- 1. 自閉症の女性や女の子の自殺リスクはどれくらい高いのか?
- 2. 自閉症とADHDを両方かかえる女性の自殺リスクは他の人と比べて高いのか?
- 3. 自閉症の人の自殺リスクには遺伝的要素が関係しているのか?
発達障害である自閉症の人たちの自殺についての最大規模の新しい研究によれば、自閉症の女の子や女性の自殺リスクが高いことがわかりました。
性別や知的レベル、その他で自閉症の人たちの自殺について分析できる十分な規模のデータを利用する初めての研究になります。
自閉症の人に限らず一般の集団においても、女性は男性よりも自殺リスクは高くなっていますが、自閉症の人についてはこの性差がより顕著であることがこの研究でわかりました。
注意欠陥多動性障害(ADHD)もかかえる自閉症の女性は、特にリスクが高い可能性がありました。
自閉症とADHDの両方をかかえる女性は、5人に一人が自殺を試みていました。男性では11人に一人です。
知的障害もかかえる自閉症の人の場合でも女性はリスクが高いものとなっていました。
女性は13人に一人が自殺を試みていました。男性では20人に一人です。
「自閉症の女性は分析したほぼすべてのタイプで、自殺行動のリスクが高くなっていました。」
そうこの研究を行った、スウェーデンにあるカロリンスカ研究所の臨床心理学、タジャ・ヒルビコスキ准教授は言います。
また、自閉症の人のきょうだいも、そうでないきょうだいに比べると自殺リスクが高いものとなっていました。
いとこや片方の親が同じのきょうだいでも、そうでない人に比べると高くなっていました。
自殺について遺伝的要素を示唆する研究がこれまでにありますが、今回の研究は自殺と自閉症の遺伝的関連を探る研究となります。
この研究に関わっていない、米ユタ大学の作業療法、アン・カービー助教授はこう言います。
「遺伝的な関連から、自殺と自閉症について検討する研究はこれが初めてのものです。
しかし、自閉症の人の家族のリスクについて理解するには十分とはいえません、もっと多くの研究が必要でしょう。」
ある研究では、自閉症の人は自殺による死亡する可能性がそうでない人に比べて10倍にも上ることが示唆されています。しかし、一般人口においての自殺が増加していることをふまえれば、この研究の結果は正しいものではないかもしれないと米ケネディ・クリーガー研究所の小児科、ポール・リプキン准教授は言います。
それに対して、今回の新しい研究では200万人以上を対象に行われたため、そうした疑問もありません。
この研究に参加していないリプキン准教授はこう言います。
「今回のこの研究では、自閉症の人はそうでない一般の集団に比べて自殺のリスクが高いと明確に示しています。」
今回の研究では、研究チームはスウェーデンの全国患者登録情報を利用して、1987年から2013年までに自閉症と診断をされた54618人とそのきょうだい、片方の親が共通なきょうだい、いとこの347155人を特定し、200万人以上の自閉症ではない人やそのきょうだい等との比較調査が行われました。
その結果、自閉症でない人に比べて、自閉症の人は自殺未遂を行う可能性が4倍、自殺未遂により入院をする可能性が6倍、自殺により死亡する可能性が8倍となっていました。
うつ病、不安症、薬の副作用などを考慮し調整しても、自閉症の人のそれらが、そうでない人に比べて有意に高いことに変わりはありませんでした。この結果は”Psychological Medicine”に掲載されています。
そして、自閉症でADHDもかかえている人についてはさらにリスクが高いものとなっていました。
そうでない人に比べて、自殺未遂の可能性が7倍、自殺による死亡の可能性が13倍となっていました。
ADHDのみであっても自殺のリスクが高まることから、これはおどろくことではないと今回の研究を行ったヒルビコスキ准教授は言います。
また、知的レベルに問題をかかえない自閉症の人は、自閉症でない人に比べて自殺未遂を行う確率は高くなります。
しかし、一般的な考えに反して、知的障害をかかえる自閉症の人も自殺未遂を行う確率は高いものとなっていました。
「自閉症はそれ自体、知的レベルとは関係なしに、自殺に向かわせる大きな要因と考えられます。
自閉症の人の脳と、不安障害や自殺願望のある人の脳に神経学的な関係が認められるかもしれません。」
今回の研究を通じて、自殺リスクが高い自閉症の人たちについてわかりました。
これよって、彼らを助けることができるはずだとヒルビコスキ准教授は言います。
「わかった結果から、医師はこうした人たちに対して、より慎重に対応ができるはずです。」
(出典:米SPECTRUM)(画像:Pixabay)
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防ぐことに確実につながっていくことを切に願います。
そうでなければただの生態観察に終わってしまいます。
医師だけでなく、多くの人たちが知って、ありのままでいることを受容し配慮できるように。
そう見えないように。自閉症を隠しているのはきついマラソン
(チャーリー)