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高機能自閉症の人を積極採用する企業。「私たちが学んでいる」

time 2019/06/14

この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。

高機能自閉症の人を積極採用する企業。「私たちが学んでいる」
  • 発達障害や自閉症の人でも適切な職業に就ける方法はどのように見つければ良いのか?
  • 企業はどのように発達障害を持つ人をサポートし、採用できるのか?
  • 発達障害の人が働く上で必要な特別支援や配慮にはどんなものがあるのか?

ジャスティン・ピアースはここで働くまで、長い間苦労してきました。
発達障害の高機能自閉症、アスペルガー症候群のピアースはこれまでに328社に応募し、14社の面接を経て、コンサルティング企業のアーンスト・アンド・ヤング(EY)社に入社しました。
「まるで宝くじに当選したのと同じように思いました。」
自閉症などコミュニケーションや人との関係に影響をもたらす発達障害の人の失業率は米国では66パーセント以上と推定されています。
しかし、EY社の新しい採用プログラムで、ピアースとシカゴオフィスの14人の同僚は就業することができました。
彼らはコンピュータ・プログラミングやサイバー・セキュリティなどの分野での高い能力が認められ、面接ではなく技術的なスキルやチームでの作業を測られるプロセスを経て採用されました。
EY社は米国のシカゴ、ダラス、フィラデルフィア、サンノゼのオフィスで、4年前から始めたこの新しいプログラムで60名を採用しています。
EY社内では、このプログラムは「ニューロダイバーシティ・センター・オブ・エクセレンス」と呼ばれ、新しい考え方、見方をもたらすダイバーシティが、競争力をもたらすと考えています。
EY社は、圧倒的に優れた技術スキルや、データ分析スキルを持つことができる発達障害の高機能自閉症の人たちの採用を目的にこのプログラムを始めました。
これまでに、発達障害の社員はとても速く技術を習得し、予想していなかった素晴らしい方法で問題解決できることを示してきたと、プログラムの担当社であるハイレン・シュクラはいいます。
「私たちに競争力を与えてくれる、欠かすことができない才能の宝庫です。」
発達障害の社員たちは、EY社の採用プログラムによって、長い間失業状態であったものの仕事ができるようになったこと、知的な挑戦、そして経済的自立ができるようになったと言います。
オフィスではノイズキャンセリングのヘッドフォン、仕事のコーチなど、特別支援が必要となる社員たちへの配慮がされています。
23歳のクリストファー・イーストンが、発達障害の社員たちを支援し、職場で活躍できるように支援しています。
「私も持っているものをすべて発揮できます。」
そう、このニューロダイバーシティの取り組みについて言います。
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EYは、マイクロソフト、フォード、SAPなどどともに、発達障害の人がホワイトカラーの仕事を行うことをリードするまだ数少ない企業の一つです。
ピアスはエネルギッシュでたくさんの魅力をもっているにもかかわらず、これまで行われてきた一般的な面接試験ではうまくいかず長く苦労してきました。
自閉症の人の多くと同様に、言葉を話すことに困難をかかえています。
正しい単語を見つけるために、しばしば話すことが止まってしまいます。
相手の顔を見ることが困難であったり、社会的な合図を理解するのに苦労したり、発達障害の自閉症の人にはいくつもの困難があります。
EY社のシュクラは、自閉症の人がかかえるこうした問題のために、一般的な面接では採用が難しくなってしまう可能性があるといいます。
そのためにEY社は変えたのです。
「相手の顔を見ているか。
これは、私たちの採用には関係しません。
学ぶことに熱心がどうかを評価したいときに、そんなことは考慮するべきことではまったくありません。」
自閉症の人たちは、1週間に渡る、能力とチームワークを評価するためのミーティングや演習が行われ、それぞれの人ごとにフィードバックも行われます。そして最終的に採用の判断がなされます。
ピアースは、応用統計学の学位を取得して大学を卒業した後、両親と一緒に住みながら、レストランでの手伝いの仕事などをずっとしてきました。
アスペルガー症候群の30歳のイアン・ナンカロウは、レストランやスーパーでレジの仕事をしながら6年間、就職活動をしてきました。
「昔のことを思い出すと涙が出そうになります。」
そうイアンは言います。
「採用が決まったときには、親に電話をかけようと建物の外に出るまで興奮を押さえるのに必死でした。
父と話すと、母は後ろで喜んで飛び跳ねていると、本当に喜んでくれました。」
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自閉症の社員たちには、役職にあわせて他の社員と同じ報酬が支払われます。
ナンカロウによれば、このプログラムで採用された自閉症の社員たちは、課題を説明したり、他の人に理解されやすい方法で自分の考えを伝えることが困難になることもあるといいます。
しかし一方で、新しいスキルの習得がすぐにできる、すごい集中力ももっているといいます。
「私は発達障害であることをスーパーパワーとまでは呼びませんが、ともて役にたっています。」
シュクラによれば、自閉症の人たちはしばしば、変わった考え方で問題に取り組むので、他の人が見逃している解決策を見出すことがあるといいます。
例えば、以前は3ヶ月かかっていた、ある金融サービス部門での研修が、研修を受けていた自閉症の社員が新たに提案した方法によって、研修時間が半分にまで短縮することができました。
「私たちこそ、学んでいることに気づきました。
新しいことに対して、対応する能力がこれまでよりも速く身につくようになりました。」
現在のピアースの仕事は、コンピュータプログラムからエラーを探し出す仕事です。
プログラムに誤りがある場合に、どういうわけか直感でわかるといいます。
「説明するなら、星を見て星座が見えてくるのと同じように、プログラムにリンクされている概念が見えてくるんです。」
イアンの仕事は、たくさんのデータを視覚的にわかるようにするプログラムの開発です。
「毎日、毎日、
新しいスキルを身につけることができます。
新しい人に出会うことができます。
新しい挑戦があります。
それがスリリングです。
私はここでスキルを身につけて、自分に役立たせることができます。
これまでは、人に会う、話す、コミュニケーションする、それを追求できる機会がありませんでしたから。」
(出典・画像:米Chicago Tribune
採用する企業の価値が高まる、採用される障害がある人が幸せに持っているものを発揮できる。
そのためには、
これまでの採用方法や仕事のしかたに障害がある人が合わせるのではなく、障害がある人にあわせてそれらを柔軟に変える。
ことが求められます。
「おかしい」と思っていることを今でもそのままにしている、人を尊重しない、そうした企業が競争力を保てないことはいうまでもないでしょう。
発達障害の人は人類みんなの進化をともに歩んできた違う人たち

(チャーリー)


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