- コミュニケーションが困難な人たちにどのような方法で声を届けることができるのか?
- 発達障害や自閉症を持つ人たちが伝えたいことはどのような方法で理解できるのか?
- コミュニケーションの手段が限られている人たちにどのように支援をしていけばいいのか?
数年前までミッチェル・ロビンスは考えていることを誰にも正しく伝えることができませんでした。
4歳のときに話す能力を失い、写真と限られた手話をつかって両親や介護者に何を食べたい、気分が悪くなった、どのように過ごしたいかを伝えていました。
現在17歳のミッチェルは、アルファベットを表示するボードに1文字ずつ指を指してコミュニケーションをすることができます。
質問をすれば、深い集中力と陽気な笑顔の間からゆっくりと答えをつづります。
発達障害の自閉症で言葉を話すことができなかったミッチェルは、文字の指差しコミュニケーションを使用することで人生が変わったといいます。
「自分の欲求を満たせるようになりました。すべてが変わりました。
私のような人たちが、コミュニケーションをとれる方法を見つけてくれたことをとてもうれしく思います」
ミッチェルは自分の人生についてプログに書き始めました。
自分の話をすることで、自分のような人たちを過小評価するべきではないことを世界に伝えたいと考えています。
母親のスーザンはこう言います。
「話すことができない、自閉症の人にも素晴らしい能力があることを息子は示しています。
それらへのアクセス方法がわからなかっただけです。
私もわかっていませんでした」
7年前に母親のスーザンはラピッドプロンプトメソッドという方法を知りました。
アルファベットが書かれた板を使って、話すことができない子どもたちが答えていました。
最終的には板から、iPadやパソコンのキーボードで、文字をつづって答えるようになります。
スーザンはこの方法に懐疑的でした。
息子のミッチェルは絵カードでもうまくコミュニケーションすることができなかったためです。
そして、ミッチェルが文字をつづれるとも思えませんでした。
しかし、そうではありませんでした。
ミッチェルは道路標識を見たり、本を見たり、父親の話を聞いたり、周りの世界から吸収していたことに気づいたのです。
ミッチェルは理解していても、伝える方法がないのだとわかりました。
「息子はずっと見ていました。ずっと読んでいました。
周りには言葉があふれています。
車に乗っていても、窓の外には言葉があります。
家にいれば、本や新聞があります。
読むことを学んでいたんです」
この文字をつづる方法を学んで、ミッチェルは最初に愛していると妹に伝えました。
今では、母親のスーザンに手紙を書き、感謝も伝えています。
数学を学び始めると、すでにミッチェルは知っていることもありました。
ミッチェルは通信制の高校で学ぶようになり、高度な物理学や社会などではB+の成績をとりました。
1960年代に起こった公民権運動については特に興味をもって学びました。
母親のスーザンはこう言います。
「本当に変わりました。
それまでも、もちろん私たちは息子を愛していました。
服を着せ、食べさせ、笑顔にさせようとしてきました。
しかし、本当の息子を知ることはありませんでした」
ミッチェルはiPadでタイプして話すこともできるようになりました。
ブログ投稿では、キーボードで入力をしています。
トイレに行きたい、水を飲みたい、そうしたときには手話を使います。
ブログの最近の投稿では、話すことができない自閉症の人たちのフラストレーションについて書いています。
言っていることが理解できないと思われている上での、声がけについてでした。
ミッチェルはそうしたことを変えていきたいといいます。
「私たちの視点や考えも他の人と同じくらい大事なもの。
私たちを過小評価するのはやめる必要があると思う。
私たちも知的で驚くべき人たちです」
(出典・画像:米Chicago Tribune)
自らキーボードを打っているところを見ると、本当に自分で伝えているのだとわかります。
うちの子も全く話すことはありませんが、気に入った本やチラシなどは持ち歩いて、よく見つめています。
絵カードなどでも自分で指差しすることはなく、iPadを渡してもホームボタンを連打するだけです。
ですが、伝えられる手段が見つかればもっとコミュニケーションできるのかもしれませんね。
希望をもつとともに、どうすればよいかと考えさせられます。
話せない発達障害の子がiPadを使うとメッセージを送れた
(チャーリー)