- 自閉症の子どもたちは、どんな状態によって3つのグループに分類されるのか?
- 自閉症の子どもたちが持つ症状の違いは、生物学的要因に影響される可能性があるのか?
- 自閉症の子どもたちの状態に基づいて分析した結果、どのような違いが見られたのか?
3000人以上の自閉症の子どもたちを対象にした研究によると、自閉症の子どもは、同時に発生している状態の数や種類によって3つのグループに分類できることがわかりました。
発作を起こすことや発達の遅滞など、症状のいくつかは自閉症の診断に役に立つかもしれません。
今回の新しい研究は、自閉症の子どもたちが持っている症状の数、そして種類によって分類をしました。
米レンセラー工科大学の生物医学工学のエルゲン・ハン教授は、自閉症の子どもたちでも、あるグループの子どもたちは、別のグループの子どもたちと共通する条件がほとんどないといいます。
これらの違いから、自閉症の子どもたち3つのグループは生物学的要因が異なる可能性があると研究チームは考えています。
米ハーバード大学の生物医学情報学及び小児科のアイザック・コハン教授、この研究に参加していませんが、こういいます。
「これまで、自閉症の子どもたちを一つにまとめてしまっていたことで、科学的な研究、診断、そして療育が適切なものになっていない可能性があります。」
自閉症の子どもたちに現れる症状の違いは、研究にとっても重要な意味をもつ可能性があると、ハン教授はいいます。
自閉症の子どもたちのデータをこのグループごとに分けて分析することで、より正しい洞察を得ることができるからです。
今回の研究では、3728人の自閉症の子どもたちの発作、発達遅滞、聴覚、消化器、免疫、精神、睡眠の7種類の状態について記録を分析しました。
自閉症の子どもたちは、予想通り、自閉症でない子どもたちに比べて、いずれかの状態であることが高くなっていました。
例えば、発達遅滞については自閉症の子どもの3人に一人に見られましたが、自閉症でない子どもの場合は10人に一人未満です。
これら7種類の状態に基づいて研究チームが解析を行うと、自閉症の子どもたちは3つのグループに分類できました。
自閉症の子どもの約4分の一を占めるグループAでは、他の自閉症の子どもたちよりも、睡眠障害、精神的な問題、免疫系の問題、難聴、消化器の問題をかかえていました。
そして、もう4分の一を占めるグループBは、発作と発達遅滞をかかえていました。
残りの半分、グループCは、自閉症の他にかかえる医学的な問題は少なくなっていました。自閉症でない子どもたちと比べてもわずかに多い程度です。
意外なことに、医学的な問題を多くかかえているグループAの子どもたちよりも、発作や発達の遅れは発見されやすいためからか、グループBの子どもたちのほうが平均して5ヶ月早く、自閉症と診断をされていました。
研究チームは、自閉症の子どもたちについて年齢別にも状態の分析を行いました。
自閉症の子どもたちの約20パーセントは、乳児期に胃腸や免疫系に問題があると診断をされていました。
自閉症でない子どもたちでは、それは約15パーセントにとどまっています。
発達の遅れは、自閉症の子どもたちグループBでは3歳半のころに多くが見られました。他のグループでは2歳から3歳です。
これらの分析結果は、小児科医が自閉症の診断を行う場合に役立つものとなるはずです。
しかし、米ジョン・ホプキンス大学小児科の准教授で、米ケネディ・クリーガー研究所のポール・リップキンはこの研究の欠点を指摘しています。
ふだんよく起こるような体の問題も、深刻な症状と同じように扱って分析しているためです。
この研究では例えば、ただの鼻づまりを「ぜんそく」と同じように扱い、免疫系に問題を抱えているとしています。
これでは、正しく分析できているとはいえないとリップキンはいいます。
(出典:米SPECTRUM)(画像:Pixabay)
もう少し細分化することで、正しく研究、診断、療育ができるというのはあると思います。
ただ一方で、一人ひとり異なるので、キリがないとも思います。
とはいえ、医療の進歩にあわせて適切なバランスで分類はされるべきなので、こうした研究は必要とされるものでしょう。
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(チャーリー)