- 小説や芸術を楽しむことができるか?
- 発達障害や自閉症の人は数学や科学が得意なのか?
- 出生前に発達障害や自閉症を予防できるか?
発達障害、自閉症に対する意識が高まってきましたが、まだ多くの誤りと固定概念があります。
自閉症だからといって、歩くGoogleではありません。
また、小説などのフィクションを楽しむことができないということもありません。
私は発達障害の自閉症です。そして国語の講師をしています。
文学は私の世界を拡げてくれました
私自身を含んで、人をよりよく理解することに役立ちました。
そして、小説や詩にはボディランゲージがないのが助かります。
しかし、自閉症に対する固定概念に従えば、私はフィクションを楽しむことはできないはずです。
自閉症の人は、科学、技術、工学、数学のいわゆるSTEMが得意であって、芸術については得意でないと考えられています。
英ケンブリッジ大学の自閉症研究センターでは、20年以上に渡って、自閉症は科学分野で発揮されると宣言してきました。センター長のサイモン・バロンコーヘンが言ったものです。
しかし、私が”Naming Adult Autism”を出版するにあたって調べた結果、バロンコーヘンは科学的な見落としを多くしていたことがわかりました。
それは、自閉症を評価することに使われていた質問票にある欠陥です。
「小説を楽しんでいる」
そう答えるだけで、自閉症と診断をされないようになっていました。
バロンコーヘンたちによって開発された、診断テストの質問票は日常生活、コミュニケーション、社会性に関する自閉症の「特徴」にいくつ当てはまるかを数えて評価できるように2001年に設計、開発されたものです。
現在でも世界中のWebサイトに見られ、イギリスでは全国調査の基礎ともなっています。
この質問票は、自閉症の診断を行えるイギリス国内の病院施設をより多くする目的で作られました。しかし、数学者や科学者がそうでない人に比べて、自閉症であるとされるような、科学的には疑問が残るといえるものです。
質問票には、数学と芸術に関して採点する質問もあります。
数学への興味が高ければ、必然的に自閉症であるとするスコアが加算されます。
フィクションや芸術への興味が高ければ、自閉症であるとするスコアが減産されます。
つまり、自閉症であっても小説を読むことが好きであれば、自閉症であると診断をされにくくなります。
そのため、自閉症に対するケアも受けることが難しくなります。
一方で、数学者であれば自閉症でなくても、自閉症だと診断されやすくなります。
自閉症の人たちは科学的分野で成功するかもしれないという期待もそこに生まれます。
自閉症の人たちの将来を狭める、そうした考えは再考する必要もあるでしょう。
こうした固定概念は、実際とは異なる、自閉症の人たちについての表現に大きな影響も与えてきました。
ある意味、自閉症の人は社会的に扱いにくい存在として表現されてきました。
出生前スクリーニングによる発達障害、自閉症の「予防」が可能になるかもしれないことを考えると、特に重大なことです。
英ケンブリッジ大学自閉症研究センターの研究者も含めた、ヨーロッパの科学者たちによる2015年の出版物では、自閉症リスクの出生前検査はまだ不可能であるものの、その可能性はあることを示唆しています。
だからこそ、メディアでの発達障害、自閉症の表現は、偏りなく網羅的な適切なものであることが求められます。
まず多くの人を現実から遠ざけてきた、自閉症の人は数学の天才であるという幻想をぶち壊すことがその始まりとなります。
(出典・画像:英THE CONVERSATION)
発達障害、自閉症、それぞれの人がそれぞれの特性を持っています。
数学や科学が得意というイメージは、それらが苦手な人も多いので、あこがれを重ねるところもあるのかなと思います。
固定概念にしばられず、その人をきちんと受け入れ見てほしいと思います。
発達障害の人への正しい理解をホグワーツ魔法魔術学校が助ける
(チャーリー)