- 自閉症の成人は不安障害を抱えやすいのですか?
- 自閉症の人のきょうだいも不安障害を抱える可能性が高いのですか?
- 自閉症の人の不安障害を適切に評価する方法はありますか?
自閉症の成人はそうでない成人に比べて不安障害と診断される可能性が2倍以上にのぼると、新しい研究が示唆しています。
そして、彼らの自閉症でないきょうだいも、自閉症の人をきょうだいにもたない人に比べて、不安障害の診断を受ける可能性が高いこともわかりました。
この研究は、自閉症の成人における不安障害の有病率を調査する最大の研究の一つになります。
そして、以前の多くの研究とは異なり、心的外傷後ストレス障害やパニック障害などの特定の不安障害にも注目しています。
英ブリストル大学の精神医学の上級講師のディーラジ・レイはこう言います。
「自閉症の成人の不安についての評価が、今は十分ではありません」
この新しい研究はまた、医師と介助する人が、自閉症の成人の不安をきちんととらえる必要性を強調しています。
「自閉症の人に関わる人は、自閉症の人がかかえる不安について注意深く見るべきです」
そう米ブリガムヤング大学の心理学と神経科学の教授であるミクル・サウスは言います。
レイの研究チームは、ストックホルム青少年集団データから18歳から27歳までの健康記録を調査しました。
調査対象となった221,694人のうち、4,049人が自閉症と診断をされています。
研究チームは精神疾患の診断を受けた健康記録から不安障害のある人も特定しました。
相互参照した結果、自閉症の成人の20パーセントが不安障害をかかえていました。
一方で、自閉症でない成人では9パーセント未満でした。
自閉症の成人の約3.5パーセントは強迫性障害をかかえ、3パーセントは社交不安障害をかかえていました。
自閉症でない成人の場合にはどちらも0.5パーセント程度です。
この調査研究は”Journal of Autism and Developmental Disorders”に掲載されています。
専門家によれば、自閉症の人がかかえる不安を正しく評価することは簡単ではないため、実際にはもっと多い可能性があるといいます。
「不安障害について評価、診断する方法のほとんどは、自閉症ではない人向けに作られたものです。
自閉症の人ではそれらでは正しいものにはならないでしょう」
そう米ペンシルバニア大学小児精神医学のジョン・ヘリントン助教授は言います。
また、自閉症の成人のきょうだいも、一般の人たちよりも不安障害をかかえることが多いという事実は、遺伝的要因または共有する環境的要因によるものだと考えられる可能性を示唆すると研究チームは言います。
不安障害と診断されることは、平均以上の知能をもつ自閉症の成人に多く表れます。
これは、知的障害のある人について不安を診断することが難しいことが原因として考えられます。
「不安障害について診断を行う場合には、言葉で話す必要があります。
言葉を話すことができないと、不安障害と診断されることが難しいものになります」
そしてこの研究でもこれまでの研究と同様に、平均以下の知能の自閉症の成人に比べて、平均以上の知能をもつ自閉症の成人はうつ病をかかえる率が高いこともわかりました。
研究チームでは今後、自閉症の人たちに不安障害が多い理由を理解し、治療するためのより良い方法を見つけたいとしています。
(出典:米SPECTRUM)(画像:Pixabay)
うちの子もニコニコしていると私も安心しますが、しばらく笑顔がないときもあります。
すごく不安になっているのかなと思いを巡らします。
うちの子は話すことができないので、伝えたいことがあっても伝えられない。
それは不安になる大きな原因のはずです。
そんなときは、何とか少しでもわかりたいといつも思います。
言葉を話せない自閉症の人の不安への対処のためにできること
(チャーリー)