- 自閉症の子どもと接する際に親のストレスを減らす方法は何ですか?
- 親がレスポンシブ・ティーチングを実践することでどのような効果がありますか?
- 子どもとの関係性を意識的に築くことが親のうつ病リスクにどう影響しますか?
発達障害である自閉症の子どもに教えようとする母親よりも、子どもと仲良くしようとする母親のほうが劇的にストレスやうつ病になるリスクが減っていました。
米ケース・ウェスタン・リザーブ大学による新しい研究です。
サウジアラビアの28人の未就学の自閉症の子どもとその親が参加したこの研究で、親のストレスのレベルやうつ病のリスクは、日常生活で子どもと意識的に交流することにより改善することがわかりました。
「私たちは、このお金のかからない親と子の関係を良くする療育方法の効果と、子どもと親の両方に与える影響を評価したかったのです。」
そう、この研究を行ったヘラルド・マホニー教授は言います。
サウジアラビアにあるキング・ソウド大学とキング・フェイサル病院らの研究チームもこの研究に参加しています。
発達障害である自閉症は子どもの発達に影響を与えるだけではありません。
親や他人などとの人間関係にも影響を与えます。
自閉症の子をもつ親たちは、強いストレスや失望感を、幼児の頃から大きくなるまで経験しています。
「サウジアラビアの自閉症の子の親たちは、米国などで行われる専門家による療育を利用することはあまりありません。
そのために、母親と子どもとの関係に注目しました。」
そして、母親と子どもとの関係を良くすることがよい結果につながっていたといいます。
4ヶ月間に渡るこの療育方法の効果を測る研究の前、親たちの全員が高いストレスレベルを報告しました。
70パーセントの親たちがうつ病と診断されるレベルでした。
そして終わる頃には、それぞれの子どもの成長度合いやニーズにあわせてステップを踏んで教える方法「レスポンシブ・ティーチング」を学んだ親たちはストレスレベルが30パーセント低下していました。うつ病と診断されるレベルの人も15パーセントにまで低下していました。
一方で、同期間にレスポンシブ・ティーチングを学んでいない親たちには何も改善は見られませんでした。
さらにレスポンシブ・ティーチングを学んだ親たちの自閉症の子どもたちにも大きな効果が見られました。
子どもたちの44パーセントにソーシャルスキルの向上が認められました。
37パーセントに言葉の能力の向上が認められ、24パーセントは運動能力も向上していました。
この研究は”the International Journal of Disability, Development and Education.”に掲載されています。
数十年に渡って障害のある子どもたちへの療育方法を研究してきたマホニー教授はこう言います。
「この研究でとりあげた親と子による療育方法はとてもうまくいったといえるでしょう。
そして、子どもだけを対象とするのではない、親と子どもとの関係に注目して行うこの療育方法は、母親たちのストレスやうつ病も劇的に改善させてくれました。」
(出典:米ケース・ウェスタン・リザーブ大学)(画像:Pixabay)
ずーっと続くわけですから、親子楽しく過ごせることがまず大事なことだと思っています。
そんな親子関係であれば、こうして親の心にも良いですし、そして親から子、子から親、たくさんのことも学べると思います。
何よりも、笑顔が見れて、笑顔を見せられる。それが一番です。
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(チャーリー)