- 自閉症の子どもたちは他人の考えや感情を推測するのに苦労しているのか?
- 発達障害である子どもたちが脳の処理プロセスにおいてどのような違いがあるのか?
- 自閉症の子どもたちは他人の考えを推測する際にどの脳の領域を使っているのか?
相手の立場になって理解しようとするときに、発達障害である自閉症の子どもたちは自分自身の考えをまず押さえつけていることが新しい研究で示唆されています。
発達障害の人の多くが、他人の考えや感情を推測することに苦労しています。
そしてそれが、かかえてしまう社会的な困難の原因となっています。
新しい研究はこの困難に関わる、自閉症の子どもたちの脳の処理プロセスを明らかにしました。
研究チームは脳磁図(MEG)を用いて、8歳から12歳までの発達障害である自閉症の子どもたちとそうでない子どもたちに心理テストを受けてもらい、その間の脳活動をモニターしました。
この心理テストは、他人の考えを推測するものです。
発達障害のない子どもたちは、通常5歳になるまでにこのテストに合格します。
自閉症の子どもたちのほとんどは10代になるまで合格することはありませんが、知能が高く言語能力も優れている場合には早く合格することもあります。
今回の研究では、このテストを行っているときの自閉症の子どもたちは、そうでない子どもたちに比べて、自分の考えを抑制する領域が一瞬活発になっていました。
この研究はカナダのトロントにある病児病院の脳機能神経イメージングのディレクターのマゴット・テイラーらの研究チームにより行われました。
研究では、自閉症の子どもたちが積極的に、人が物がどこにあるのかを推測する心理テストにおいて、自分の考えを抑制することが示されていました。
「発達障害の子どもたちはとても賢いのです。
こうした問題に対応するためには、自分の考えだけでなく、いくつかの考えを持たなければならないからです。」
他人の考えを推測する場合には、脳の複数の領域が関係します。
社会的な手がかりを処理し、その結果を次の脳の領域に渡していくのです。
脳磁図(MEG)では、脳のどの領域が活発になっているのかをミリ秒の単位で明らかにできます。
これまでに例えば、MEGにより発達障害の人たちの感覚の違い、例えば音の処理の一瞬の遅れなどが確認されてきました。
今回の研究には19人の自閉症の子どもとそうでない22人の子どもが参加しました。
どちらのグループも平均的な知能をもっています。
子どもたちはMEGにより脳活動をモニターされながら、ジルとジャックというキャラクターがボールを帽子の中に隠す紙芝居を見ます。
ジャックは、ときどきボールを隠す帽子を変えます。
あるシナリオでは、ジャックがボールを帽子に隠すところを見たので、ジルはどの帽子にボールがあるのかがわかっています。
別のシナリオでは、ジルはジャックがボールを隠すところを見ていません。そのため最初にボールが隠された帽子にそのまま入っていると思っています。
研究チームは子どもたちにそれぞれのシナリオを見せながら、ジルはどっちの帽子にボールがあると思っているかをたずねました。
自閉症でない子どもたちは、脳の左側頭頂頭頂接合部が活発になっていました。
ここは、他人の考えを推測すること「心の理論」に主に関わる領域であることが知られています。
一方で、自閉症の子どもたちはこの領域は活発にならずに、脳の右下前頭回が一瞬だけ活発になっていました。
この領域は、自分の望ましくない考えを抑えようとするときに活発になるところです。
「自閉症の子どもたちは、ボールがどこにあるのかを考えるときに、まず自分の考えを押さえつけていたのです。
自閉症の子どもたちがそうでない子どもたちと同じ答えをする場合でも、違う脳の領域を使っていることがMEGにより、わかりました。」
自閉症の子どもたちは、抱えている社会的な困難に打ち勝つために、そうではない子どもたちとは異なるプロセスで考えていたのです。
今後は8歳未満の子どもたちも対象に研究を進めたいとしています。
(出典:米SPECTRUM)(画像:Pixabay)
人の気持ちを考えるときに、「まず自分が最初に思うことは間違いだから〜」というふうに考え始めるということなのでしょう。
それまでにしてきた経験からそんなふうに考えるようになるのかもしれません。
なので、発達障害、自閉症でない子どもよりも、より大きくなってからになってしまうのだろうと察します。
知的障害、発達障害の方に対して不正が行われないように協力を
(チャーリー)