- ネット上のコミュニケーションと現実でのコミュニケーション、どちらが困惑を引き起こす可能性があるのか?
- オンラインゲーム「オートクラフト」はどのような社会的空間を提供しているのか?
- 発達障害の子どもたちにとって、マインクラフトがどのようなメリットを持っているのか?
発達障害の子どもたちにとって、ネットでの人とのやりとりは現実での人とのやりとりと変わらず、困惑してしまう可能性があります。
人気のゲーム、マインクラフトのカスタマイズバージョンといえる「オートクラフト(Autcraft)」では安全なネット上の遊び場を作ることに取り組んできました。
オンラインとオフラインとの世界が衝突し、ますます複雑化するなかで、オートクラフトはフィルタリングされて構造化された社会の一つを示すものといえるかもしれません。
私の研究は、オートクラフトのメンバーの協力を得て、発達障害の子どもたちが安全に遊べる方法を理解しようとするものです。
オートクラフトはマインクラフトのソフトを変更し、発達障害の子が楽しめるためのルールにより運営することでそれを実現してきました。
オートクラフトは、発達障害の子に4つの重要なことをマインクラフトで提供しています。
・構造化された世界
・安全な社会的空間
・フィルタリング
・創造力を発揮できる機会
ゲームはプレイヤーが従わなければならないルールがあります。
そのため、マインクラフトの世界はそもそも構造化されています。
オートクラフトではマインクラフトの世界を少し簡単なものにしています。
例えばプレイヤーは自分と特定の友だちだけが建物を立てることができるように自分の土地を設定して示すことができます。
こうすることで、知らないプレイヤーが許可なく建物を壊したり、変えたりすることを防いでいます。
こうした、物理的な構造のほかに、社会的構造=ルールもオートクラフトにはあります。
すべてのプレイヤーが従わなければならないルールを決めているだけではなく、楽しく遊べるためのアドバイスもあります。
例えば、オートクラフトでは自分がいらなくなったアイテムを誰でも利用できるように置いて残しておくことができます。
オートクラフトはマインクラフトのゲーム世界を安全な社会的空間として利用できるようにしています。
子どもたちは学校が終わると友だちと遊びます。
多くの場合、現実世界では会ったこともない友だちです。
みんなが遊べる公園のようなものです。
ある子どもは建築物を作ったり、ある子どもはかくれんぼをしたり、ただ歩きまわってテキストチャットを楽しむ子どももいます。
ゲームであるマインクラフトは、発達障害の子どもたちが困惑することが少なくなるように、現実世界のものごとをフィルタリングして単純化します。
キャラクターは現実の人に比べれば簡単な見た目です。
表情やボディーランゲージはありません。
すべてのやりとりは、ジャンプしたりアイテムを上げたりなどわかりやすい体の動きとテキストチャットです。
テキストチャットは私のような研究者でも圧倒されてしまうこともありますが、発達障害の子どもにとってはストレスの少ない、楽しい社交の機会を作ってくれるフィルタリングされたやりとりといえます。
米ノースウェスタン大学博士研究員 キャスリンリングランド
(出典:豪CONVERSATION)(画像:Pixabay)
うちの子にはテレビゲームは難しすぎるのですが、きょうだいは大好きでマインクラフトをずっとやっていました。
しかし最近はもっぱらフォートナイトです。
時間の約束をして、いつも友だちと一緒に楽しんでいます。
うちの子はデイサービスの施設では最近、磁石の魚釣りのおもちゃを楽しんでいるとのこと。
人それぞれに、笑顔になれる遊びや楽しみが生まれるのはうれしいことですね。
発達障害の父子が作った発達障害の子と家族専用のマインクラフト
(チャーリー)