- 「人工知能の進歩は、自閉症の人たちの社会的な行動を理解するのに役立つのか?」
- 「自閉症の人にとって、感情を理解するAIやロボットは有益なツールになるのか?」
- 「AIやロボットの進化は、自閉症や発達障害の人々をどのようにサポートしてくれる可能性があるのか?」
私は自閉症です。
スター・ウォーズのC-3PO、ベイマックスのようなSF映画に出てくるロボットが大好きです。
それは、ボディ・ランゲージや皮肉など人間の社会的な行動を理解することに苦労して、私と同じだからです。
人工知能の最近の進歩では、そのような問題にも取り組んでいて、SF映画に出てきたロボットよりも人間的なロボットにしてくれるかもしれません。
ディープラーニングと呼ばれる、最近の人工知能を支える技術はすでに人の言語や表情を理解することに使われています。
これは、自閉症の人がもっと社交的になることを助けてくれるはずです。
米スタンフォード大学では、メガネのようにかけられるグーグルグラスによるシステムを開発しています。
グーグルグラスをかけた人が、対話型のアプリケーションを通じて、相手の感情を理解することを助けてくれます。
自閉症の人にとってこれは役に立つツールです。
私の経験では、多くの自閉症の人がビデオゲームが大好きです。
興味をもって、百科事典のようにたくさんの知識を持っていることも多くあります。
そうしたビデオゲーム的なツールによって、相手の感情を理解しやすくなるからです。
感情を理解できる機能をつけることで、ロボットは素晴らしいものになるはずです。
米ヴァンダービルド大学のコンピュータ・サイエンスのメイシー・カンダ教授たちによる研究チームが、自閉症の人のように思考するソフトウェアを開発しました。
カンダ教授は、人工知能の研究と自閉症の研究は相互に役立つものだといいます。
このソフトウェアを開発することは、自閉症の人の脳を理解することにつながります。
そして、自閉症について理解することは、自閉症の人だけではなく、多くの人とは異なった世界の捉え方をしている人たちに役立つソフトウェア開発に役に立つからです。
遠くないうちに、知性をもち、人の感情を理解できるロボットが生まれる可能性に私は興奮します。
一方で、自閉症の人をまるでロボットのように捉えることは適当ではないでしょう。
「一人の自閉症の人に出会っても、それは自閉症の人の一人に出会っただけ。」
という言葉があります。
自閉症といっても、一人ひとり異なるからです。
グーグルグラスを利用して、私がまわりの人との関係がよくなっても、それは私が社交的な機能が欠けていたロボットであるわけではありません。
私はディープラーニングで賢くなったロボットではありません。
ロボットと自閉症の人を比較するような見方がされれば、私のような自閉症の人を非人道的に扱うことにつながっていく怖さを感じます。
肉でできたロボットのように思われたくはありません。
ディープラーニングにより賢くなったAIやロボットは自閉症の人たちの社会的な行動を助けてくれるものです。
しかし、それと比較して自閉症の人がみられるようなことは望みません。
(出典:米Hypergrid Business)(画像:Pixabay)
AIやロボットの進展は、うちの子のような発達障害、知的障害の人を助けてくれるものになると期待しています。
一方で、ますますロボットが賢くなっていけば、「まるでロボットのような」と言いたくなる対象が広がっていくでしょう。
しかし、言葉を発せない、言葉を理解していない、そう思ってもいつも相手を尊重していればそんな物言いはしないはずです。
AIとGoogleグラスが自閉症スペクトラム障害の人を変える
(チャーリー)