- このテレビ番組の放映は子どもたちにどんな影響を与えるのか?
- ABA療法と犬のトレーニング方法を比較した場合、どのような違いがあるのか?
- 自閉症や発達障害を持つ子どもたちを訓練ではなく、どのようにサポートすべきなのか?
イギリスのチャンネル4の番組 “Train Your Baby Like a Dog”(犬のように子どもを訓練する)の放映に、自閉症についての擁護団体が反対しました。
このテレビ番組は子どもを非人間的に扱い、応用行動分析(ABA)療法で使用されている有害な訓練方法を広く伝えるものだといいます。
“Train Your Baby Like a Dog”は、動物学者でありドッグ・トレーナーのジョー・ロージー・ハフェンデンが出演しています。
ハフェンデンは自分の子どもの成長に犬のトレーニングテクニックを使った後、他の家族にも同じようにこのテクニックを使って子どもを育てることを勧めてきました。
最初のエピソードでは、かんしゃくを起こして物を投げる幼児やベッドで寝ない幼児への対処方法を紹介します。
この番組に対して、子どもへの非人間的な扱いから放映を止めるよう、イギリスの自閉症の人たちを支援する団体であるオーティスティック・インクルーシブ・ミーツ が約25000名の署名を集め請願を行いました。
オーティスティック・インクルーシブ・ミーツはこう言います。
「自閉症の子どもへのABA(応用行動分析)では、犬の訓練と同じクリッカー(音がなる道具)を使った訓練が行われています。
アメリカの心理学者、イバ・ロバース博士によって作られたABAは行動訓練の原則に基づいたもので、犬の訓練方法に関する研究にまでさかのぼるものです。
ABAでは、社会的な規範に従う自閉症の子どもは報われ、従っていない表現は罰されます。
しかし、自閉症は「治す」病気ではありません。
ニューロダイバーシティの一つに過ぎません。
私たちオーティスティック・インクルーシブ・ミーツは、自閉症の人の健康と幸福に害を与えるABAに反対をしてきました。」
自閉症のキーラン・ローズはこう言います。
「私たちが快適に感じることの多くが、自閉症でない人たちを不快にする。
そのために、私たちは孤立し排除され、正常ではないと見なされている。
私たちを修正するための治療方法があるので、それによって私たちは自閉症でない人たちに合わせられる。
幼い頃から、そう学びました。」
子どもの頃に受けたABAが、大人になってから重大な影響を起こしていると伝える研究があります。
自閉症の大人と子どもについての2018年の研究では、ABA療法を受けた人の46パーセントが心的外傷後ストレス障害(PTSD)の診断基準を満たしていました。
ABAは本質的に、自閉症の人たちに自閉症の特徴を隠すように要求します。
それは多大な犠牲を要し、精神的健康に大きな影響を与える可能性があります。
定期的に隠すこと、マスキングはうつ病につながります。
別の研究では、マスキングが自閉症の人たちの自殺リスクと高く相関していることもわかっています。
「マスキングは疲れる。メリットがあるかもしれないが(よく発達したマスクを持っていることで仕事の世界でうまくやれるようになった)、代償は大きい。
自分ではない人になろうとすることは、精神的にも肉体的にも疲れる。
私がマスクをしているときに出会う人は、本当の自分を見ることも知ることもない。
自閉症の子どもたちには、このことをどう伝えるのが良いでしょうか。」
そう語る自閉症の人もいます。
オーティスティック・インクルーシブ・ミーツとともに、子どもの精神的な健康の養護者からは、“Train Your Baby Like a Dog”(犬のように子どもを訓練する)に対し、子どもが持っている考える能力の点から非難があります。
「自分の快適さや自分で得られる報酬に関係なく、ただ大人の要求に応じるように、訓練されるのです。」
オーティスティック・インクルーシブ・ミーツなどによる請願に対して、番組側は利用している犬のトレーニング方法は、多くの自閉症の人たちが反対してる過去の方法とは全く別のものだと述べています。
番組に出演しているドッグトレーナーのハフェンデンはこう言います。
「自閉症の人たちに、恐ろしい経験をする時期があったこと、私もとても悲しく思います。
そして今なお、子どもを無理に拘束するような方法もあるようです。
それらの方法の多くは過去の犬の訓練技術をもとにしています。
音が鳴るクリッカーを使って。
犬や動物の訓練は、今ではリードを引っ張って「私の言うことに従わなければならない。」と言っていた頃から、長い道のりを経て大きく変わっています。
安全な環境で、犬や動物に、どのような行動をすることが望む結果につながるのかを教えるようになったのです。」
テレビ局は請願に対して、こう発表しています。
「私たちは子育ての新しいアプローチを探求しています。
科学に基づいた、子育ての専門家が広く利用している、積極的な動機づけ手法に基づいたものです。
撮影と視聴に関わったすべての親子が幸せになることが最重要だと考えています。
番組内容も資格をもっている児童心理学者によってきちんとチェックされています。」
(出典:英The MIGHTY)(画像:Youtube)
自閉症や発達障害など関係なく、そのタイトルだけで日本では大炎上、放送は無理でしょう。
何かがうまく出来たら、お菓子をあげる。
うちの子にもそんなことをしたことがありましたが、私はすぐに止めました。
まるで動物と同じように扱っているように感じ、本当にとても失礼なひどいことだと感じたためです。
なので今でもずっと、うまく出来たらハイタッチです。私もうちの子も笑顔になれます。
発達障害の人の「マスキング」大きな代償が必要なマスクはとろう
(チャーリー)