- 腸内フローラ療法は自閉症や胃腸の問題にどのような影響を与えるのか?
- 自閉症や発達障害をもつ人にとって、腸内細菌叢がどれほど重要なのか?
- 便移植による治療が自閉症や発達障害にどのように影響するのか?
15歳のベン・ボノラティは幼い頃に発達障害、自閉症と診断をされています。
そして現在、自閉症の人の30パーセントから50パーセントの人がかかえている胃腸の問題にも取り組んでいると米アリゾナ州立大学で自閉症・アスペルガー研究プログラムを率いるジェームズ・アダムズ教授は言います。
これまでに家族はベンを助けたいといろいろな治療方法を試みてきました。
「安全であり、効果的であると証明されたものはすべて試したかったんです。」
そう母親のハイジは言います。
「さまざまなダイエット方法やサプリメントの中には良いように思うものもありましたが、効果は微々たるものでした。」
ベンは視覚での感覚過敏や手をひらひらさせる反復行動、パニックを起こしたり、下痢などの胃腸の問題もかかえているといいます。
そして、アリゾナ州立大学のアダムス教授を紹介され、ベンの人生を変えたいと新たな試みをチャレンジすることにしました。
アダムス教授は、自閉症と診断をされた子どもたちを対象にした、8週間の腸内フローラ(腸内細菌叢)療法の臨床試験の参加者としてベンを登録しました。
腸内フローラ療法は、自閉症の症状や胃腸の問題を治療するために、健康な人の便から抽出した人体に良い影響を与える微生物を薬にし服用するものです。
「腸を癒やすことで、脳がよりよい状態になるのだと考えます。
そして、言語や社会スキル、振る舞い方などをよく学べるようになるのだと考えています。」
そうアダムス教授は言います。
アダムス教授の娘も自閉症です。そのためにこの研究に熱心に取り組んできました。
糞便を利用する治療方法は、米食品医薬局に承認された成人を対象とした臨床試験の第二フェーズにあります。
アダムス教授によれば、これまでのところ結果は良好だといいます。
第二フェーズがうまくいけば第三フェーズに移行し、それがうまくいき承認されれば、この治療方法は数年後には一般に利用が可能となります。
ベンの家族によれば、この治療方法でベンの消化器系の問題は治ったといいます。
そして、これまでのどの療法よりも、自閉症の症状が軽減したといいます。
「手をひらひらさせることがなくなりました。視覚過敏の問題もなくなりました。
自閉症特有の行動が見られなくなりました。」
最大で180スコアとなる自閉症の症状評価チェックリストで、この糞便を利用する治療を受ける前、ベンは107スコアであったのが、治療を受けてからは3スコアにまで減少しました。
ベンは表現力が豊かになりました、語学も学んでいます。絵を描くことが好きになり、今では家中に飾っています。
友だちとじゃれたり、ゴルフカートに乗ったり、友だちにテキストメッセージを送ることを楽しんでいます。
治療する前はベンは人と交流することはあまりありませんでした。
そう母親は言います。
そして今、ベンは将来は医者になりたいと言っています。
(出典・画像:米Cronkite News)
便移植によるその効果について、親からのコメントもある情報です。
もとは便であっても、純粋な、もともと人の中にあった良い細菌群だけが抽出されたものを摂取するわけですから、それは悪いものではないでしょう。
脳と腸との神経的なつながりが注目されていますが、この治療法では腸がよくなることが脳にも良い影響を与え、自閉症特有の症状や行動が減少し療育の効果も高まる、ということのようです。
発達障害である自閉症、それ自体を「治す」というようなインチキなものではありません。
「便移植」で重症の自閉症の子が47パーセント減。研究結果
(チャーリー)