- iPad+動画での療育が自閉症スペクトラム障害の人の自立性を高めるのか?
- 視覚からの学習が効果的だと言われているが、それは本当なのか?
- iPad動画療育が日常生活スキルの改善に効果があるのか?
米フロリダアトランティック大学(FAU)らによる研究チームは、iPad+動画での療育が発達障害である自閉症スペクトラム障害(ASD)の人の自立性を高めるのに効果的であることを発見しました。
“Journal of Autism and Developmental Disorders”に掲載されたこの研究は、自閉症の人への遠隔療育の可能性に影響を与えるものとなります。
ASDの成人は、日常生活において家族や支援サービスに大きく頼っていることが少なくなく、アメリカではASDの人で高校を卒業してから8年以内に自立して生活できている人は17パーセントだけです。
自立した生活をおくるためには、料理や掃除、着替えなどのスキルが必要となります。
ASDの多くの人は、こうした作業を順序にしたがって連続して行うことに困難をかかえます。
これまでの研究によれば、ASDの人は視覚からの学習がもっとも効果が高いことわかっていいます。
タブレット端末やスマートフォン+動画の利用は効果的だと考えられます。
しかし、これまでこうした方法による療育の効果を示す証拠がありませんでした。
FAUの研究チームはこの証拠を獲得することを目的に研究を行いました。
研究チームはiPadで動画を見せる療育が、スマホなどのデバイスを使いASDの子とのコミュニケーションを親が行っていくことに役立つかを評価しました。
そしてiPad動画での療育において、どのようなスキルトレーニングが親が行っても有効なものになるかを知ることも目標としました。
今回の研究のユニークな点はリモートで親がiPadを利用した療育を行えるように指導する点、療育の対象は子どもではなく青年期の人である点です。
これまでのこうした療育方法の研究のほとんどは、療育の対象は幼児でした。
この研究では、まもなく成人期に入るASDの若者の親が参加しました。
これらの親の子どもたちは、他人への依存を減らし、自信と自尊心を強化するために、生活スキルを発達させる必要がありました。
この研究に参加した12歳から17歳の子どもは、両親が選択した次のスキルのいずれかができるようになることを求められました。
ベッドメイキング、パスタを調理する、または靴ひもを結ぶ。
親はiPadでの療育方法について、子どもの生活場面で療育を行う方法、教育的なビデオを子どもに見せる方法、ビデオで見た内容を真似する方法、見て感想を伝えてもらう方法を学びました。
子どもができたかどうかに基づいて親は、ほめる、間違いをなおす、やって見せる(2回以上できなかった場合に限る)するように指示されています。
FAUの主任研究者のエリザ・カッツトレスはそれぞれの親子のiPad動画療育(一回一時間、週に3回)の観察を5週間から7週間行いました。
iPad動画療育の結果、すべての子どもたちが日常生活スキルについて自分でできる、正確にできるなど大きな改善が見られました。
iPad動画療育が、日常スキルの改善に効果があることが確認できました。
親たちは間違いをなおしたり、ほめることをやめてしまっても、子どもたちは少なくとも3週間の間、身につけたスキルがなくなることはありませんでした。
そしてiPad動画療育では、誰でも17回未満でスキルを身につけることができたことに研究チームは注目をしています。
「私たちの研究結果は、自閉症スペクトラム障害の子どもたちに、動画を使った療育が即時に効果をあげるだけでなくそれが持続することをしめし、親が子どもの自立を助けるための強力な療育方法になることを示しています」
主任研究者のエリザは言います。
この研究に参加した、スーザン・フリーマンはこう言います。
「今、息子と一緒に新しいスキルを学んだり、新しいスキルについて話をするときには、
この研究から、全部をお願いするのではなく分解し断片にして教えることを学びました。
洗濯などについてもです。
そして、息子はほめるとすごく喜ぶこともわかりました。
息子のジョンは視覚からだと学ぶことが得意です。
作業をステップに分けて見ることで、作業を完了することができるようになりました。
今はベッドメイキングに取り組んでいます。
なので、まずはシーツの交換作業です。これは新しいスキルです」
(出典:米docwire)(画像:Pixabay)
うちの子はiPadやiPhoneのホームボタンを押して、画面が明るくなるのを小さなころからずっと楽しんでいます。
それはおいて、自宅でもできそうで療育効果も高いようなので、きちんとした方法が確立されて身近に利用できるようになるといいですね。
喜ぶ親は世界中にいるはずです。
話せないと思っていた発達障害の息子がiPadで伝えてくれる
(チャーリー)