- 自閉症スペクトラム障害の子どもはロボットとのやり取りにどのように反応するのか?
- ソーシャルロボットを通じて自閉症の子どもたちが日常生活で振る舞い方を練習することは可能か?
- 自閉症の子どもたちにとって、ロボットはどのような役割を果たすことができるのか?
人工知能そして、人間とロボットの相互作用の研究を行っているランディ・ルイスはソーシャルロボットと遊ぶ二人の6歳の少年を見ています。
グリフィン・ベックとジェームズの双子ががやりとりをしているロボットは米マサチューセッツ工科大学で開発された「ジボ」と呼ばれるロボットです。
ジボには手も足もありません。首と胴があるだけです。
それでも、ジボは丸い体でたくさんの感情を表現します。
人間の顔を認識でき、タッチパネルを備えたジボが人に反応します。
心配したり、陽気になったりしてくれます。
ジボは双子からのダンスのリクエストに応えて、音楽を再生しコミカルに踊りだします。
少年たちは何度もまた踊るようにお願いをします。
「ジボをよく見てください。」
子どもとソーシャルロボットの相互作用について4つの研究プロジェクトに取り組んでいるルイスはそう言います。
発達障害である自閉症の子どもは人とのやりとりに困難をかかえることがあります。
「私たちは意識していませんが、顔には何百万もの筋肉があります。
その動きを理解することは簡単ではありません。」
ここで行っているルイスの研究では、自閉症スペクトラム障害の9人の子どもがお気に入りのおもちゃと比べて、ロボットとはどのようにやりとりをするのかを調べています。
多くの場合、自閉症の子どもたちはおもちゃとやりとりをすることで積極性を引き出すことができます。
愛情のこもったやりとりや、おやつなども役に立ちます。
ルイスはロボットもそのように役に立つものになるかを調べています。
「みんなロボットを好いてくれています。
人間と同じように表現するからでしょう。
また演劇や舞台、映画が好まれるのも人を見るのが好きだからです。
ロボットも見ることも同じなんです。
人と似た機械は好まれるんです。」
自閉症の子どもたちはソーシャルロボットを使って、日常生活での振る舞い方を練習することができます。
ロボットは子どもたちに失望したり、イライラしたり、退屈になることはありません。
人がそうした感情を見せれば、自閉症の子どもたちはすぐに気づいてしまうといいます。
ルイスの研究で利用しているロボットは人のかたちをしているのは一種類だけです。その他は猫や犬、そして日本で開発されたパロというロボットは赤ちゃんのアザラシです。それはすでに治療の用途で多くの注目を集めているものです。
フランスで開発されたノアという人型ロボットは、自閉症の子どもにとって特に可能性があるものだと考えています。しかし、ノアの関節に自閉症の子が指を挟んでしまう危険性にも気づきました。
共同研究者であるカイリン・ハドソンはロボットは自閉症の子どもたちに自立することを教え、社会的な交流のスキルを伸ばす可能性があることを言います。
自閉症の子どもたちは一人ひとり症状が異なります。
双子のグリフィンとジェームズの母親のティファニーは、二人も違うといいます。
ジェームズは社交的で話すこと、車と電車が大好きです。
グリフィンはテクノロジー、音楽の演奏、ダンス、そして数字と文字を教えてくれるロボットのおもちゃが大好きです。そのロボットのおもちゃにはジェームズは興味をもつことがありません。
そのロボットのおもちゃにグリフィンは熱中しよく学ぶことができているといいます。
「自閉症スペクトラム障害の子どもたちの多くはテクノロジーが大好きです。
社会的なやりとりの困難の克服に役に立つはずです。」
研究を進めるルイスは、まだまだ研究しなければならないことがたくさんあるといいます。
「私たちは、そのために必要となる技術や考え方、それを持ち合わせています。」
(出典・画像:カナダOTTAWA CITIZEN)
嫌な顔を全く見せないで、何度でも同じことをしてくれる。
どんなに優れた人でも疲れているときなどには、表情に現れてしまうことはあるでしょう。
ロボットにはそれがありません。
機械だからこその当たり前のそんなことが大きなメリットであったりします。
機械だから、ロボットだからこそ役に立つことが大きくあります。
ますます身近になっていってほしいと思います。
自閉症スペクトラム障害の子が30日間のロボット利用で劇的に改善
(チャーリー)