- 子どもが話したくなるようにするために、親がどんな反応をすればいいのか?
- PRT療育テクニックが自閉症の子の発話やコミュニケーションスキルにどのような効果をもたらすのか?
- 研究結果から見えてくる、PRT療育を一貫して行うことの重要性は何か?
自閉症の子の興味と動機を引き出すことが、話すことの価値を理解させ、社会的スキルの構築に役に立つ。
米スタンフォード大学の新しい研究はそれを示しました。
スタンフォード大学医学部の研究チームによるこれまでよりも規模の大きな研究結果によれば、親も参加するPRT療育方法は自閉症や発話が著しく遅れている子について、他の方法よりも大きな効果がありました。
自閉症の子は通常発達の子よりも社会的な動機が低いため、両親との関わりについての本能に頼るだけではうまくいかないと、精神医学および行動科学の准教授、グレース・ジェンゴー博士はいいます。
PRTテクニックはこれを解決するために親が学べる方法です。
「私たちは子どもがコミュニケーションをとる動機づけになる状況の設定のしかたを親に教えました。
それを学んだ親たちの子、PRTグループの子どもたちは、コミュニケーション能力だけでなく、より幅広い社会的な能力も向上していたことがわかりました。
この研究結果はとてもエキサイティングなものでした。」
米カリフォルニア州のハイジ・ピムは、発達遅延のある自閉症と診断をされた息子のジェームズと一緒にこの研究に参加しました。
「息子が話すことができるかどうか、とても心配していました。」
ハイジは息子のジェームズの変化を見ておどろきました。
研究に参加したときは3歳でした。
「息子の知っている単語やフレーズがとても多くなったんです。本当に感謝をしています。
今では話すことができます。
とても社交的にもなって、人に近づいては質問をしているんです。」
この6ヶ月に渡る研究では、2〜5歳の自閉症で言語発達に著しい遅れがある48人の子どもが参加しました。
半数の子どもはセラピストと親からPRT療育を受けました。
残りの子どもたちは、以前から続けている別の療育方法を受け続けました。
最初の12週間、PRT療育を受ける子どもたちは訓練をうけたセラピストから週に10時間のPRT療育を受けました。親たちは子どもとの日常的なやりとりにPRT療育の技術を利用する方法を週に1時間学びました。
その後の12週間、PRT療育の子どもたちは週に5時間PRT療育を受け、親たちは月に一度指導を受けました。
PRT療育方法は、セラピストまたは親が子どもが何に興味を持ったのかを書き留め、それを利用して話すことを促します。
例えば、ジェームズがおもちゃの車を欲しがっていた場合、母親のピムは車を手にとって、見える場所に置いて「くるま」と言うように勧めます。
「くるま」と言いそうなれば、車を渡します。
ジェームズは最初、「くるま」のような1語だけを学びました。
その後、「みどりの」「くるま」や、「準備、セット、ゴー」などフレーズを学びました。
ピムはのどがかわいたときには、「ボトル」と言うなど、自分の欲求を表現する方法を学びました。
「息子はそれまで、何かを指差したり、求めたりすることができませんでした。
PRT療育は、語彙力とコミュニケーション能力を本当に向上させてくれたんです。
息子が何を必要としていて、何を望んでいるのかを理解するのに役に立っています。」
療育が進むにつれて、母親のピムはジェームズの欲求不満のレベルが低下していることもわかりました。
「それまでは、自分の感情をどう表現していいのかわかっていませんでした。
例えば、私が外出から帰ってくると、
『ママがいなくて寂しかった。』
そう言うことができないので、私にぶつかってきて泣いたりしていました。
それが少なくなりました。」
研究の終わりには、PRTグループの子供たちはそうでない子供たちよりも多くを話し、他の人が認識できる一般的な言葉の利用ができていました。
また、社会的なコミュニケーションについても全体的に大きな改善を示していました。
また、発達の遅れが大きかった子どもほど、より多く改善していることもわかりました。
「新しい発見は、最も大きくニーズを抱えている子どもたちを支援するうえで、親が特に価値ある役割を果たしているということです。」
スタンフォード大学の研究チームは、この研究結果はとても有望なものの、もっと大規模に研究調査を行う必要があると考えており今後も自閉症の子や親の研究への参加を募っています。
(出典:米スタンフォード大学)(画像:Pixabay)
子どもが話したくなる、その気持ちがより大きくなるように、本当に簡単なことと反応を親がする。
のPRT療育テクニックが発話やコミュニケーションスキルの向上に効果ありとの研究結果。
それを時々行うのではなく、一貫して行うことが重要なんだろうとも察します。
親が会話のしかたを学ぶことで、発達障害の子の言葉の能力が向上
(チャーリー)