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発達障害の生徒への配慮の結果、そうでない生徒の問題も減った

time 2019/08/19

この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

発達障害の生徒への配慮の結果、そうでない生徒の問題も減った
  • 電話の呼び出し音が不安になる理由は何か?
  • なぜヴィニーは教室から出て行かなければならなかったのか?
  • 学校での落ち着ける空間の設置によって、どのような変化が見られたのか?

ネイサン・レバティは、電話の呼び出し音が鳴るのが不安になっていました。
10歳の息子のヴィニーが通うオーストラリアのアデレードにあるクリスティダウンズ小学校から、迎えに来るようにとかかってくる電話です。
発達障害のヴィニーは、問題行動を起こしたびたび教室から出て行かされました。
「どうしてそうなったのか、私たちには正確に特定することはできませんでした。」
そうネイサンは言います。
ヴィニーは苦しかったと言います。
「落ち着くためには教室から出ていくしかなかったんです。」
昨年は5回、出席停止になりました。
親も教師もヴィニーの将来を心配しました。
「起きていることのレベルを考えると、ヴィニーはどこの学校にも受け入れてもらえないかとも思いました。」
しかし、今年はそうした問題はなくなりました。
ネイサンも息子のヴィニーも、学校に「落ち着ける空間」が設置されたおかげだと考えています。
落ち着ける空間は、暗い照明と優しい音楽、触り心地のある壁、特殊なおもちゃが置かれています。
ネイサンのために学校から電話がかかってくることもなくなりました。
「本当に大きな変化です。大きな重荷がなくなったようです。」
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学校のシニアリーダーのトッド・マグラスはヴィニーが問題行動を起こす唯一の生徒であったわけではまったくないといいます。
学校の記録によれば、昨年は学校全体で約1000件の生徒の問題行動がありました。
「教室での暴力、ゴミ、テーブル、椅子が投げられたりしました。
子どもたちの学習機会を妨げるものです。」
しかし、今年はそれが約200件にまで減りました。
「劇的な変化といえます。」
発達障害の自閉症スペクトラム障害と診断される子どもの数は増加しています。
オーストラリアでは自閉症スペクトラム障害の人は70人に一人と推定されています。
多くの学生が自分の感情をコントロールする場として「落ち着ける空間」を利用するようになったといいます。
自閉症スペクトラム障害の子どもたちが自分が感じていることを理解することを助けるプログラムの一つの施策としてこの「落ち着ける空間」が設けられました。
「落ち着ける空間をすべての教室に設けました。
少し静かな時間が必要な場合には、すべての生徒が利用できます。
子どもたちが、さまざまな時期に感じるさまざまな感情に向き合えるプログラムも作成しました。」
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生徒が落ち着くのを助けるセラピードッグのピッパもいます。
この学校には何らかの障害をかかえる生徒が約80人います。
心を落ち着かせるプログラムは、自閉症スペクトラムの子供たちを最初に対象としていましたが、学校の校長ゲイル・エヴァンスは、それは、トラウマの経験、貧困、薬物、暴力の被害、どの生徒たちにもプラスの影響を与えたと言います。
「トラウマは子供の脳を変えてしまいます。感情が極端になり、自分をコントロールできないことがあります。」
エバンス校長は、学校での多くの問題行動は、多くの生徒が学ぶ準備ができるように、特別な助けを必要とするという事実に関連すると言います。
「本当に衝撃的なことを経験した次の日に、学校で穏やかに勉強をすることは難しいでしょう。
基本的なニーズが満たされていないときに、どのようにして学校で学ぶことができますか?」
落ち着ける空間の設置など、エバンス校長は数年をかけて学校を変えてきました。
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ヴィニーは現在、週に2回ほど、自分や先生が必要だと感じたときに落ち着ける空間を訪れます。
そこでヴィニーは色のついた水とキラキラが渦巻いているガラス製のおもちゃをじっと見ています。
「このおもちゃを見ていると、怒っている感情がなくなっています。」
パニックへの対処方法や怒りの種類など、自分の感情を理解するのに役立つガイド付きの遊具で遊ぶこともあります。
「本当に助かります。自分がどう感じてるかを人に伝えられるようになります。」
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支援団体のオーティズム・アウェアネス・オーストラリアのニコル・ロジャーソンCEOも、この学校の取り組みを歓迎しています。
「本当に新しい取り組みです。まだ多くの学校では行われていません。
実際に行っているのは本当に素晴らしいことだと思います。」
ニコルは、オーストラリアのいくつかの学校で自閉症スペクトラム障害の生徒たちが隔離されていたという近年の報告を受けて、そうした子どもたちを支援する体系的なアプローチの必要性を求めてきました。
「一部の子どもたちに、正しく対応がされてこなかったという話があります。
多くは、そうした子どもたちに対して専門知識がない学校で起きていました。」
ニコルは、発達障害の子どもたちへの教育の最善の方法について、オーストラリア連邦政府がガイドラインを作ることを望んでいます。
(出典・画像:オーストラリアSBS
子どもにとって楽しく過ごせるのが一番です。
そのために必要な変革は、国を問わず行われてほしいと願います。
発達障害の子どもたちが再び学べる通うのが楽しみになる学校

(チャーリー)


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