- 自閉症スペクトラム障害の人が人の顔から感情や精神状態を理解できる能力は過小評価されているか？
- 自閉症の子どもたちが人の表情から精神状態をどのように認識しているのか？
- 自閉症の人が表情から人の感情を理解するのに影響する要因は何か？
イギリスのキングストン大学の発達心理学の専門家による研究によれば、自閉症の人がもつ人の顔や目を見てその人が感じていること考えていることを理解できる能力が過小評価されている可能性があります。
発達障害である自閉症は社会的コミュニケーションを困難にし、特に人の感情を理解することが難しいと広く考えられてきました。
しかし今回のキングストン大学ビジネス社会学部のリサ・バック博士による新しい研究では必ずしもそうではないことを示唆しています。
この研究結果は、自閉症の子に関わる医療、医師に大きな意味を持ちます。
「これまでの研究とは矛盾する発見でした。論争になるでしょう。
しかし自閉症の子どもたちが人の顔から、複雑な感情や精神状態を認識できる能力があると考え、どのように人の感情などを推測しているのかを調査を進めることが重要だと考えています。
自閉症スペクトラム障害の社会的なコミュニケーションの困難はどこで生まれてくるのでしょうか。」
アメリカ児童発達研究協会のジャーナルである”Child Development”に掲載されたばかりのこの新しい研究では、
自閉症スペクトラム障害の子どもたちにビデオを見せ、視線追跡技術によって、顔から精神状態を理解する速度を測りました。
また、自閉症の子が心配や安心などの人の精神状態をどうやって特定するのかにも、そうではない子どもたちとの比較から調べました。
キングストン大学の心理学部のデベロッピング・マインズ・ラボのディレクターでもあるバック博士は、１１歳から１６歳まで３２人の若者たちに研究に参加してもらいました。
その半数は自閉症と診断をされた人たちです。
年齢、ＩＱ、性別については、自閉症と診断をされていない人と同じです。
３つの違いで、８つの精神状態を示す一連の人の顔を見ました。
目、または口は無表情状態のまま変えないで、他の顔の部分を変更させたさまざまな表情を見せました。
それぞれの顔に、特定の精神状態を示す単語が表示され、その表情と一致しているのかを判断してもらいました。
バック博士は正解か否か、答えるまでの時間、目の動きを記録しました。
「こうしたことによって、子どもたちがさまざまな表情をどのように認識したのかを調べることができました。
その結果、表情の読み取りが正しくできているか、回答するまでの速度、眼球の動きについて、自閉症の子どもたちはそうでない子どもと比べて大きな違いはありませんでした。」
これは、自閉症スペクトラム障害の人たちが人の表情を理解するのに困難をかかえているというこれまでの多くの研究結果に反するものだったとバック博士は言います。
「自閉症の子どもたちが人の表情から精神状態を認識できていることを示したこと以上に、
人の顔を見るときの目の動き、表情から精神状態を知る速度などにも、自閉症の子とそうでない子に違いは見られなかったことに驚いています。」
顔に現れる表情の時間が、自閉症の人が人の感情を認識するのにどう影響するのかについて研究する必要が出てきたとバック博士はいいます。
「今回の研究においては自閉症の人、そうでない人で違いはありませんでした。
しかし、瞬間に見せる表情からの理解では違いがありそうです。
そのために自閉症の子どもたちは、そうでない子どもに比べて苦労しているのかもしれません。」
バック博士はこの研究結果から、自閉症の子に定期的に対応している教育及び医療関係者に適切な訓練が必要だと考えています。
「社会的なやりとりについて、自閉症の人たちの能力を過小評価してはいけません。
これまでの多くの研究では、できないとされてきました。
しかし自閉症の子どもたちは、表情から人の複雑な感情を読み取ることができるのです。
とくに自閉症の子へ療育などを行っている人はそのことを知っておかなければなりません。」
（出典：米Medical Xpress）（画像：Pixabay）
私もうちの子は、私の表情から私の感情は理解できていると感じます。
むしろ私がうちの子からうちの子の感情や思考を理解できていないことがよくあります。
表情から理解できる理解できない、そんなことに関わらず、誰にも他の人と変わらずに接して頂きたいと願います。
知的障害の人がかかえる絶望感をまわりはわかっていないのかも
（チャーリー）
