柔道が子どもたちの運動に良い方法であるかどうかを判断するために昨年の夏から研究を始めました。
自閉症スペクトラム障害と診断された子どもが病気になることが多いことが取り組み始めた理由です。
ガルシア助教授は、コミュニケーションの困難、高レベルの不安、社会的相互作用の難しさ、構造化された反復的な活動の好みなど、これらの子どもたちが直面するいくつかの課題に対処するためのアプローチが柔道にあると考えました。
柔道は低強度、中強度、高強度の運動を交互に行いながら、社会的相互作用を促進し、マインドフルネスを強調し、バランス、強さ、および協調に焦点を合わせます。同じ動作の繰り返しも多く行います。
今回の研究では、8歳から17歳の子ども14人が、週に一回、8週に渡って大学での柔道の練習に参加しました。
発達障害である自閉症スペクトラム障害と診断された子どもたちにあわせた練習内容です。
自閉症について専門的に学んでいる学生などが先生となり、一人の先生が二人の子どもたちに対応し、必要におあわせて1対1で練習を行いました。
参加する子どもたちは、8歳から12歳、13歳〜17歳の二つのグループに分けられました。
軽いジョギング、ストレッチ、そして転がることなどからウォームアップを始めて、安全性、安定性、四肢の使用、視覚的合図に焦点を当てた練習で構成されました。
プログラムが進むにつれて、個々人の練習からグループの練習へ移行していきました。
練習の終わりには、呼吸法やマインドフルネスを行いました。
柔道の練習が終わった後には、子どもたちにスマートウォッチをつけてもらいました。
それがもつ加速度センサーによって、ふだんの子どもたちの運動量を計測しました。
「柔道の練習に参加した子どもたちは、望ましい健康状態につながる、運動について良い結果を見せてくれました。
今後も研究を続け、自閉症の子どもたちに役立つプログラムの開発をすることを楽しみにしています」
そうガルシア助教授は言います。
ガルシア助教授は、公衆衛生と行動医学を中心に学び、心理学の修士号と運動生理学の博士号を取得しています。そして社会的/感情的/行動障害、主に自閉症スペクトラム障害を持つ若者の健康行動にも強い関心を持って最近は研究を行っています。
「私は小学校や高校でのことをを思い出します。
こうした障害のある子どもたちはいつも除外され、ただ座って見ていました。
彼らのために学校で行うべきことを考えると、それは最悪なことだと思います。
私がハーバード大学にいたときには、さまざまな社会的、感情的、行動障害のある子供たちへの療育を行いました。
これからも私が最も力を注ぎたい研究分野です」
(出典:米セントラルフロリダ大学)(画像:Pixabay)
発達障害の子どもたち向けに、安全に十分に配慮してもらえれば、
落ち着いて座ることや、受け身などの練習、ただ転がりまわるだけでも本当に良いと思います。
柔術が発達障害の子どもたちをいじめから救い、成長にも役立つ
(チャーリー)