- 有害な経験が不安症やうつ病の確率にどのような影響を与えるか?
- 自閉症の成人と有害な経験の関連はどのように考えられるか?
- 適切なサポートが提供されることで、有害な経験が減少し自閉症の成人の精神的健康にどのような効果があるか?
不安症やうつ病などは、自閉症の成人ではめずらしくありません。
多くの人にとって、人生においての否定的な経験は、不安症やうつ病のリスクを高めるものです。
これまで発達障害、自閉症が、うつ病や不安症の発生率に影響を与えたかについての研究はありませんでした。
発達障害、自閉症の人の傷つきやすさについて研究を行っても、それへの対策がみつからないことが研究が進まなかった理由となるでしょう。
新しい研究では、英ケンブリッジ大学の自閉症研究センターの研究チームが、「経験脆弱性指数」(VEQ)と呼ぶ新しい方法を開発し行われました。
VEQは小児期から成人期までに、多種多様な環境において60あまりの人を傷つける有害な経験をしたことがあるかを質問します。
自閉症の成人468人と自閉症でない成人268人が今回の研究に参加しました。
VEQと、不安症とうつ病の診断、そして生活満足度への回答を行いました。
自閉症の成人は、自閉症でない成人に比べて、有害な経験を多くしていました。
そして、不安症やうつ病であることが多く、生活満足度は低いものとなっていました。
不幸な有害な経験の多さが、うつ病や不安症になる確率を上げ、生活満足度を下げていることが明らかなものとなっていました。
この研究を行った、ケンブリッジ大学のサラ・フリフィフス博士はこう言います。
「適切なサポートがあれば、これらの有害な経験の多くを防ぐことができます。
自閉症の成人は、生活のあらゆる場面で深刻な否定的な経験をしてきました。
今回の研究は、ネットを使った、知的能力のある自閉症の成人のみが参加できたものです。
今後は、知的障害のある自閉症の成人についても研究を行います。」
ケンブリッジ大学自閉症研究センターの所長、サイモン・バロン=コーヘン教授はこう言います。
「この研究は自閉症の人たちの人権に対して恐ろしいほどの侵害があることを、
世界中の政府の政策立案者に知らせるために不可欠なものでした。
私たちの次のステップは、自閉症の人たちを救う新しい政策の実施に向けて協力をすることです。」
英ロンドン出身の自閉症の成人であるクララはこの研究に対してこうコメントしています。
「私にとっても重要な研究です。
私は知的能力もあり、人と関わることもできますが、仕事、友だち、健康、社会サービス、教育、それらの場面で、私はこれまでに多くの否定的、困難な状況を経験してきました。
それが、私の精神的な健康に影響を及ぼしてきたことは言うまでもありません。」
(出典:印TECH EXPROLIST)(画像:Pixabay)
当たり前じゃないか。
と思った研究ですが、確かに各国の政策、行政にさらなる改善を求めようとするときには、こうした確かなところが行った確かな研究結果が必要です。
アクションを起こそうとする方の裏打ちとなるものになるはずです。
発達障害の人の「マスキング」大きな代償が必要なマスクはとろう
(チャーリー)