- 発達障害や自閉症のある人にとって、スケジュールやルーチンはどれほど重要ですか?
- 知的障害のある家族が他者と良い関係を築くのに、どのような支援が役立つでしょうか?
- 退職後も継続的にサポートを続ける方法や理由は何ですか?
57歳のピエール・ゴスリンは37年の勤務を経て警察から引退しました。
それからは多くの時間をゴルフコースで過ごすつもりでした。
しかし、毎週火曜日にはカナダにあるロイヤルカナディアンマウント警察士官学校に戻ることも決めていました。
ピエールはこれまでの約6年間、毎週火曜日に28歳のマシュー・ブランドンと手をつないで士官候補生たちの訓練パレードを見学してきました。
マシューはみんなからマティと呼ばれています。発達障害の自閉症と脳性まひをかかえています。
知能は幼児なみで、話すこともできません。
しかし、幸せを顔いっぱいに表現してくれます。
今年になってピエールから退職すると聞いた、マティの介護者のクリスとシャノン・ガーディナーは心配しました。
毎週同じ曜日に同じ人と同じ場所にいることが、マティには貴重な機会だからです。
「マティはスケジュール通りに、自分がやりたいことを行えると思えることがとても重要なんです」
これまで、毎週たくさんの人と決まったことを一生懸命行うことができていたので、パニックを起こすこともほとんどありませんでした。
介護者のクリスは、マティは直感的に信頼できる人を見つけるといいます。
そのためにマティが最も信頼している人と会えなくなることは、とても不安になることでした。
この警察士官学校で行われている訓練パレードは、1800年代後半から行われている厳格なトレーニングです。軍隊のように更新します。上級士官が大声を出し、ブラスバンドも続きます。
これを初めて見たときに、マティは体いっぱいに喜びを表現しました。
それから、毎週見に来るようになったのです。
時が経つにつれて、マティはピエールのような上級士官たちと仲良くなっていきました。
マティが後をついていっても良いと規則を変更するまでに。
これまでの6年間、何千人もの警察士官候補生たちと出会い、マティは一緒に卒業写真に写ることさえありました。
マティのこうした交流は、癒やしてくれたとピエールは言います。
「マティとは危険な場所で会うようなことが願い、こうした安全な場所で幸せな顔を見るのがうれしかったんです」
マティの25歳の誕生日に、ピエールはマティを名誉訓練生に指名し「マティ」という名前が入った士官候補生のユニフォームをプレゼントしました。
ピエールは1982年、20歳のときに警察に入りました。
カナダの首相のセキュリティも担当しました。
士官学校の司令官としてピエールは、マティに会うことは警察にとって知的障害のある人と交流し学ぶ機会になることを理解していました。
ここで学んだ候補生たちが将来、より良い警察官になると強く信じました。
ピエールは、今年の7月に退職をしましたが、その後も変わらず毎週火曜日には来て、訓練パレードを見ています。
「ピエールは、本当に言ったとおりに行動してくれる人です。毎週変わらず来てくれるんです」
そう介護者のシャノンは言います。
ピエールがマティの日常生活をこうして守ってくれているといいます。
「ピエールはマティの友人です」
ピエールはこう言います。
「私がここにいることが重要なのだと理解しています。
ここでマティと会うことが重要なんです。
マティは私にとっても良き友人の一人です。
マティに会うたびに私も幸せになります。
私たちの間に会話はありませんが、マティが幸せになっていることはわかります」
ピエールはもう、警官の服装はしていません。
それはマティは慣れなければならないことです。
毎週、パレードが終わるとピエールまマティを連れて、士官候補生たちが楽器を片付けているところを見ます。
また、スタンプが大好きなマティが、確実にスタンプを押せるようにサポートもします。
その後はマティを車まで案内し、来週また会うことをピエールは約束します。
「私が可能であるかぎり、毎週火曜日にマティに会いにここに来るから」
(出典・画像:カナダCBC)
人として、警察官として本当に尊敬します。
そして素晴らしい友情です。
こうした人がいて、こうした友情があることに、うれしくなり勇気づけられもします。
発達障害の少年と母親は助けてくれたあの鉄道警察官に再び会えた
(チャーリー)