- 現在の研究で自閉症の子どもが痛みを感じやすい理由は何か?
- 自閉症の子どもが痛みを伝えることが難しい場合、その痛みを正しく理解する方法はあるのか?
- 自閉症の子どもが痛みや苦しみを感じている場合、どのようにサポートすればよいのか?
大規模な研究によれば、そうでない子に比べて自閉症の子では約2倍の子たちが、慢性または繰り返しの痛みをかかえている可能性があります。
てんかんや知的障害などもかかえる自閉症の子はさらに慢性的な痛みを感じる可能性が高くなっています。
いくつかの研究では、発達障害である自閉症の人はそうでない人とは痛みの感じ方が異なっている可能性を示唆しています。
これらの痛みは、自閉症であればよくある感覚過敏や胃腸の問題によってさらに悪化している可能性もあります。
しかしながら、この分野の研究はまだ十分ではありません。
「今回の新しい研究では、自閉症の子は痛みをかかえ続けていることが、とてもよくあることを明らかにしました。
痛みをかかえることは、これまで自閉症の特徴とは考えられていませんでしたが、とてもよくあることなのです」
そう、米ミシガン大学の医学・リハビリテーションのダニエル・シャビロ助教授は言います。
シャビロ助教授らによる研究チームは、子どもの健康について親から聞き取りをしたアンケートデータである、
“2016-2017 U.S. National Survey of Children’s Health”を利用しました。
これには、自閉症の子を1472人含む、6歳から17歳まで50063人の子どものデータが含まれています。
分析した結果、自閉症の子どもの約16パーセントが慢性的な、繰り返しの痛みを経験していました。
さらに、てんかんや知的障害もかかえる自閉症の子どもでは、それは20パーセントになりました。
自閉症でない子どもでは、それは8パーセントです。
この研究結果は、”JAMA Pediatrics”で発表されています。
「自閉症の子どもたちがこうした慢性的な痛みをかかえていることは、まったく驚くものではありません。
自閉症の子どもたちでは、よくある重要な問題です。
より適切に対応する必要があります」
そう、英リバプール・ジョン・ムーア大学の心理学、デイビッド・ムーア上級講師は言います。
しかし、今回の研究は親からの聞き取りアンケートがデータとなっているため、子どもたちの状況を完全に正しく理解できたものではないという指摘もあります。
自閉症の子どもの場合には特にその指摘が当てはまりそうです。
自分の感じている痛みを伝えることが困難な、自閉症の子どもは少なくありません。
米バージニア大学のミカ・マズレック准教授はこう言います。
「親が痛みを報告することは、自閉症の子どもの代弁と思っていいでしょう。
痛みは体の内部の経験です。
自閉症の子どもに限らず、小さな子どもや話すことができない子どもたちでも、直接子どもから評価することは困難です。
この研究結果は、自閉症の人の痛みについてより注意をするように医師を促すものになるはずです」
今回の研究を行ったシャビロ助教授は、今回の研究をきっかけに自閉症の子どもの痛みの原因についての研究など他の研究に広がっていくことを期待しています。
「自閉症の子どもたちを痛みから救うためのスタートです」
(出典:米SPECTRUM)(画像:Pixabay)
親の私でも、もう大きくなったのに、うちの子が突然なぜ泣き出したのかがわからないことがよくあります。
話せないのであれば、手振り身振りでも教えてくれればいいのですがそれもないので。
体のあちこちに私が手を当てて、反応を見るしかないのですが、なかなか難しいです。
どこか痛いのか?痛みが原因ではないのか?
痛みや苦しみからは一秒でも早く救いたいです。
こうした研究結果は参考になるとともに、私はますます不安になります。
もっともっと研究が進んで、わかるようになればそんな不安も減るはずです。研究の進展を期待しています。
発達障害の息子の問題行動に体の内側の「内受容感覚」が関係
(チャーリー)