- 1分後に起きることを知ることでパニックを防ぐことができるのか?
- 自閉症の人が自分の苦しい状態を伝える難しさを解決できるのか?
- パニックを予測するデバイスの開発は家族や介助者にとって有益なサポートになるのか?
1分後の未来がわかったらどうでしょうか。
あまりに短い時間なので、価値がないように思えるかもしれませんが発達障害の人を介助する人にとっては、60秒後に起きることがわかれば発達障害の人がパニックを起こしてしまうのを防ぐには十分かもしれません。
ストレスのレベルが危険になったことを警告する、手首につけられるデバイスを米ノースイースタン大学の行動科学者、マシュー・グッドウィンが開発しました。
発達障害の自閉症の人は、安静時でもストレスのレベルが自閉症でない人に比べるとはるかに高いため、突然パニックになってしまうことがあります。
「彼らのレベルは、ふだんから最高になっているんです。
パニックを起こすきっかけは、わずかなものです。」
そうグッドウィン准教授は言います。
それに加えて、自閉症の人が自分の苦しい状態を伝えることは簡単ではないことが多くあります。
そのためにパニックが起きてしまうのを、介助者が防ぐのは困難なのです。
たとえ60秒しかなくても、このデバイスが役に立つのはそのためです。
「介助する人に事前に通知することができれば、パニックになることを防げます。
自閉症の人をリラックスさせ、安全な状況に導けます。」
このデバイスは心拍数、発汗量、皮膚表面温度、腕の動きをモニターします。
この開発研究にあたって、グッドウィンの研究チームは20人の自閉症の子どものパニックについて観察を行いました。
87時間にわたり、子どもの状況と対応する生理学的変化を追跡しました。
自閉症の子どもがパニックを起こす前、最中、終わった後の身体の変化、その情報を利用してこのセンサーデバイスは開発されました。
20人のデータを使うことで、84パーセントの精度で1分前にパニックが起きることを予測できるようになりました。
「60秒前というのは、サンプルデータの量による制限に過ぎません。
もっとたくさんのデータがあれば、より高度な機械学習モデルが利用でき、もっと前から予測できると思います。」
米国防総省、サイモンズ財団、ナンシールーリーマークスファミリー財団からの資金援助で今後、240人の自閉症の人に参加してもらう予定です。
「パニックを起こしてしまう子どもの家族は、パニックを起こす原因がわからないといいます。
いつどこでも起きてしまうことを恐れて、自宅に閉じこもってしまっています。
家族で映画を見に行くことはありません。
子どもと一緒にスーパーにも行きません。
公園に行くこともないのです。」
グッドウィンは、パニックになるのを予測できるようにすることで、こうした問題を解消したいと願っています。
「たとえ60パーセントの予測精度でも、今までよりも良いと言う親たちがいます。
そして、このデバイスはとても貴重だと言っています。」
(出典・画像:米ノースイースタン大学)
うちの子は最近はずっと情緒不安定で笑顔もあまり見ることができません。
悲しそうな顔をしていると思わず抱きしめます。
内面について、こうして伝えられるデバイスはますます進化してほしいと願っています。
発達障害の人を助ける会話の空気を読むAI装置
(チャーリー)