- 大人の中にいるのは誰なのか?
- どんなサポートが提供されているのか?
- 学校の環境やプログラムはどのようにして配慮されているのか?
ウッドリースクールアンドカレッジに入って、最初に気づくのは大人が多くいることです。
子どもたちの親?そんなふうに思うかもしれません。
違います。
この大人たちは、ティーチング・アシスタント(TA)です。
二人の生徒に1人のTAがついています。
特に行動に困難をかかえる生徒の場合には、一人に2人のTAがつくこともります。
イギリスのローワー・ハウシズにあるウッドリースクールアンドカレッジでは、発達障害である自閉症スペクトラム障害の重度の生徒115人が学んでいます。
ウッドリースクールアンドカレッジはこうした子どもたちが教育を受けることのできる、イギリスでは数少ない学校です。
この学校は街の中心部の近くにありますが森の中にあるために、街の騒がしさは届きません。
感覚過敏であることが多い子どもたちの苦痛を防いでいます。
この学校はイギリス自閉症協会から「自閉症についての理解、療育のレベルを満たしている」と認定されています。
子どもたちを教えるだけでなく、他の学校や組織で働く自閉症の子どもたちへの教師の養成もしています。
幼児期の子どもから、それぞれの子どものニーズにあわせたカリキュラムで従業を行います。
教室だけでなく、巨大なボールプール、トランポリン、やわらかな遊び場、落ち着くことができる特別なブランコなどもある感覚にやさしい場でも授業が行われています。
屋外の遊び場、ウォーキングの歩道、森の中で過ごす時間もたくさんあります。
自閉症の人にとって、自分や他人の感情を理解することはとくに難しいことです。
そのため、感情を強調するための場所があります。
悲しくて無気力のときには「ブルーゾーン」に。
幸せで理想的な感情であれば「グリーンゾーン」、興奮しているときには「イエローゾーン」。
そして起こっているときには「レッドゾーン」。
否定的な感情でいっぱいになってしまったときには、生徒たちが避難できる部屋もあります。
パッド入りの優しい壁、希望にあわせて色を変えられる証明、落ち着ける音楽がそこにはあります。
授業だけでなく、音楽や演劇などの課外活動もあります。
スポーツに取り組むことも奨励されています。
16歳になると、自立に向けて可能な限りのライフスキルを教えられます。
重度の自閉症の人たちは、自立することは難しいかもしれません。
しかし、料理やそうじ、お金の計算ができれば自分の生活、介護する人の生活も楽しくなるはずです。
農園などで仕事を経験する機会も与えられます。
18歳の生徒のエイダンはこういいます。
「この学校では、自分のままでいながら、大人になれる方法を教えてくれます。」
エイダンは5歳のときからこの学校に通っています。
「これまでにたくさんの友だちができました。」
親やきょうだいもこの学校に感謝をしています。
子どもが学校に通っている間は、親は休むことができます。
きょうだいは、毎週木曜日にこの学校で他の自閉症の子のきょうだいと交流することができます。
学校には、家庭での問題を解決するための専門家もいます。
ここで働く先生たちは重度の自閉症の子を相手にするために困難もありますが、大きな喜びも感じています。
「ここで働くことには情熱をもてます。
絶え間ない挑戦です。同じ日はありません。」
(出典・画像:英Examiner Live)
何よりも子どもたちの笑顔がうれしくなります。
運営する側はいろいろな面で本当にたいへんだと思います。
しかし、こんな学校が世界中にできていってほしいと、重度の発達障害の子をもつ親としては願わずにはいられません。
インクルーシブ教育がつらい親子も多い現実
(チャーリー)