- 面接試験において、自閉症の人が直面する困難は何か?
- 採用企業が自閉症の人を採用する際に気をつけるべき質問の内容は?
- 自閉症の人との面接中に重要な注意すべきコミュニケーションのポイントは何か?
これまでの研究で示されているように、有能な発達障害の自閉症の人の多くが失業状態にあります。
しかし組織におけるニューロダイバーシティの価値についての理解が深まり、その問題は改善に向けて動き出しているようです。
とはいえ、現在の採用方法のままでは自閉症の求職者には難しい可能性があります。
自閉症の人は非言語のコミュニケーションや社会的なルールを理解することに苦労することがあります。
そのため、面接試験が大きな困難となっています。
応募した自閉症の人がその仕事にとても適していて優秀であっても、面接試験の評価は低いものとなってしまうために自閉症の人にとっても採用する企業にとっても大きな不都合となっている可能性があります。
いくつかの方法でこの大きな不都合を減らせることができるはずです。
① 面接のしかた
自閉症の人は多くの場合、感覚に問題をかかえるだけでなくボディランゲージや表情、声色、社会的なルールを理解することに困難があります。
面接を受ける人は面接官の非言語、言語によるコミュニケーションに集中しなければなりません。
さらに面接官が複数になる場合には、それがさらに大きく難しくなります。
そのために本来のパフォーマンスを示すことができなくなってしまいます。
雇用する側は偏りのない採用を行うために複数人の面接官で行うことを好みます。
しかし、一人の面接官であっても複数回行うことによってそれに代えられます。
複数回の面接試験を通じて自閉症の人は複数の面接官に会いますが、同時ではないので自閉症の人のパフォーマンスをより正しく評価できるはずです。
たくさんの面接を短い期間に詰め込まないようには、しなければなりません。
② 質問の内容
質問の内容によっては自閉症の人たちの評価が不利になります。
あいまいな質問や、仕事とは明らかに関係のない軽い心理学的な質問などはしないでください。
たとえば、
「もしあなたが動物になれるなら、どんな動物になりたいですか?その理由は何ですか?」
こうした質問は自閉症の人にとっては、困るだけのものです。
また、スキルを測るためのあえて意外な質問もしないでください。
「この瓶の中にキャンディーはいくつ入っていますか?」
こうした、推論や推定の思考能力スキルを測ろうとする類の質問です。
自閉症の人はこの質問をそのまま受け取ります。
実際に数えるしかないと考えるはずです。
そうした質問をする代わりに、求めるスキルに関わる客観的、科学的なテストを行うほうがよいでしょう。
また特に仕事とは無関係な、極度に社会的に偏った、人を喜ばせることなどについての質問もするべきではありません。
「あなたの上司はあなたについてどう思うでしょうか?」
他の人がどう考えるのかを考えさせないでください。
「これから仕事をするなかで、同僚との意見の相違があった場合にどう対応するか教えて下さい。」
こうしたある条件下での行動についての質問や、仮説を前提とした質問は難しいことがあります。
想像を必要とせずに、これまでの経験を答えられるようにしてください。
自閉症の人は実際に経験したことに対しての質問にはよく答えられます。
③ コミュニケーションのとり方
自閉症の人への面接中にコミュニケーションで気をつけなければならないことがあります。
「文字通り」に解釈されることで、困ってしまう言葉を使うことはしないでください。
例えば ”land a job”(仕事に就く)、文字通りに理解すれば「仕事を陸揚げする。」
自閉症の人たちの一部は、面接官のちょっとみせた嫌な表情にもすぐに気づく達人です。
しかし、それを気にしないようにすることができなかったり、自分の顔を「面接向き」に戻せなかったりします。
そのため、面接はぎこちない難しいものになってしまいます。
しかし繰り返しになりますが、こうしたことは社会的なコミュニケーションができることが最重要な仕事でない限り、面接試験に結果に影響を与えるべきではありません。
以上のように面接を行うことで、有能な自閉症の人たちを雇用しやすくなります。
企業が収益と競争力を高めることができるだけでなく、社会も良くなることにつながります。
それはとても価値がある取り組みのはずです。
(出典:豪THE CONVERSATION)(画像:Pixabay)
旧来の「面接試験」のために、たくさんの素晴らしい能力が発揮されていないままになっていることは想像できます。
一方で、コミュニケーションだけは素晴らしい人もたくさん見てきました。
変わっていくことは間違いありません。そして加速していくはずです。
発達障害の人の雇用を進めるIBM。多様な頭脳が必要だから
(チャーリー)