- 明るい照明や騒音がパニックを引き起こすのはなぜか?
- 感覚にやさしい環境の重要性は何か?
- 障害を持つ人たちが日常生活で困難に直面する具体的な例は?
まぶしい光、騒々しい音、それによってパニックを起こしてしまい、スーパーの床に頭をぶつけていました。
ゲイリン・チャンバースの発達障害の息子、リッキに起きた出来事です。
12歳のリッキは8年前に発達障害と診断をされています。
この出来事があって、母親のゲイリンは感覚にやさしい環境を実現させるキャンペーンを始めました。
ゲイリンの活動は成果をあげて、ここニュージーランドのシルバーデールのスーパーでは、静かな感覚にやさしい時間が毎週設けられるようになりました。
「感覚にやさしい『静かな時間』は多くの人たち、特に障害のある人たちが助かります。」
そうゲイリンは言います。
「感覚にかかる刺激の負荷を小さくすることで、私の息子のリッキも対応できているように、発達障害の人たちがパニックになる可能性を減らすことができます。」
毎週火曜日の午前9時から午前10時の間、照明を暗くし、音楽やテレビを消します。そして台車なども極力使わないようにします。
店員のささやき声が聞こえるということは、「静かな時間」がうまくできている証です。
店長のイアン・キャンベルはこう言います。
「スタッフたちも、静かな時間の実施についてよく理解しています。
そして、好評の声も頂いています。
実際に、お店に来れば静かなのがよくわかると思います。」
発達障害のリッキの母親、ゲイリンはとても喜んでいます。
「この辺りのたくさんの学校も、環境を整備してくれています。
多様な人を受け入れてくれるようになったのは、本当にうれしいことです。」
ゲイリンは、2018年に会社を立ち上げ、発達障害についての啓蒙活動や特別支援を必要とする人たちが地域社会で前向きに過ごせるようになることを目的としたプロジェクトに取り組んでいます。
「息子のリッキは12歳ですが、認知能力は3歳程度です。
リッキにとってはこれまで、スーパーはパニックになって服を脱ぎだし、床に頭をぶつける場所でした。
連れて行くことはできなくなりました。」
そのため、一時はネットショッピングを頼りにしましたが、これではリッキが生活をしていく上での練習にならないことに気づきました。
「脳性まひ、ダウン症、認知症、パーキンソン病、脳のケガ、そうしたことでも地域で活動ができなくなります。」
ゲイリンはあらゆる障害に対応したいと考えました。
そして「静かな時間」は、今ではご高齢の方にも喜ばれているといいます。
「来ることができ、そして安心して過ごせる時間があることに、本当にうれしくなります。
これはwin-winの関係です。
お店は顧客に良いサービスを提供でき、地域社会はより良くなり、
私たち自身も、あらゆる人たちを受け入れ、そして共に働けるのです。」
(出典・画像:ニュージーランドstuff)