- 発達障害の子どもたちにとって、武道がどのような効果をもたらすのか?
- 教室での運動トレーニングが子どもたちの脳と体の協調能力にどのような影響を与えるのか?
- 発達障害を持つ子どもたちに対して、どのような指導方法が効果的なのか?
ジョン・ハットフィールド先生は空手教室に通っている6人の熱心な子供たちの前に立ちました。
これは、ふつうの空手教室ではないとジョンは言います。
パンチの練習や腕立て伏せなどだけでなく、ジョンは質問に答えてもらったり、数を数えてもらったり、記憶してもらうことなども稽古中に行います。
ジョン先生の目標は、子どもたちの技術の向上や強くなってもらうことだけではありません。
ジョン先生の発達障害の子ども向けのこの教室では、脳と体の協調も養おうとするものです。
「武道で私たちが学んでいることは、発達障害の子の運動機能の向上にも役立つと考えています。」
週二回の教室は、自閉症やアスペルガー症候群、その他の発達障害の子どもたち向けに内容を設計したものです。
この取り組みを行う前は、精神科の看護師としてジョンはフルタイムで働き、空手の先生はパートタイムで行っていました。
そのときに二人の発達障害の子に教えていました。
そのうちの一人の子が有段試験を受けているときに、その子を担当している医師から電話がありました。
車の運転をしていたときです。
「私は、彼が試験中に怪我をしてしまったのだと思いました。
道路の脇に車を止めて、彼は大丈夫なのかとたずねました。
しかし、悪い知らせではなかったんです。
医師から、発達障害の子どもとは本当に思えなかったという連絡でした。」
この電話が、看護師の仕事をやめてフルタイムで教える、教室を開くきっかけとなりました。
「すぐに、最初の2週間のスケジュールがうまってしまいました。
それが5,6年前のことです。
今ではもっともっと、たくさんの子どもたちが来ています。」
現在は、2つのクラスを設けています。
4歳から12歳向けの子ども向け、そして10代の人向けです。
子ども向けのクラスでは、ストレッチをしたあとに、パンチをしたり、腕立て伏せ、腹筋、そして重いボールをつかむ運動も一緒に行いました。
発達障害の子どもは一度に複数の課題を行うことなどは簡単ではないといいます。
そのために、細かく運動の指示を行います。
子どもたちが歌いだしたり、おしゃべりをしたり、落ち着きがなくなってくると、ジョン先生は手を動かしながら、指示を出し、そして肩にタッチをしたりして子どもたちを学びに集中させます。
メイソン・オースティンはもうここに5年通っていると、祖母のナンシーは言います。
メイソンは水泳や、ローラースケートも学んでいます。
しかし、ここで学ぶ武道は、人生の一部になっているといいます。
孫のメイソンの体が強くなり、運動機能が向上するのも見てきました。
先生が、発達障害の子どもたちへの教え方をよく知っているからだと言います。
「先生は、子どもたちが何を求めているのかよくわかっています。
そしていつも努力しています。」
メイソンは聴覚が敏感だったのでいつもヘッドフォンをつけていました。
それが今では大丈夫になり、ヘッドフォンをつけなくなりました。
「先生は発達障害の子どもたちを、他の子どもと同じように扱います。
それが素晴らしいと思うんです。
そうすることで、他の子どもと変わりなくなっていくことができるんです。」
そして、教室に通う生徒の一人、JJ・マクリーンについてこうジョン先生は言います。
「JJは最も成長した生徒の一人です。」
マクリーンは2歳のときにアスペルガー症候群と診断をされ、
医師からは学校での勉強やスポーツの成績は難しいものになるだろうと言われたと母親のアシュリーは言います。
しかし、今ではマクリーンは格闘技大会に出場する有段者となり、勉強の成績も良く、バスケットボールクラブにも参加しています。
「ジョン先生はいつもマクリーンのことを見てくれました。
そして、マクリーンは自分に自信を持ちました。
ジョン先生には本当に感謝しています。」
マクリーンは触れる感触に困難をかかえています。
そんなマクリーンが試合で獲得したトロフィーは特別なものとなりました。
「本当にトロフィーは、息子のJJの人生を変えるものになりました。
それまで一生懸命がんばりましたがトロフィーをもらうことはありませんでした。
それが今では、トロフィーを獲得できない大会はなくなりました。」
(出典・画像:米THE Enterprise)
きっと子どもたちも、自分がかっこいいと思っているはずです。
かっこいいことをして、成長して、ますますかっこよくなっていく。
子どもも親も本当に成長する姿にうれしくなるのだと想像できます。
柔術が発達障害の子どもたちをいじめから救い、成長にも役立つ
(チャーリー)